第82魚 1月16日~2月13日②
先日 予告したとおり次話以降の投稿が週2~3回になります。
予定としては2月いっぱいまではこの流れになりそうですがご了承くださいませ。
もちろん余裕ができた時は、がんがん投稿していきますので!
これからもよろしくお願いします。
1月29日~2月3日
《落水の遺跡》の最下層でオケアノスに殺されテアトルの教会に戻った後はそのままログアウトし、翌日は月曜と言うこともあり学校が終わった後にログインすることになった。
「お?なんかメッセージ来てるな。誰からだ……えっとオケア……何ぃ!?」
メッセージの差出人は昨日戦った魔王の一柱オケアノスからだった。メッセージには一枚の航路図が添付されており、その航路が開かれた先にいる場所に会ってほしい人物がいるという内容で、特に期限は設定されていなかった。質問をしようと思いオケアノスに返信コマンドをしてみたが宛先不明で連絡が取れなかったので、次回会えたら質問してみようと心に決めた。
それはそうとオケアノスに殺され死に戻りしたヒロだが、ステータス低下系のデスペナは間違いなく食らっているのだがドロップアイテムが減っている事はなく不思議に思ったが、少し考え減ってないなら良いやラッキ~程度に考えがおさまり、武器に使えそうなレア素材はハヅキに、食材はメリルに振り分けてから余った分をバザーに出品しておいた。
そこまで終わらせた後はいつもどおり造船所に赴き、取りあえずは機械化する以前に必要となる大型木造船の完成を急ぐことにした。当然ながら落ちる前に魚神島にいってタルトにエサをあげるのは忘れていないぞ。忘れたらクトゥルフから催促メールが届くからな……。
『あの、ヒロさんお時間大丈夫ですか?お願いがあるのですが……』
その週末の土曜日である2月3日、珍しくハヅキがほしい素材があるから採掘を手伝ってほしいと声をかけてきた。
内容は東フィールドの深海エリアにある《海粒石》という素材を取りに行きたいということだ。この《海粒石》は数日前にヒロが採取で拾ってきた細かい砂のようなアイテムで、インゴットや錬金スキルに需要があり、結構採れた割にはレアアイテム判定を受けているらしく、武器や防具に使うインゴットに混ぜ込むことで普通に作ったものよりも上位の効果がつきやすいから多めに採りに行きたいと言ってきたのだ。
なお、ハヅキは鉱石を使った防具作成のスキルは持っていないが提携している防具職人がいるらしくその人からも打診されたらしい。
「もちろんいいぞ。……ちなみに二人で……だよな?」
『……そ、そうですよ。あまり大人数で言ってもヒロさんの邪魔になるかもしれませんし……』
「まあ近くにいてくれるならハヅキも含めて3人くらいまでならいけるぜ。所詮は東フィールドだしな。……ただ水中活動できない奴の安全は保障できねぇけどな」
『そうですね。何人か一緒に行きたいという方はいらっしゃるのですが【水中呼吸】と【潜水】はないと絶対無理といった所非常に残念がっていました。やはり2つのスキルスロットが埋まるのは厳しいですからね』
「だな。俺の場合はスキルスロット1つ増えたから他の人よりも余裕があるからいいけど、みんな大変なんだろうなぁ」
『攻略組の人たちが早く次の街と噂されている央都にいけるようにしてくれれば、スキルスロットが増えるクエストもあるかもしれませんが……』
「だな。だがまあその辺はベルやウルドさん達に任せておこうぜ。ベル達は陸上攻略組、俺は海上攻略組、ハヅキとメリルはそのサポート。これが俺たちの今の状態なんだしな」
『そうですね。私は私のできることをする為にも今日のこのお願いはやり遂げないとダメなんです。海の素材だからと言ってヒロさんだけにお願いするのも悪いですから』
ヒロとしてはその辺の採取は任せてもらっても良かったが、せっかくハヅキと二人っきりになれるチャンスを棒に振るような発言をするはずはなく、意気込むハヅキを見て微笑んでいた。
数時間後
『この辺の海底エリアでの行動ですけど、今の私のスキルレベルではこれ以上は厳しいです……ごめんなさい』
「いや、気にしなくて良いぞ。むしろハヅキのスキルレベルでここまで潜ってこれた方が凄いというべきだしな。だからあとは俺に任せて今はスキルレベル上げに専念しておきなよ」
そんな会話を交わしている時、ヒロとハヅキの周りにはリュウキュウノツカイという槍を持ったタツノオトシゴの見た目をしたモンスターが3体、ゴスペラーレイというエイというかカレイというかそういったモンスターが2体いる。
「こいつらなら前に何度も倒してるから心配は要らない。今さっき言ったが、コイツラは動かなければ近寄ってくるタイプのモンスターじゃないからハヅキは【水中呼吸】と【看破】レベルを上げることに専念してくれ。その間にこいつらを片付けるからな」
『わ、わかりました!補助魔法も使わない方がいいんですか?』
「ん~、動きに反応するから、使うなら俺が2体以上倒してからにしてくれるか?」
『はい……じゃあヒロさんお願いします!』
「おう!大船どころか大型浮遊船に乗った気で構えてれば良いぜ。沈まないという意味で……」
軽口を叩きながらまずは身近にいたリュウキュウノツカイを2体槍で貫き、その動きを察知し攻撃を仕掛けてきたゴスペラーレイ1体を振り向きざまに一閃し倒す。そこにハヅキから移動速度上昇系の補助魔法が入ったので、仲間を殺され怒り状態になったリュウキュウノツカイの残り1体を背後から貫き倒した。
残った方のゴスペラーレイだが、ヒロではなくハヅキにターゲッティングしていたので、ヒロは初級水魔法の〔水刃〕を使い、ゴスペラーレイのターゲットをヒロに向けさせた。狙い通り目標をヒロに変え近づいてきたゴスペラーレイを近距離からの【機械弓】で倒した。
『ヒロさんはやっぱり凄いんですよね。私の【看破】だと体力が4桁あるって言うことくらいしかわからないモンスターをあっさりと倒しちゃうんですから……』
「まあたしかにこの辺のモンスターは体力が多い方だけど、動きが単純だから他のプレイヤーでも数回デスペナ食らえば倒せるようになると思うぞ」
『普通はそのデスペナを食らいたくないと思うんですけど……』
ヒロの普通プレイヤーと言えない発言に若干呆れながらもハヅキは周囲にある岩にツルハシを振るいながら採掘をし始める。
「……なるほど、【採掘】作業をしながら【水中呼吸】も育て、かつ素材も集めるという方法か。さすがハヅキだな。生産職だけあって効率の良いやり方をしっかり理解できているなぁ」
『そ、そんなことないですよ。私なんてまだまだです。メリルだったら【調理】作業も入れますよ』
「うちの生産職人達は効率厨なのかも知れないが悪いことではないな。むしろ良いことだと抱きしめたくなる」
『だ、抱きしめ……』
「こらこら、冗談だから本気にするなよ!(9割9部9厘本気だけどな……)」
『だ、大丈夫ですよ。ヒロさんはそんなことしないって信じてますから(されるのがイヤって言うわけじゃないけど急にされちゃうと叫んでしまいそうです……)! 』
二人は内心を隠しながらハハハと笑いあった。
更に数時間後、何度か休憩を挟みつつハヅキが海底エリアでも採取ができる程度にスキルが成長したので本格的に採掘作業に入った。ハヅキが採掘中はヒロが周りを警戒しながら、点在する採取ポイントから【超採取】をつかって根こそぎ集めていく。採掘ポイントと採取ポイントが同じ扱いだったら文句を言われそうだよな。
『思ったより集まりませんでした……残念です』
ハヅキもたくさんの採掘ポイントを回っていたのだが《海粒石》は10個程度しか取れなかったようだ。
「あ~……俺が24個とってるからこれをやるよ」
ぶっきらぼうにハヅキに素材を手渡すヒロのことを、ハヅキは何故今更そんな態度をとるのかがおかしくなってしまい笑ってしまう。
「な、なんだよ急に笑って……」
『ご、ごめんなさい。ヒロさんが急にへんな態度をするからおかしくなっちゃって……フフッ』
「くっ、そんなこと言うハヅキには素材をあげないぞ」
『あん!だめですよ!一度貰ったものは返せませーんよっ』
今度はハヅキのかわいい態度にヒロが悶えるハメになる。ひとしきり、笑ったところで時間も遅くなってきたので、町へ戻りながら話をするという楽しい時間をすごしログアウトした。




