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13.カーチャンは正義の味方

「ではこれより作戦を説明する」


 俺とかしわもち、ゆうすけにクーピーちゃんがそろった。

 さらにムーンオニオンズ団のちびっ子5人、合わせて9人でミッションが開始されるようだ。

 さあ、団長の話を聞こう。


「先ほど、山にいる守り神の鳥のところから卵が盗まれたという情報が入った。大人たちは守り神のことを軽視しているのであてにならない。よって我らで卵を取り戻して巣に返すのだ」

「卵を盗むなんてひどいのにゃー」

「取り返せー!」

「子供は母親の宝だよ、絶対取り返さなきゃね!」


 盛り上がる子供とかしわもち。

 俺も内心わくわくが止まらないぞ。

 あれ? そういえばさっき巨大な卵を拾ったって人がいたような……。


「ではこれより情報収集を開始する」

「あの団長、実はさっき噂で聞いたんだけど」

「お? なんだカーター」

「巨大な卵を探している料理人がいるらしい。もしかしたら卵を盗んだやつはそこへ売りに行ったかも」

「なるほど……でかしたぞカーター。料理人と言えばレストランだ!」


 おお、NPCがこういう反応をするってことは正解のようだ。

 きっとどこかのプレイヤーが卵を盗んだことで、クエストフラグが立ったんだな。

 ありがとう、知らない泥棒さん。


「では、レストランへ向かってくれ。我々は準備ができ次第向かう」

「了解!」

「それとカーター、お前は単なる下っ端団員から使える下っ端団員に昇格だ。これからも精進するように」

「はい!」


 なんか昇格できた。

 では、4人でレストランへ向かおう。

 NPCが一緒に来てくれないのはいつものことだし気にしない。

 4人でわいわいしながら移動だ。


「まずクーピーちゃんが犯人に話しかけて気をそらしてね。私が向こうで爆弾を使って陽動するからゆうすけはその隙に卵を奪還。タカシは退路の確保だよ」

「それ昨日やってたアクション映画でしょ……」

「うん、かっこよかったよね。やってみたいなあ」

「わたしも見ました。財布を沼に投げこむシーンがよかったですよね」

「うんうん、あとキモいから名前で呼ぶなの台詞とか痺れたわあ」


 俺は見てないから、会話を聞いても内容がさっぱりだ……。

 この2人は男優の好みもばっちりあっているようだ。

 よくわからない会話をしながらレストランに到着した。

 中に入ると、ちびっ子5人が待っていた。


「お、やっときたか。すでに偵察は済ませた。お前の情報通り卵は厨房に置いてあったぞ」

「あらあ、いつの間に……みんな足が速いんだねえ」

「まあな、えっへん」


 NPCとはこういうものだ。

 待ち時間がなくてサクサク遊べるからストレスフリー設計。

 なお、クエストを受けている俺たちは通常入れない専用レストランエリアにワープしているはずだ。

 他のPCは入ってこられない俺たち専用空間である。


「では作戦を説明する。ここにさっき作った玉ねぎ爆弾がある。俺たちがこれを中で爆発させるからお前たちは卵を持って脱出してくれ」

「爆弾って……危なくないの?」

「大丈夫、涙が出るだけで怪我はしない」

「そうかい……まあ仕方ないか」


 と言いつつも、わくわくした顔のかしわもち。

 本来ならそんないたずらはだめだよ、と叱っていたところだ。

 でもようやくゲームをゲームとして楽しめるようになってきたのかもしれない。

 さっき言ってた映画の中のシーンにも似てるしね……。


「ではみんなこれを装着するんだ。卵を無事に取り戻したら港の秘密集合だぞ。準備ができたら言ってくれ」


 渡されたマスクとゴーグルを装着して準備完了だ。

 すごい不審な9人組となっているが、他のNPCはもちろん無反応だ。

 さっきからの作戦も聞こえている距離にいるのに無反応である。

 さあ……ミッションスタートだ。


「団長、準備完了だ」

「よし、では幸運を祈る。作戦開始!」

「くらえー!」

「うにゃー!」

「なんなの!? 急に目が……何も見えないわ!」


 ウェイトレスがひるんだ隙に厨房へと移動する。

 そこにいるコックさんにも玉ねぎ爆弾を投げつけるちびっ子。


「そいやー!」

「うわわわっ! なんだなんだー!?」


 そして奥に見える巨大な卵。

 重そうだな……だけどかばんにしまえば重さなど無関係だ。

 俺は卵に手を当てて念じる。


――このアイテムはかばんにしまえません。持ち運んでください――


 なんとも無慈悲なシステムメッセージが流れた。

 どうやら面倒なクエストのようだ。


「ゆうすけ、これは運搬アイテムらしい。2人で持つぞ」

「わかった」


 結構な重さだが、ゆうすけと2人で何とか運べそうだ。

 かしわもちとクーピーちゃんに誘導してもらってレストランを脱出する。

 そういえば、これを盗んだやつは山からここまで運んで来たのか……。

 とりあえず秘密基地まで運ばなくてはな。


「2人とも大丈夫ですか? 疲れたら変わりますね」

「大丈夫、ここは男に任せておいて。な、ゆうすけ?」

「う、うん……」

「そうですか……すみません」

「これだけの卵だと巨大げっこうができるねえ。あ、でもそんなフライパンがないか」

「食べちゃだめだよ母さん……」

「冗談だよー」


 先ほどの争いなどなかったようにのんびりしたムードで移動だ。

 俺とゆうすけは汗だくになりながらも秘密基地へと帰還した。


「お、帰ってきたか。作戦の第一段階は無事終了だな」

「重かったよ……。これを山まで運ぶのはちときついぞ」

「大丈夫。台車を用意していたぞ」

「そうか、それなら安心だ」


 じゃあ最初からレストランに持ってきてくれよ、と思ったが……そういう設定のクエストだから仕方ない。

 ま、台車があるならここからは余裕だな。


「では、卵は我々が運んでいく。山の入り口集合だ。モンスターから護衛してもらうから頼んだぞ」

「了解」


 どうやらこの後は護衛クエストになるようだ。

 いろいろやらされるんだなあ、これはクエスト報酬が楽しみだ。

 あの山のモンスターは俺たちのレベルなら余裕なので、楽なクエストになりそうだぞ。



 というわけで山に向かうと、NPC達がどこからともなく現れ護衛がスタートした。


――このクエストの間はレベルが15に制限されます――


 おおう、簡単なクエストと思いきやレベル制限か。

 これは俺たちのレベルがどんなに高くとも、Lv15程度の能力しか発揮できなくなる。

 簡単なクエストにも緊張感を持たせるためのシステムだが、正直面倒である。


「母さん、ここからは僕らも弱くなるから慎重に進むよ」

「そうなの? ゆうすけが月光でばっさばっさ敵を倒してくれるんじゃないの?」

「あれが使えないくらい弱くなっちゃったんだ」

「あら残念……あれ見せたらみんな喜ぶと思ったのになあ」


 ゆうすけが使う侍の技、月光は高レベル専用のため今は使えない。

 というわけで初心に帰ってバトるとしよう!

 でも、この山って危険なモンスターは少ないから大丈夫かな。


「ゆうすけ、鳥がふわふわ飛んでるよ。あれもモンスターかい?」

「うん、でも襲ってこないモンスターだよ」

「じゃあ近くで見ようっと」


 そう言って鳥にたたたっと走っていくかしわもち。

 だが……普段おとなしいはずの鳥はかしわもちに襲いかかってきた!?


「きゃー、食べられちゃうよー」

「母さん!? ていやっ!」


 ゆうすけが刀で斬りかかり、俺も斧を振って鳥をぶん殴る。

 クーピーちゃんが魔法で援護をしてくれ、かしわもちは……子供たちの前に立ちはだかっている。

 慌てふためくかと思いきや、子供を守るという使命を忘れていないようだ。

 こういうところはさすが母さんである。


 不意はつかれたが、1匹だけなら雑魚なのであっさり倒し終わった。

 でもなんでこの鳥は襲ってきたんだろう?


「おい、山の守り神の卵がを盗まれたせいで空気がおかしいみたいだ。モンスターもピリピリしているみたいだから気をつけて進むぞ」


 団長が子供とは思えないわかりやすい説明をしてくれた。

 というわけで、道中のすべての敵を倒しながら進むこととなった。

 こういった護衛クエスト中はNPCにもHP表示が現れる。

 さらには卵にもHP表示があるようだ。

 おそらく子供か卵、いずれかのHPが0になればクエストは失敗だ。


「せいやーっ!」

「そおいっ!」

「回復します!」

「げっこう!」

「綺麗なのにゃー」


 俺とゆうすけが敵を引きつけつつ撃破。

 クーピーちゃんは回復と敵を弱らせる魔法担当。

 かしわもちは護衛とにぎやかし担当だ。

 なかなかいいチームワークで進んでいく。


 なんとも面倒なクエストではあるが、正直楽しいぞ。

 そして……俺の頭はクエスト報酬が何なのかということでいっぱいだった。

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