表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/96

千堂京一、エリナ・バーンズに問い掛ける

エリナ・バーンズが口にしたことは、事実だった。確かにクグリは、メイトギアの動きを熟知しており、容易くそれに対処してみせたのだ。


しかし、GJKトラストのゼネラルマネージャー、アレキサンドロ・マカトーニが有するメイトギア、フローリアM9がクグリと対峙した時には、一時的にとはいえ圧倒する瞬間もあった。それは、フローリアM9が千堂アリシアからコピーした、一般のメイトギアが持つものとは系統の異なる体術を用いたからというのが基本的な見解だった。


また、フローリアM9が格闘する直前にクグリと格闘した戦術自衛軍の月城香澄二等陸曹の戦闘データも参考となった。明らかに一般的な女性兵士のそれを大きく上回る体術に、クグリが防戦に回る場面もあったからである。


以上の点から、やはり相手の意表を突くというのは戦術的に意味があるとエリナをはじめとした第一ラボの技術者達は考えたというわけだ。


それに対して千堂京一(せんどうけいいち)は、


「なるほど。一理あるかもしれない。ただ、それが意味を成すには、このアームドエージェントなる機体のポテンシャルが従来の要人警護仕様機のそれと同等以上のものでなければならないのではないかね?


現状、このタイプのメイトギアについてはノウハウが十分ではないと、私自身、技術者の端くれとして認識している。ただ相手の意表を突くだけでは、すぐさま対応されてしまう可能性もあると思うのだが?」


とも指摘してきた。


だが、エリナも負けていない。


「ノウハウの蓄積が十分でないことは私ども第一ラボとしても承知しています。ですが、ノウハウというものはまず現物があってテストを重ねて運用して初めて蓄積されていくもののはずです。新しいものにノウハウがないのは当然です。だからこそ私はこれを形にし、そして運用することでブラッシュアップしていくべきと考えます」


真っ直ぐに千堂を見詰め返してそう言った上で、


「つきましては、特別開発チームの千堂アリシア主任に、楓舞(フーマ)1141-MPSの実働テストへの協力をお願いしたいと思います」


と提案した。


すると千堂も、


「うん。確かに彼女の役目はこのアームドエージェントのように特殊な用途のために開発されるメイトギアについてのサポートだ。


いいだろう。千堂アリシアくんに協力してもらい、次のコンペに間に合うように完成度を高めてくれたまえ」


と返した上で、他の役員達に視線を向けて、


「それでよろしいですか?」


とも声を掛けた。


技術的な面についての知識は千堂以上のものを持たない他の役員達は、


「そうですな。千堂氏がそうおっしゃるのでしたら」


まずは了承という結論に至ったのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ