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4.猫、森の主と出会う

私のネーミングセンスの無さが露呈してしまいます……。

俺は暫く呆然としていた。

だが、いつまでもこうしてはいられない、と、

気分を変えようと考えた。


丁度目の前に泉があったので、その水で顔を洗おうとして、手を水につけた瞬間、自分でも驚くほどの速度で手を降り、俺の手から飛んだ水が木を貫通したように見えたのは気のせいだろう。そうに違いない。


その後、鑑定を使って近くの物を色々と調べてみたが、調べると、『魔の森の泉の水』や『魔の森の土』、『魔の森の大樹』等と、多くのものに『魔の森』という語句が入っていた事から、ここは魔の森、という所なのだろうと少し想像がついた。


因みに、俺が自身のステータスを見られたように、ものを調べるときも、鑑定の能力(スキル)は細かく調べられるらしい。試しに『魔の森の大樹』を調べてみると、


=== ===


『魔の森の大樹』

元々は何の変哲も無い何処にでもある木だったが、魔の森の濃い魔力を数百年近く浴び続け、今の大樹となった。その多くの魔力を含む幹はとても固く、オリハルコンにも引けを取らないと言われており、加工がとても困難である。


=== ===


そんな固い木を手から飛ばした水だけで穴を開けてしまう俺の体は……。いや、きっと木の一部に虫食いがあったか、もしくは腐ってて穴が空いたように見えたんだろう。というかそうであって欲しい。


まぁ、それはそれとして、俺は魔の森の中を歩いている。折角別の世界だというのだから、色々見て回りたいなと思ったのが理由だ。


異常に大きい樹木。光るキノコに輝く草。

どれも地球では見たことの無いような植物ばかりだ。


木々の葉がこすれる音や、森の中特有のどこか心の落ち着く香り。うっすらと感じる木漏れ日がとても心地良い。


そういえば、こんな森の中を歩くなんていつぶりだろう。子供の頃は良く祖父母の家の裏山へ家族全員でピクニックに出かけたものだ。

だが、祖父母が死んでしまってからは森になんて来ていない。といっても、それももう25年ほど前の話だが。


……あの頃はかなり楽しかったな。

よく両親に出掛けさせて貰ったり、友達とバカやって学校に親が呼ばれた事もあったっけ……。

まぁ、歳をとるにつれてそんなバカもやらなくなってくのだが。


少し懐かしい様な虚しいような気持ちになったがここは異世界。自分の全く知らない場所。

少しでも気分を入れ替えて行こう。


「すー……はー……」


深呼吸をしてみる。やはり森の中でする深呼吸は気持ちの良いものだ。子供の頃は遊ぶのに夢中で、そんなこと考えていなかったが。


「すー……」

「グルゥ…」

「…っげっほぉ!?」


落ち着いて行っていた深呼吸。

不意に後ろから声(?)をかけられて驚き、吸い込んだ空気を一気に吐き出してしまって、むせ込んでしまった。


誰だ?そう言おうとして俺は後ろを振り向いた。


そこに居たのは、巨大な狼だった。その体毛は俺と同じ白だが、根本的に違う白だ。俺の白が雪のような白なのであれば、この狼の毛は荒だつ白波の白だ。真っ白い巨躯に、巨大な牙。その口ならば今の俺を一飲みにすることすら容易だろう。


そんな狼が今にも飛びかかってきそうな体勢で俺に話しかけてきている。


「この森に何の用だ。貴様から感じる膨大な力…もしや、お前……じゃない貴様が魔王か?」

「魔王!?ち、違いますよ!?只の、えぇと、…猫です」


魔王なんて居るのか……?というか、俺から感じる膨大な力って…。やっぱり俺のステータスは強いのだろうか……。


俺の返答に対して、嘲笑うかのようにして狼が答える。


「……ぇと………ふん、そのようなで我を騙せると思わぬ事だ。貴様から感じる力、ただの猫のそれではない。」

「そんなこと言われましても……」


確かに種族が猫(?)になっているが…。


「まぁ良い。」


狼が飛びかかろうと踏ん張っていた体勢を崩す。

あ、あれ?許された?


だが、その狼の次の一言は、


「ゆくぞ」


狼はそう呟いた。刹那。


ダァンッ!!と地面が深く抉れるほどの力で狼がが地を蹴り、俺の方へと突撃してくる。


「おわぁっ!?」


急な攻撃に驚き、俺は横へと逸れてなんとか躱す。

俺の後ろの方で、ドガァッと何かが爆発する様な音が聞こえた。


だが、狼の攻撃はこれで終わらなかった。


続けて地面に着地した瞬間、力技で体を180°回転させ、再び俺へと突撃してくる。


「おっ…と」


その攻撃も俺は避けることに成功した。

ステータスのせいだろうが、俺には一瞬一瞬だが、

この狼の動きを目で捉えて動くことが出来ている。

少し増長するようだが、この攻撃ならば何度でも避けることが出来るだろう。


「ぇーと………やはり、この程度は避けるか。流石、この森の奥地にまで来たほどの者だ」

「正確には来たわけじゃ無いんですが…」

「ゆくぞ」


あ、駄目だこの(ひと)。人の話を聞いてくれない。


そうだ、と思い付き、先程よりも格段も速くなっている狼の突進を避けつつ、俺はこの狼に対して鑑定を使う。


結果は、


=== ===


名前:ルーヴァ


種族:大白牙狼(ホワイトガルム)Lv.86


能力値(ステータス)/

筋力値:A

魔力値:D

物防値:A

魔防値:C

魔力量:B


所持能力(スキル)/

通常能力(ノーマル):『威嚇』『牙術』

特殊能力(エクストラ):『言語翻訳』『剛腕』『超嗅覚』『強靭』

固有能力(ユニーク):無し


所持称号/

『大牙狼』『魔の森の覇者』


=== ===


Lv86って高!?俺なんてLv1だぞ!?

ただ、ステータス、スキルを見る限りは俺の方が上な気がするが…。


そんなことを考えながら、狼の牙による攻撃を後に飛んで避ける。

俺が元いた地面が狼の牙によって深く抉られた。

だが、俺はそれを直視せず、狼に話しかける、


「えぇと、貴方はルーヴァさんって言うんですか……?」

「何故分か…いや、なるほど、鑑定能力(スキル)持ちか」


一瞬だけ会話をしながらも、地面に着地する前に後方へ飛んだ俺を追尾してルーヴァが地を蹴り飛んでくる。その時俺は空中。普通ならば不可避の一撃だ。


「っらぁっ!」


だが、動きが見えている俺にならば出来ることはある。そう。例えば今やったように飛来する狼の顔を蹴り飛ばして後へ(吹き)飛ぶ、という方法が。


そこまで強く蹴ったつもりは無いのだが、思っていたよりも一瞬ビビった俺の蹴りは強かった。ルーヴァを蹴った俺と蹴られたルーヴァが空中で正反対へ一直線に派手に吹き飛ぶ程に。


俺は派手に吹き飛びながらも、自分で起こした衝撃だ。何の危なげもなく無傷で着地する。


そして、ひとつ気付いた。


「……!!!」


自分が吹き飛んできた道が、6.70十センチ程の深さで今も土埃を上げながら奥へ数十メートルは伸びている事を。


……これ、ルーヴァ無事か………?

誤字脱字、意味不明な文等かなりあると思いますので、ご指摘いただけると非常にありがたいです。

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