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三話 母親は龍 父親も龍

こっから主人公視点です。

ふと目覚めると、暗闇だった。とてもあったかい、落ち着くような暗闇だった。ここ最近寝てなかった気がするからいくらでも寝れると、確信が持てた。

とりあえずまだ眠いしあったかくて動きたくない。あーソシャゲの体力ぐらい消費しといた方がいいかな。なんかめんどいんだよねー。

というわけで寝よう。

寝れるだけ寝ることにしよう。

最高の贅沢の一つじゃないか。時間を気にせず寝れるってさ!まあいつも気にしちゃいなかったけどね。



ん?明るい?いやーなんかスッキリしてる?もう眠くないっぽい?起きるか。

地表に立とうとするが、立てない。というか滑ったのかこけた。

「あでっ!」


「グウゥゥ?」


グウ?なんだ?なんかいるのか?随分近いと思うが…見渡す限りというかなんかなめらかで肌触りのいい綺麗な、なんだこれ?よくわからんが白いのが螺旋状に覆ってる。ここどこ?自分の状況がわからないぞ。


思い出せ。思い出すんだ。自分…

確か俺は里加美 流歌 高校1年でここ最近イジメが流行りその対象を助けた結果、イジメの対象が俺に移って、確か屋上でリンチみたいにボコられて、チャイムが鳴って教室戻ろうとした時だったか雷が鳴ってたんだっけか?あとは忘れた。


うん。なるほどな。俺は監禁されたのか?

すげえ部屋だなこれ。隙間なく真っ白い螺旋ってさ普通こんな材質の部屋つくんねえよな?

ドアはねえし、屋根はねえし。新手の落とし穴か?

あと俺よく見たら裸じゃん。全く武器なんて持ってないってのに。

そういや何日寝てたんだ?腹減ったし、トイレ何日行ってねぇんだ?わかん…ねえ…なあ?

な!ない!俺の股間部にあるはずのモノがない!?

なんだどういうことだ!?

俺はすでにアタシになっていた!?

てか手術!?切り取られちゃったの俺のモノ!?

イッタイどーいうことなんだ!?!?


「グウゥゥ。」


おや?螺旋が紐解かれていく?上からなくなったぞ?外が見えるようになるなこれで。つかこれ部屋じゃないよねそーだよね。てかこんな気持ちいい素材の部屋ないよね!


紐解かれて見えた1番の景色は、湖だった。とても綺麗ですごく澄んでいる。周りを気で囲ってできているのを見るとどっか森かな?

なんだって俺はこんなところまで連れてこられたんだ?


「グウゥゥ、グウ」


「ん?」


さっきからなんか聞こえるけどなんだ?犬には聞こえないし、こんな声で鳴く生き物知らないぞ?


少し辺りを見渡して確認するが見当たらない。

と、湖の中心部から水が持ち上がる。

そしてその水が落ちて出てきたのは、鮮やかな青で統一されていて、まるで東洋の龍によく似ていた。


ん?こいつはファンタジー的なやつですか?

ただ、でかい!

え?なんか三階建のマンションサイズで見上げてんだけど?

さっきの螺旋ってこれ?いやこの龍に包まれて寝てたの?もうわけわからん。


『もし、リュウカ?聞こえてる?』


頭に声が聞こえてくる!?何?直接頭にきてる感じするよ!?どーなってんの!?名前までわかってんのかよ!?


『何やら錯乱しているようね。キョロキョロ見回して、私はここよ?』


えどこよ?ってうわあ龍の手に乗せられた!?

長い首でこっちに顔を近づけて来る!?

なに?もしかして??いやもしかしなくても大ピンチですね!!わかります!!!


「なにもしないんで食べないでください!俺なんて食べても美味しくないですよ!!」


『?…ふっ、ふふ私があなたを食べる?馬鹿なことを言わないで?』


「わっ、えっ?」


龍の頭を近づけて、まるでじゃれつくようにゆっくりとこちらに頭をすりつけてくる。

なんだか妙な気分だ。

ただ一つ思ったのはこの龍はとても心地いい。触ってもすりつけられてもただ気分がいい。安心できる。


『私があなたの母よ。リュウカ。それがあなたの名前。私とゴーランの可愛い息子。』


息子。なるほど。今の言葉でようやくわかった。

俺は異世界転生をしたらしい。


『かしこまる必要はないわ。待望の息子ですもの。わからないことがあったら聞きなさい。存分に甘えなさい。』


なんだろうこの感じ、母龍からベタベタの溺愛を感じる。龍ってこんな子供に甘いのか?…

いや待てよ?俺の今のサイズは母龍に比べてざっと十分の一。このサイズ比率…


俺愛玩動物じゃん!



そして『ソレ』はやってきた。

『ソレ』が何か?

パパだよパパ。マイファザー。

いや〜参ったね。

なんか風が強くなったと思ったら俺浮いてんの。

さすがに意味わかんない?


一回風が強くなってきたなーと思ってたまたま、目を閉じた瞬間違和感が、目を開けたら空中に放り出されていたというわけよ。


『あの馬鹿、帰るときまで全力でどーすんだい全く…』


なんか聞こえたのと同時に、お母様に捕まえてもらいました。さすがですね!お母様!


『かしこまらなくていいと言っているとでしょう?様付けなんてしないで、母さんでいいのよ?』


おや?読心術が使えるようです。こんな能力まで持っているとは、ぜひ覚えたいですね。お母様!


『これは念話。生まれたばかりであまり制御できてないようね。そのうち教えましょう。心を読むことは出来ないからね。』


「お願いします!お母様!」


『だから様付けしなくていいと言っているのに…』


「グラアァァァァァァァァ!!」


「ひゃっ!?」


急に大きな咆哮がなり、その方向から今にも飛ばされそうになるほどの風が吹く。


ヤバいヤバいしがみつかなくては!失礼しますお母様!


『あら。必死にしがみついて。可愛らしいわねぇ。少し役得な気分。でも…』


しがみついたのは一本の指。その爪先から魔力?が流れてきている気がする!龍がいる以上さすがはファンタジーですね!魔法だ!魔術だ!!異世界転生始まった!!!


『現幻の氷壁』


爪先からほとばしる魔力は空中で二枚の氷の壁となり、風のくる方に向けられた。


『少し仕置しておくわね。ゴーラン。』





む?

いつの間にかミリューのやつ起き上がっているではないか?おおもしや我が子リュウカが起きたか?すぐに行かねばな!!


「ミリューよ!リュウカよ!起きたのだな!!!」


スピードをグングンあげて向かうと氷壁が見えてきた。


(氷壁?ミリューめ、我を止める気だな?そうはいかん。父の威厳としてまずはじめに強大な力をと速度を見せつけねばならん。

いやむしろ、この氷壁を壊せば良いのではないか?よおし、見ておれリュウカ!これが父の力ぞ!)


さらに速度をあげて氷壁を頭から突っ込み破ろうとするゴーランだが…




ゴーランたらカッコつけたいのがバレバレなのよ。全く。リュウカが怯えてるじゃない。


『今すごい速度でお父さんが飛んでるけど、あなたを驚かせた張本人だからお仕置きするわ。見ててね。』


そう言うと、氷壁のうち一枚は上に登りながら厚くなっていく。


そしてゴーランが一枚めの氷壁に当たる瞬間だった。

二枚めの氷壁は表面を下に向けていた。そして…


ゴーランを上から叩き落とした!


ゴーランが落とされた場所は湖だったため主だった被害はない。

このような行為も頻繁に起きているため湖の中に住む魚たちも被害が出ないように中に潜めている。


『湖の皆さん、いつも騒がしくてすいません。』


ミリューが言うと湖の水面から水竜やら魚やらが顔を出してミリューに向けてパクパクして何か言っている。そしてすぐに戻ってしまった。


そしてすぐにゴーランの巨体が浮かび上がってくる。顔はこちらに向いておらず、何やらショックを受けていた。


(うう、少しぐらい、少しぐらい息子にカッコつけても良いではないか…うう。)


相当堪えているらしい。

が、そんなショックだとはミリューは思ってないし、そうだとしてもリュウカを驚かせる理由にはならないというつもりなので、ミリューはこれよりゴーランにお説教タイムである。




いやあ何あれ?いきなり仕置って言ったけどさ?

やりすぎじゃない?

あの深緑色の肌なのか鱗なのかをした西洋の龍に似た感じの龍が俺の父親なんだね。もとより異種配合って感じのハイブリッドらしい。

いやすごい速度だったし風も半端なかったから飛んでってしまいそうで怖かったんだよ。

ただ、俺が怖がったのがいけなかったのか、母龍は氷の壁を作って湖に落としちまった。

普通に考えてたら落とすのではなく突き破られると思ってたんだけど、よく見たらあれ氷だったじゃん?日中でこおりの表面が溶けてる。そしてうまい具合に角度をつけて父龍の勢いを下に少しずらすじゃん。そしてずれた瞬間、待機してたもう一枚で上から叩きつけるとか。鮮やかなお手並みで父龍泣いてるけど?

ちょっとどころか思ったんだ。今。

絶対、ぜーったい、母龍を怒らせてはならん!


その日の太陽が真上に来るまで説教はおわらなかった。

イメージは母性溢れるお母さんと厳格な感じなのにはりきり過ぎて残念なお父さんです。

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