プロローグ
宇宙が好きだけどSF書けませんので。そんなジャンルあるか分からないけど、エセSFファンタジーです。
ある機械兵はペンを取った。
──彼の者、勇敢な者であり、罪深き者であり、嘆く者であり、傲慢な者であり──
長年使い込まれたペン先は上質な紙の上を、さながら氷の氷面を滑るかの様に馴れた手つきで疾走する。
──その所業は人に有らず、人外のそれであれども誰も責めることなど不可能だろう──
一切の狂いなく美しく羅列してく文字からは、その機械兵の感情が読み取れる。
──故に、彼は己に絶望したのだろう──
そして、何時までも止まる事なく続くかに思われた、ペンが停止し、機械兵はペンを置いた。
綴られた文字は淡い光を放ち、紙が水が染み込む如く徐々に収まる。それをじっと見つめていた機械兵は目元を押され一時、上を見上げ何かに耐える仕草をする。
「アナタは……充分……頑張りましたよ…………だがら」
月機兵は再び震える指でペンを掴み、最後の一文を書き加えた。
──どうか、安らかな眠りから彼が目覚める事が無いことを私は願う──
記録者──機械兵はそう祈願と共に記述したのだった。
だが、その願いは脆く崩れ去り化け物はその虚無に埋もれた意思で大地を空を噛み締めるのだ。
まず目覚めた、化け物は形を無くしていた。
空と大地を覆う黒と言う色彩が化け物を示すモノであった。突然訪れた異変に、その星の人々は困惑しその元凶たる化け物を排除しようとする。だが、数多もの戦士や騎士、魔法師や魔術師等が果敢に立ち向うも敵わずその命を散らした。
次に化け物を外的に倒す事は無理だと痛感した人らは、巫女や神官等の封印を得意とする封じ手達を集めた。しかし、例えどんな魔物や獣で封じてきた術は化け物には通じず、それもまた無駄となる。
そして、自分達の星では手に終えないと外部の者──異星に苦渋の決断の後に助けを求める。だが、取引に差し出せる資源の少ない星であった為、たいした力も得ることが出来ず。成す統べなく刻々と拡大し黒は侵食する。
恐怖した人々は、後にどんな見返りが求められるかも分から無いが所構わず依頼を出した。
「誰か、どうかあの化け物を排除してくれ」と。
それ応えた数は多けれども、並の組織では太刀打ちできず同じ結末を辿るかに思われた。その時、悪名高いある機関が依頼に名乗りをあげた。
機関の名を【異星観測機団】通称、観測団。
何処の国にも星にも属せず、孤高を貫く実力が有るだけに手出し出来ない傍迷惑な集団。観測と名が付くが、報酬さえ貰えれば良し悪しを関係なく請け買い。達成率は驚きの99%と、マトモな思考の者なら普通は疑うレベルだ。
だが、そんな他者他論の意見など聞く耳を持たないが為に、好き勝手やっているのだ。元に、馬鹿げた報酬を依頼主に突きつけ観測団らは仕事をする。
そして────依頼は完遂された。
不定期更新になると思います。