表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/96

人間によって使われる道具

千堂(せんどう)アリシアは、ロボットである。一般的には<メイトギア>と呼称される、かつてはアンドロイドとも呼ばれたタイプの、人に似せたロボットだった。


ただ、現在ではアンドロイドという呼び方は廃れている。極めて多種多様なロボットが、自動車のごとく大量に製造されるようになり、果たしてどこまでをアンドロイドと定義し、どこからそれ以外と定義するかが曖昧になってしまったこともあって、結果として、


『AIによって制御される、自律型および半自律型機械はすべてロボットと称する』


という概念が一般的になり、それが定着した。なので、人型もそれ以外も<ロボット>で統一され、その中で、ヘルパー機能をメインとし人間に似た外見を有し人間の<仲間(メイト)>としての役割を与えられたものを<メイトギア>、重作業や警備等の機能をメインとし機能重視でやや無骨な外見を持つものを<レイバーギア>、純粋に戦闘を目的として作られ重武装重装甲かつ大型のものを<ランドギア>(人型戦車や有脚戦車とも称される)と分類されている状態である。


これ以外にも多種多様なロボットが存在するが、それらについては適宜紹介するとして、千堂アリシアは、<メイトギア>と称されるロボットだった。


しかし彼女は、分類上ではあくまでメイトギアではあるものの、その実態はこれまでの常識には当てはまらない、もしかするとまったく新しい<ロボット>かもしれなかった。


何しろ彼女には、<心>としか思えないものがあるのだから。


ロボット、と言うか、ロボットを制御するAIには、これまで、<心>があるとはされてこなかった。何度かそれを再現しようと試みは行われたもののそのいずれもが有意な結果を得られず、しかも、AIに人間のような心を持たせては、人間に対して反感を覚え、それはやがてAIによる人間への反乱を招くのではないかという懸念を持たれるにいたり、AIに<心>を再現することは禁忌とされ、あくまで、


『AIとそれによって制御されるロボットは<人間によって使われる道具>である』


という大原則が確立された。


にも拘らず、千堂アリシアには<心としか思えないもの>があるのだ。


これは非常に重大なことではあったものの、彼女に芽生えたらしい<心>ないし<心のようなもの>は、彼女以外の機体においては再現されることがなく、AIやロボットが心を持つようになるという懸念は否定されることになった。


ゆえに、現時点では唯一無二の存在である<千堂アリシア>は、非常に貴重な被検体として厳重な管理の下、さまざまな研究が行われることになったのである。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ