2.転生
文章力が無いだけでなく、なろうの使い方もよく理解しておりません。助けて下さい。(救いようが無い)
「申し訳ありませんが、○●◆◇さん、貴方は死んでしまいました…む、もう少しかっこよく行きましょうか…迷います…」
そんなうっすらと、どこからか聞こえてきた言葉に、沈んでいた意識が浮上していく。
…なぜかわからないが、よく知っている名前を呼ばれた気がするが、
どうしても思い出せない…いや、待て、俺自身の名前が何故か分から…ない…?
「…ここは…?」
ふと、反射的にそんな言葉を呟く。
感覚的には寝起きという風なのに、何故か意識ははっきりとしていた。そして、自分が死んでしまった、ということは感覚的に理解出来ていた。
……分かっているのはそれだけなのだが。
そして、辺りを見回すと、見えるのはただただ真っ白い、平衡感覚を狂わせそうな空間だった。
この空間には終わりがあるのだろうか、と考えさせられるほど遠くまで白い空間は続いてるようだ。
……本当にここは何処だろう…?
現実味のげの字もない空間だが、もう一つ、
現実味の無さを加速させている原因があった。
それは、
「ぁ、ぇと…目を覚まされましたか?どこか、体に異常はありませんか……?」
そう言いながら、俺の体を心配していた少女だった。
何故か少し顔が赤い。何かあっただろうか……?
その少女を言い表すのならば、美少女、などと言う言葉では足りないだろう。
年の頃は13.4程だろうか。
透き通る様な肌に、人間離れした美貌。
その髪はことこの白い空間内で余計に映えるプリズムの様な輝きを持っていた。
そしてその少女の幻想的な美しさ、そして現実味の無さをさらに強くするのが、少女の周囲に浮かぶ虹色に輝く光の玉だ。
…そんな美少女に対して、俺は取り敢えず真っ先に思い浮かんだ質問をした。
「えぇと、ここはどこ…と言うより貴女は誰ですか……?」
「あっ…すみません、自己紹介が遅れました…」
一瞬、少女は更に顔を赤くしたが、直ぐにこちらへ向き直り、
「…といっても、名乗るような名前はないんですけどね…。わかりやすく言いますと、貴方の世界で言うところの神様、です」
「神様!?」
普通に考えれば受け入れられないような言葉だろう。
だが、そんな言葉を、少女の纏う人間離れした美しさが、信憑性を増させていた。
「でも、そんな神様が俺に何の用ですか……?」
「えぇと、貴方が死んでしまった理由は分かりますか?」
「確か、トラックに引かれそうになっていた猫を、助けようとして、そのまま…だと思います」
……引かれそうになった猫を助けて死ぬって、なんだか少し恥ずかしいな……。
「ですが、それと神様に何の関係が?」
「そうですね、貴方に助けて頂いた猫、実は、
神がその世界を見るために力を借りていた子の1人なんです」
「世界を見るため?」
「はい」
そうして、神様は説明を続ける。
「実は、神というのも万能では無くて、世界に直接干渉する事はとても難しいんです。勿論、大きな災害が起きた時などは多少の干渉は致しますが……。なので、比較的霊路の強い動物の力を借りて、世界を見ているのです」
「そ、そうなんですか……」
正直全くと言っていいほど分からないが……。
「そして此処は、言うなれば生と死の間の空間です」
「生と死?」
「基本的に1度死んでしまった魂は世界と魂を繋ぐ物である名前が消滅した後、ここへ戻り、記憶を消し、神に再び名前を与えられるという工程を経てから、現世へと舞い戻るのです」
「では、俺もこのまま記憶を消されて生まれ変わるんですか?」
何とか話を読み取り、俺がこのあと置かれるであろう状況を考えて質問する。
……?だから今、俺は自分の名前が分かんなくなってるのか…。良かった、記憶喪失にでもなったかと思った…。いや、いい事なのか……?
ただ、生まれ変わり、というものが本当にあったとは…。生まれてからもうじき40になるというのに初めて知った。世界は広いな、人生最大の驚きだよ。
……いや、もう死んでるんだっけ……。
だが、俺の質問に対する神様の答えは、俺が想像していたものと違った。
「いいえ、貴方にはとある権利があります。」
「?とある権利?」
「はい、貴方は引かれそうな猫を助けた、捨てられていた死ぬ寸前の猫の命を救った、というだけでなく、本当に多くの善行をつんできました。」
「え?ぇと、はい…」
「そのため、どのように生まれ変わるか、を選ぶ権利が与えられています」
「どのように生まれ変わるかを選ぶ権利?」
生まれ変わるのを選べる…ってことか?
どうしよう…確かにそれは凄いんだろうがどんだけ凄いのかがよく分からない……。
「ですが、どうしても出来ないことが一つだけあります。その…『元の世界』に『記憶を保持したまま』というのはどうしても出来ないんです……申し訳ありません……」
「い、いえ、それは別に…仕方ない事なら……。ということは、別の世界、?なら記憶を残したままでも大丈夫何ですか?」
別の世界があるのかは分からないが、話の流れと話し方的にあるだろうと考えて質問した。
「はい!それでしたら大丈夫です!」
「なら、それでお願いします」
…どのような世界に生まれるのかは分からない、だが、ここまで親父やお袋、他にも多くの人に支えられて生きてきた。
その記憶に消えて欲しい、消えても良いとは、どうしても思えない。
……それに、タマの事も…。
「随分と決断がお早いんですね…。今まで何回も貴方の様な人と話をしてきましたが、ここまで迷わなかったのは貴方が初めてです」
「いえ、迷う理由がありませんでしたから」
「……では、本当に良いんですね?」
「ええ、大丈夫です」
「では、生まれ変わる準備を始めさせて頂きます」
神様がそう言うと、神様の周囲に浮いていた光の玉がふわっと動き、俺の周囲で旋回を始めた。
少しずつ、意識が薄れていくのが分かる。
すると、神様が、先程とは異なる、響くような、凛とした声で俺に話し始める。
「生まれ変わる先は、貴方の願い、願望、欲望で決まります。生まれ変わりたい自分をイメージして下さい」
って言っても俺、大した願いもないんだが……。
そんな俺の心を知らずして、
だんだんと俺の周囲で回る光の玉が、速くなり、また、光も強くなっていく。
「どのレベルまで、自身の願いが叶うか、というのは、生前の善行で決まります。ですが、貴方のつんできた善行は、とても清く、大きいものです。
貴方の望んだ人生が全て手に入るでしょう」
一層光量、速度が速くなり、目の前が光に染まっていく。
「貴方の第二の人生に、幸があらんことを……」
こうして、俺の意識は全てが光に染まって行った。
◇◆◇◆◇◆◇
光の残滓が残り、より幻想的な雰囲気を出している、真っ白な空間。
その中に、一柱の神が佇んでいた。
神は、自身の周囲に浮かぶ一際大きな光を放つ光の玉に触れ、呟いた。
「先程の人は、どのような願いを持っていたのでしょう……?」
人の世界で善行をつむか、試練を受けること等魂を高めることで魂力という、ポイントが加算されていく。逆に悪行をはたらけば、そのポイントは一気に減っていく。そして、そのポイントが多い程、次の人生では良い人生に恵まれ、逆に少なければ修行、罰、として、人間であれば動物に生まれ変わるなどの厳しい生を受けることとなる。
更に、ほんの一握りの人間だけだが、一定量以上の魂力を獲得できた者だけは、良い人生というだけに止まらず、自身の願うがままの人生を送ることができる。
そう、神は魂力を基準として、人に新たな人生を与える。
だが、時々居るのだ。
多くの善行を積んでおきながらも、大きな願いを持たない無欲な人間が。
「えぇと……え?」
先程の彼こそそのいい例だろう。
多くの動物の生命を救い、また、神と世界との繋がりすら守るという偉業を成して起きながらも、彼の持った願い。それは……。
「…このままでは彼は魂力に見合わない生を送ることになってしまいます……そんなことをしたら…きっとセンパイに…うぅ…考えただけでも恐ろしいです……」
神は、魂力、に見合った人生を人に与える。
それは不変のルールだ。
だが、大きすぎる善行をつみながらも、その持つ願いが少なく、自身の善行に見合わない人生になるような人間に対しては、願いの叶えようがない。
そのため、魂力に見合う人生を、と幸運の値を限界まで上げることや、健康な人生のために常人の何倍も丈夫な体、転生して多くの選択肢を持てるよう、身体能力、知能の高い体を与えることなどをする。
「どうしましょう……動物に生まれ変わる、というのは通常ならば罰になりうることで…それが願ったことであっても試練を受けたと判定されて魂力が加算されます…し……ってぁあっ!」
突如、神が悲鳴じみた声を上げた。
「転生魔法陣…ここの魔力経路がずれて…あの人の元の世界に似た世界に送るはずだったのに、全く別の世界に……えぇと、この世界は……」
瞬間、陶磁器のような白さの肌を持つ神が、更にその肌を白く染めた。
「どうしましょう……この世界…あの人の元の世界と真逆の…世界です…今から術式を組み替えるわけにも行きませんし…これでは更なる試練として益々魂力が加算されて…」
神は、悩むように少し唸った。
「ステータス補正…加護…いえ、それではまだまだ魂力が余ってしまいます…固有能力を複数持たせて…むぅ……」
先ほどから身に纏っていた幻想的な美しさはどこへやら、ぷくーと小さい頬を膨らませる。
それは、小動物のような仕草で、どこか見た目に見合った仕草に思えた。
次回から本編?に入る予定です。こんな作品を一話目で見捨てずにまたご覧下さった貴方は神様です。私が崇めます。