第75魚 1月13日~1月15日⑨
ぎ、ギリギリ日付内投稿!
内容は兎も角毎日更新!(だめじゃん!
そういいつつ26日以降 週2回投稿になりますので早めに予告をさせていただきます。
奪陣武闘祭 個人六回戦 開始10分後
フィールドには2つの影がある。片方は禍々しい槍を持つ男、そしてもう片方は道往く男10人中いれば10人全員(男色でない限りとつくけどな)が振り返る事間違いなしの美貌の女性……だがこの場においては美貌よりもその武力に観客は見惚れていた。言うまでもなく男はヒロ 女性はベルダンディである。
『フフッ、楽しいわ。初戦でいきなり貴方みたいな強い相手と戦えるなんて……ねっ!』
「いや、俺としてはアンタみたいな強い相手とはまだ当たりたくなかったってのがあるけどな」
ベルダンディの扱う獲物は長柄の先に鋭い刃がついている薙刀と言われるものだ。ヒロの持つ槍も長い武器なので余り接近しすぎずお互いの間合いでの攻防を繰り返している。
その内容は突いたり払ったりと言う基本動作ばかりなのだがお互いの振るう武器の速さにあった。ヒロが観客の目に追えない速度の連続突きを放ってもベルダンディはそれを難なく回避し、足元や首に向けて払いによる反撃を放ってくる。先に5回ほど試合があったが武器と武器だけでここまで鍔競り合うものはなかったので観客の盛り上がりは今までにないほどとなっていると言うわけだ。ちなみにフィールド上の二人だが戦いの中でこっそりと打ち合わせをしていたりする。
試合開始後5分後のこと
『貴方に聞きたいことがあるんだけどいいかな?』
薙刀による攻撃をしながらヒロに話しかけるベルダンディ。それを避けたり弾いたりしながら返事を返すヒロ。
「試合中だってのになんのようだ?」
『この試合なんだけどできればなんらかの縛りで楽しめないかなと思ってね』
「へぇ?なんで本戦でいきなり縛りプレイなんてものをするんだ?同意したとしてもどういった方向の縛りによるかで返答は変わるとだけ言っとくぜ?」
『えぇ、まず聞きたいのだけど貴方の得意な戦闘法は物理か魔法のどっちかしら?予選では魔法しか使ってなかったじゃない?』
「……まあどっちかといやぁ、物理攻撃の方が好きだけどそれが?」
『そう……それならお願いしやすいわね。この戦い魔法による攻撃と補助を無しにしない?さっきも聞いたけど予選では貴方魔法で勝ち残ってたじゃない?魔法も併せちゃうとこの本戦での制限時間30分しかない戦いの中では決着がつかないと思うのよ』
「ふむ。それって結局どういう意図があるんだ?別に30分で決着つかなくてもいいんじゃねぇ?」
『いやよ。私は順位と言うものは大事だと思ってるの。何事も一番を目指すように育てられたから余計にね。姉と妹も当然勝ちに来てるからね。あの二人にはどうしても負けたくないの』
「姉と妹ってもしかしなくてもウルドとスクルドだよな?パッと見た感じ雰囲気が似てるし」
『えぇ、……見てのとおり私達3人とも同じレア種族を取得してるじゃない?レアでも別の種族だったら今みたいな争いにはならなかったのだけどね……』
「その流れで何故この戦いに縛りプレイが関係して来るんだ?」
この3姉妹の種族は【ヴァルキリー】で序盤(LV30すぎ)の成長率が非常に高く、武器適性も全て持っておりなおかつ魔法も闇・無魔法以外ならば適正があるという種族だが欠点としては早熟期間終了後はかなり厳しい育成環境になると言うこと位か。そして羽はあるが天使や悪魔と違い【飛行】系列のスキルを持っていない。初期で空を飛べないくせに空中戦の適性は持っていると言う謎設定らしい。
……話がそれたが簡単に説明するとこうなる。ベルダンディが言っていた縛りプレイ云々はぶっちゃけ意味を持たない。姉妹に負けたくないと言うのは昔から勉強の成績は姉のものと比べられ悔しい思いを……運動はと言うと妹がインターハイに出場するほどのアスリート。ベルダンディだけが誇れるものがないとのこと。ここまで聞いた限りだとヒロはベルダンディにも その美貌!という誇れるものはあると言いたかったが本人が気づいていないらしいので言えなかった。
あと物理縛りの理由は単に魔法の戦いだと不完全燃焼で気分が悪いからという理由からである(ベルダンディ自身余り魔法が得意でないと戦闘後に聞いたが)
「そういうことか。?魔法じゃなければどのスキルを使っても良いってことでいいんだろ?」
『そうよ。どうかな?』
「もちろん乗った。その代わりだ。その条件を受ける代わりに賭けをしないか?」
『賭け?何を賭けるのかな?私のから○とか言わないわよね?それだったら却下するからね」
「んなもん賭けるか!!と言いたい所だが正解とも言えるのが困った所だな……俺がこの試合に勝った場合ベルダンディ……さんに俺の陣営に入ってもらいたい。知ってるかどうか知らないが俺の陣営は昨日立ち上がったばかりで人手不足で他の陣営から引き抜きでもしないとやってられんのでね。その代わりベルダンディさんが勝てば俺にできることなら言う事を聞こうじゃないか。どうよ?」
ベルダンディは薙刀でヒロに斬ったり足払いを仕掛けながらも考えをすぐに答えた。
『……ゲームのアバターなら別に構わないよ?私としては陣営なんてどこに行っても同じだしね。私が勝った時のお願いなんだけど~そうね。強いモンスターのいる地域の情報って所かしら。もう一つは武器の支援かしらね。貴方の陣営って掲示板で噂の初期から強い武器を売り出していた鍛冶師さんがいるわよね?この条件で良いなら私の方は問題ないですよ』
「……ハヅキの武器かぁ……分かったその件は俺がなんとしてもハヅキに頼み込むけどあくまでもこの試合に勝てばだからな?」
『もちろんよ。物理縛りの条件で貴方が勝てば私が貴方の陣営に移動、私が勝てばさっき言ったとおり狩場の情報と武器支援で取り合えず取引成立で良いわね?』
「……OKだ!話はもういいよな?てことでそろそろ本気でいくけど良いか?」
『えぇ、もちろんよ。あと言っておくけど私達姉妹ってリアルでもゲームでも強い人が好きなのよね。だから私(達)が欲しかったら力を示して頂戴ね』
「へ?俺は陣営にさえ入ってもらって活動してくれればそれでいいんだけど……ってうわぉ!?」
『私もギアを上げていくわよ~切り刻まれたくなかったら避けることねっ!』
とお互いにギアを上げて斬りあったりした結果やっと冒頭に戻るわけだ。
ヒロはこの10分少々の攻防の間にベルダンディの動きを見て考えていた。今までの動きをみるかぎりベルダンディの速さは修行前の俺より少し早い位で今のヒロにとっては回避できる速度だ。まあ魔王の修行って言うチートをしたヒロと同等だとそれはそれで別の心配事が増えることになるしな。
その修行……ダゴンの触手6本に比べればこの辺で燻っている人たちの攻撃は避けやすいのだ。あえてギリギリで避けることで攻撃後のベルダンディの隙を探そうとしてるのだがそこを狙おうとしても行動(硬直)キャンセル系スキルを持っているようで狙うのは難しそうである。次に考えたのがヒロから攻めて行きベルダンディに隙を作らせる方法だ。
流石にこれに関しては【武芸百般】スキルを解禁しなくてはならないだろうけど初見なら狙っても良いと思われる。二度目以降は分からんがな……
「まあ本戦の一回戦目から使うことになるとは思わなかったけどまあ仕方ないか」
ベルダンディと少し距離をとり、素早くステータスを操作し【武芸百般】と各種武器を取り出しやすい位置に設定しておく。
ベルダンディもヒロが何らかの操作をしていることを見て警戒を強めている。
『……決めに来る気かな?その攻撃を返して少々の攻撃じゃあ私には勝てないって思い知らせてあげなくちゃね。フフフフ』
ヒロが発動準備を整え、ベルダンディはそれを迎え撃つべく今まで見せなかったスキルを発動待機状態にした。
「これで決めるぜ!?〔俺敵必殺コンボ!〕という名の【武芸百般】のアーツ【乱舞】!!」
『決めさせないわっ【根性】!そしてアーツ【破源爆砕】!?』
アーツ【乱舞】とは【武芸百般】で使用することができ、多数の武器による攻撃を制限時間内に繰り返すことで攻撃力を増していくアーツである。
【乱舞】:武器を持ち替え攻撃を続けることで攻撃力が増していくアーツ。一つ目の武器から二つ目の武器に持ち帰るまでの時間は2秒以内、三つ目への変更は1.8秒以内……以後持ち替えに必要な時間が減少していく。最大攻撃力はもちかえ武器数5本(最終5本目への持ち替えは0.5秒以内)時の10倍まで。
武芸百般の次回進化後は百華乱舞を取得することができ、こちらも扱うにはたくさんの技能が必要となる。
ヒロが最初に選んだ得物は剣だ。その名も【魔宝剣ブリザディア】。この武器は武器自体に属性が付与されているこの辺では見かけることはありえない武器である。剣を振るうだけで冷気による斬撃を放つことができ、かつ直接斬りつけることで確率で状態異常〔氷漬け〕になる代物だ。
ちなみに入手場所は魚神島なのは言わなくても良いよな?
もちろんブリザディアによる攻撃だけでなく斬撃後にはすぐにハーフ族の村で購入した【グラビハンマー】にチェンジし、べルダンディを叩き潰すべく振りかぶっている。
対してベルダンディの受けとして選んだスキルは【上級棍技能】のアーツ【破源爆砕】だ。このスキルは使用武器と引き換えに相手の武器をも破壊すると言うアーツである。ベルダンディも薙刀から見るからにごつい棍に持ち替えており、見るものを圧倒する。
ここでベルダンディは自分の考えが浅はかであったことを悟る。ヒロの攻撃は見えていた2種類の武器だけではなかったことだ。ベルダンディは斬撃による攻撃は皮一枚で回避し、続けて振り上げられて自分に迫ってくるヒロのハンマーに対しアーツを発動した。
それによってヒロのハンマーを破壊することはできたがそのすぐ後にナックルによる0距離攻撃が始まったのだ。ヒロの攻撃力は数多くの武器スキルを取得したことで大幅に上がっており一度はベルダンディの体力を削りきったのだが当のベルダンディは保険のために使用した【根性】により余計な地獄を見るハメになった……。
ヒロはナックルだけで体力を消し飛ばしたことは確認したが勝利にならなかったことを不審に思いながら4つ目の武器として使う予定ではなかった斧を取り出すハメになる。その斧でヒロはベルダンディを真っ二つに断ち切りそこで試合終了の合図が響いた。なお、観客は綺麗な女子が真っ二つにされたことでヒロに対し非常に激しいブーイングの嵐を飛ばしたのだった。




