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うみマニアのやりこみ冒険記  作者: ふんにゃり
 瘡魚(カサゴ)の章
95/145

第87魚 1月16日~2月13日⑦

明日投稿分までは予約済みです。


土曜日の投稿はお休みとさせて頂きます。日曜日は投稿できるはずです。

 2月8日~2月11日


 翌日以降も下校後にログインするとアーリルの街にシラバスへの道中に入手した新素材を売り流通させていく。ヒロ以外のメンバーはまだ央都を中心に活動しているのでしばらくアーリルには戻ってこないらしい。ハヅキに会えないのは非常に寂しいものがあるが、船を機械化するための資金稼ぎをおもにする理由として我慢した。


 その日からヒロの日課はオースナルへ転移し周辺の海底の探索をしては素材を売り払い順調に鉱石の仕入れに必要な資金を稼いでいった。あいかわらずアデルからの木材の購入は続いているので加工したものをバザーに流すなどして少しずつだが資金を増やすことに成功した。


 なお、シラバスに行く時に漂流したサハギン達のいた島への航路はタルトに航路を逆算してもらい辿った事ではっきりとした位置を知ることができたので数日に一回は採取に行っている。相変わらず夜になるとサハギンたちがバカみたいに襲ってくるがそれにも慣れたな。あいつらはあいつらでちょくちょく宝石を落としてくれるので地味に金稼ぎに使えるんだよな。




 そんなこんなで11日の金曜日のログイン時、オースナルからジャポンへ向かう為に回復剤などの準備をしていると珍しくジャックから連絡が来たのだ。


 『武闘祭ぶりだね。いきなりだが頼みたい事があるんだけど今、時間大丈夫かい?』

 「問題ないぜ?どうした?」

 『その前に君は水に関する探索や戦闘は得意と聞いたけど間違いないよね?』

 「あぁ、水にというか川とか海とかの水系フィールドの探索は得意だぜ……で?」

 『央都の北に湖があってね?そこに龍が出るんでそれを倒すのを手伝って欲しいんだよ。というのも実はこの龍がスキルスロット開放の核となるモンスターのようでね。攻略組のメンツでは数人しか水中での戦闘がほとんどできなくて負けっぱなしなんだよ』



 ジャックからの話を要約するとこうなる。ジャックたちは央都で色々なクエストを消化していき、やっと見つけたスキルスロット枠開放のクエスト。だがそれには央都北部の湖にいる龍と戦う必要があるが水場でまともに戦闘できる戦力が乏しくクエストが進まなくなったと言うことらしい。

 困ってた所でヒロが水に関するフィールドの情報を自身の運営するサイトにあげていることを思い出し声をかけてきたということだ。


 「手伝ってやりたいのは山々なんだが、おれはまだ央都に行った事が無いんだ。それにそのクエストを手伝うにしても俺も途中のクエストを消化しないとダメなんだよな?そうなると時間的に厳しいと思うぞ」

 『なんだって?まだ央都に来てすらいないプレイヤーがいたとは……い、いやそんな事はどうでもいいね。央都までの護衛も僕らがするから助けてもらえないかい?クエストの受注に関してはパーティリーダーでない限りは便乗できるからクエストをクリアしていなくても参加はできるからね。途中のクエストをしていないとスキルスロット開放の報酬は出ないが……』

 「そうか……いいぜ。手伝う……いつからやるんだ?」

 『勿論今からだよ。すぐにアーリルに迎えに行くから準備してくれるかい?』

 「突然すぎるな。だが別件で遠出する準備をしていたから問題ないぜ」


 その数分後、ジャックやエンオウといった武闘祭で見かけた面子がそろう中にベルたち3姉妹の姿もあった。


 「お?ベル達じゃないか。お前らも龍で止まってる口なのか?」

 『えぇ、強さは大したことないと思うのだけど半分ほどダメージを与えると湖に潜っちゃってこちらの魔法や攻撃が通らなくなって詰んでるのよ』

 『水に潜ってからは姿を現さずに水中から攻撃をして来るんだよ!お兄ちゃんコレ酷いと思わない?』

 「たしかにそうだよな。運営もどういった理由でそんな設定にしたのかね?」


 スクルドやベルたちから龍の攻撃パターンの説明を聞いておき、脳内シュミレーションをしておく。そんなこんなしているうちにメンバーの準備が整ったので一向は漁師村から西の洞窟へ向い、そこから一気に央都へ行った。





 央都の大きさに「ほぇ~」となっているヒロに苦笑しつつジャック達は龍のいる湖へと進んでいく。

湖に着くなりクエストウィンドウが出現し《スロット開放クエストを開始しますか? Y/N》と言う表示が出る。これに関してはジャックから操作をしないように注意されていたので無視している。ちなみにヒロがイエスを選択したとしても途中のクエストを消化していないため開始されることはないのだが……。


 『さて、では説明をしていくよ?前半戦僕らで龍の体力を半分に削ると龍は水に潜っていく。その後は水で行動できるメンツが潜り水中で討伐もしくは水面に追い出すと言うことをしてもらおうと思う。

半分以下まで減った後の行動は未知数なので水中メンバーは各自注意してほしい。何か質問は?』


 ……どうやらジャックは俺が質問をしてくると思っていたらしいが何も聞かれなかったことで拍子抜けした表情をしている。


 『ほんとになにもないのかい?』

 「あぁ、ベル達から流れは聞いてるからな。質問があるとすれば俺は俺で最初から水中で行動するけど問題ねぇよな?」

 『あぁ、君は水棲種族だから地上での闘いには向かないことは承知しているから問題ない。だが水中にいるとこちらからの回復スキルも届かないことは了承してくれよ?』

 「大丈夫だ。自分の回復程度ならアイテムとスキルで何とかなる」

 『了解だよ。じゃあ……クエスト開始するよ!』


 ジャックの掛け声の下、エンオウ・ウルド・スクルド・ベルダンディ・そしてヒロは同調の声を出す。

そうしてはじまった龍との戦いだが湖にすぐに潜ったヒロはすぐ龍に対して看破を行う。


 湖龍  龍/クエストボス

 体力 20500

精神力 12000

攻撃力 1520

ドロップアイテム:湖龍のウロコ・龍の秘肉・湖龍の肉・龍のヒゲ・スキルランダム

討伐報酬:龍の皮

単独討伐報酬:龍卵



 「央都のボスといってもこの位あるんだな。ケルピオーネの1/3ってとこか。パーティで戦うなら妥当なとこか……」


 水面ではベルたちの攻撃魔法が飛び交い湖龍にダメージを与えていく。そのダメージ量は思ったより少ないが……。


 「おかしいな?ベル達の攻撃力は結構高い方なのに湖龍の体力の減りが甘い……」


 首を傾げつつもヒロは水面下にある湖龍本体に槍を突きこむべく接近した。しかし湖龍は水中にも目があるかのようにヒロの接近に対して尾による迎撃をしてくる。


 「ふむ?水の動きでこちらの動きを予測していると言うことかな?……それならば……」


 ヒロの攻撃が当たらないと言うわけではないが掠りヒットが多いので思うように湖龍の体力を削れないのは事実である。なのでヒロは上級水魔法の〔メイルシュトローム〕を発動し大渦の発生により、予想される水の流れを狂わせてから攻撃に転じることにしたのだ。


 案の定、湖龍は大渦の影響で水中にいるヒロの動きを察知できなくなり、先ほどとは打って変わって攻撃が当たり始める。


 湖龍  龍/クエストボス

 体力 10155/20500

精神力 8100/12000

攻撃力 1520



 湖龍の体力が半分を切ったが聞いていたような水中に潜って行動するという要素がないまま、水上ではジャックたちの攻撃が続く。ジャックたちも今までと違う行動パターンに戸惑っているようだが水中に潜らないならばコレはコレでラッキーだと言わんばかりに攻撃の頻度を更に高めている。


 そうして湖龍の体力は4分の1位に成った時、湖龍がとうとう水中に潜ってくる。湖龍のターゲットは既に地上のジャックたちではなく先ほどから執拗に攻撃を加えているヒロ一択である。


 ジャックたちからは『後は任せる』と言うチャットが届き、ベル達も似たような励ましの文章を送りつけてくる程度だ。


 湖龍としても水中での戦闘の方が得意ということもありヒロとの戦いは都合10分も掛かることになる。

湖龍の魔法で湖の水の流れを狂わせようとしてきたがヒロは【気流制圧】と【処水術】でその思惑は無効化される。修行時にオケアノスに連れて行かれた海流の方がよっぽど酷かったんだよと声を大にして言いたいものである。


 湖龍の魔法が不発(結果的にそうなっただけだが)に終わり、その魔法が発動中に湖龍との距離を縮めたことで槍の間合いに入ったので久しぶりにノーデンス(クトゥルフの夜バージョンな?)に見せた槍の奥義を発動させた。


 「とりあえずコレでも食らって死んどけよ……奥義【極・無双九星衝】!」


 槍の間合いから高速の9段突きに湖龍の残り体力で耐え切ることはできずその姿を消滅させることになった。ただしこの奥義を使った後しばらくは、行動制限が掛かるんだ。というのも奥義自体は上級スキルになった瞬間から使えるのだが武器レベルが低いうちに使うと行動制限などが重いんだ。

 魚神島でノーデンスに見せた後は武器レベルが3だったこともありデスペナの如く能力値がダウンし水中と同じ能力値が出るはずの場所でも地上と同じような気だるさに襲われるのだ。


 ヒロの現在の上級槍レベルは15レベル。奥義発動後のペナルティは能力40%ダウンといったところか。

ヒロがそんな気だるさに襲われている中でジャックたちからは早く上がってこいとの催促が……。


 ヒロはしばらく動けないと返事を返すとジャックたちは心配していたが、ヒロが「早くクエスト進行してきな」というとジャックとエンオウの二人は手伝いに関しての礼のメッセージを送り町に戻っていった。ベル達3姉妹はヒロが上がってくるのを待ってくれているようだ。


 能力ダウンの異常が治まり地上に戻るとスキル拡張を終えたジャックとエンオウも戻ってきており、ボス素材の分配の話となった。基本は入手した素材はその人の取り分ということになっていたのでそれぞれが必要・不必要な素材を交換していく流れだ。


 ヒロのドロップアイテムはウロコが2つと龍の肉が1つだった。ジャックやエンオウに話をしたところ2人は防具素材にウロコがほしいといっていたので肉と交換してやった。勿論肉と交換した理由はタルトのエサにするからである。


 交換などが終わり央都ヘ戻ってきた一行はそれぞれ解散したのだが、3姉妹に欲しいものがあるので湖龍とタイマンで戦いたいことを申してみた所、拡張クエストまでの流れを手伝ってくれた。お使いから始まって素材集め・近隣のモンスター退治などベルたちに迷惑をかけたが0時過ぎにはスキル拡張のための湖龍と戦う寸前まで来ることができた。……ヒロ一人でこの一連のクエストをやるとすれば1週間は掛かりそうだ。(おもに地上モンスター討伐関連で)


 手伝ってくれたベルたちにお礼を言いその場で解散した後、ヒロは一人で湖龍に立ち向かい、20分の戦闘を経て討伐完了。一人でボス討伐したことにより大量ドロップするアイテムを総取りし、単独討伐報酬の【龍卵】もゲットした。

 その後はクエストの報告をしてスキルスロットを無事開放した。12個目のスキルはまた明日にでも考えることにしてログアウトした。

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