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うみマニアのやりこみ冒険記  作者: ふんにゃり
 鯉(コイ)の章
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閑話 (クラウド視点)①

居眠りしてました!

 俺こと雲井空がアイツと知り会ったのは幼稚園に入る頃からだろうか。親同士が丁度幼稚園の説明会で意気投合し、家も近かったことですぐに家族ぐるみの付き合いができた。

 そこにいたアイツはあまり人と話すのが得意ではないらしく仏頂面を常に使用し、人との関わりを拒んできていたように思える。初めは俺も幼心に『とっつきにくい奴』と思っていたのは間違いないだろう。

 そんなアイツはいつも2つ年上の姉について回っており、お姉さんと二人で遊んだりしている時はよく表情が変わる所を何度も目撃したものだ。


 そんなところを見続けるうちに俺はアイツに対しもっと笑顔を多くしてやりたいと思った。思い立った日から毎日のようにアイツの家に行き、名目上お姉さんと遊ぶことにすることでアイツは間違いなくついてきた。

まあアイツがいくら仏頂面だからといっても毎日毎日シツコイほど遊びに来る俺に観念(……いや諦観したが正しいのかもしれないな)し、話す機会は徐々に増えたんだ。こうして俺たちはお姉さんがいない時も遊びに行くようになり気づけば親友といってもいい存在になっていた。


 俺たちが小学校に入る頃になるとアイツは仏頂面を使う頻度が少なくなり、よく話し、よく喋るようになったことで俺以外にも友人と言える奴が増えたはずだ。(……きっとアイツはきっかけが欲しかっただけなんだろうけど本人は気づいているのだろうか) その後も中学、高校と進むにつれて、クラスは離れることはあったが基本はいつもつるんでいる。



 ふう、前置きが長くなったがそろそろ本題に入るとするかな。

大規模なVRMMOのゲームである【空と海と大地のフラグメント】というソフトの情報が最初に出たのは俺たちが高校一年の冬休みだ(……丁度一年前だな)。当時から初めてのVRMMOということで人気が高く、ソフトの予約をすることも難しいといわれて来たが、美雪さん(……アイツのお姉さんで中学の頃から美人度に磨きがかかり俺もいつしか恋をしてしまっていた。だが今は関係ないから説明を省くぜ?いちいち説明すんのもはずかしいのでね)にもお願いし三人で早期予約券をもらいにいった。


 早期予約は早い者勝ちだったので2本以上当たるか不安だったが、発売日1週間前に予約販売確定の連絡が来た時は狂喜乱舞したものだ。そして俺の確定連絡から数日しアイツにも確定の連絡が来て二人で喜んだものだ。ちなみに美雪さんからは連絡が来なかったのでダメだったのかと気落ちしたが正式サービス開始日の午前中ヒロをからかった後に逢い話した時にすでに入手していることを聞いた。どうやら美雪さんは数週間前に確定連絡を貰っており、購入資金をためるために急遽アルバイトをしていたとの事。


 正式サービス開始後、俺はいつもどおりアイツと一緒に行動をしたいと思っていたのだが、アイツから「ゲーム内で合うのは3日後にしよう」といわれ少なからずショックを受けた。……今まで俺がアイツを気に掛けていたつもりだったが最近は俺の方がアイツに依存してしまっているのではないか?と……。

そんな気持ちを隠すため俺は『そんな悠長な事言ってたら、3日後には俺とお前のスキルには大きな差がついてることになるぜ?いいのかよ?』と軽口をたたいてしまったんだ。

 アイツは俺の事を廃ゲーマーだと思っている節があるが、最近フラグメントの話が多くなったからそう思われてしまったのだろう。俺もVRMMOゲームは初めてなのだから。




 そして正式サービス開始1時間前になり俺はすぐにキャラクターの作成を開始した。

初めは容姿設定から開始し、身体データはいじらず髪の毛の色と目の色だけを変更して完了。続いて種族だがこれはもう情報が出た時から決めていたのでその種族である天使を選ぶ。三番目にスキルの選択となるが、本来なら7つ選べる所を種族選択で天使を選んだ為一つが【飛行】に確定する為残りの6つを探していく。ゲームの中では男らしく剣を振り魔法を使いたいと思っていたので【剣技能】・【盾技能】・【全身格闘】・【光魔法】・【体力強化】・【精神強化】を取得。これにランダムで3つのスキルを選ばれスキルの設定は完了。最後に名前だがこれはもうアイツにも知らせてある名前〔クラウド〕を使うつもりだ。


 こうしてキャラ作りを終えた後、俺はあらかじめ連絡をとっておいた同じくゲームソフトを購入できたクラスメイトと合流。本当ならアイツもここに入れるつもりだったんだが仕方ない。次に会った時に驚かせてやるとするか……。



 サービス2日目と3日目はイベントが実装されたことで狩場が混雑し思うように狩れない事が多々あったが、比較的空いているエリアを見つけ上位を狙った。

 イベント終了後ランキングが表示された時俺は惜しくも4位。他のメンバーは回復アイテムを集めるだけ集めたら各々が自由に狩をしていたのでランキングにすら入っていなかった。


 次の日アイツが待っているアーリルの街の噴水広場に良くとそこには人型だが何かおかしいと感じるプレイヤーが一人座っていた。まさかな?……と思いつつそのプレイヤーの様子を見ると驚いた。このプレイヤーがアイツだったからだ。もちろんすぐ声を掛けたさ。


 『ヒロだよな?俺だよ俺!親友の空ことクラウドだ!』

 「ういっす。おはよう。やっぱお前のキャラの名前クラウドだったのか。早速だが4位おめでとう?」


 俺の声かけに反応するなり昨日のイベントの祝辞を述べてきたのでありがとうと返しておく。まあコイツ(ヒロ)は2位だったが……後ほどその点の追求もしておいた。


 その日は俺、アイツ(ヒロ)、美雪さん(スノウといいランキング入りを果たしていた)とヒロが呼んだハヅキという可愛い子の4人で試練の洞窟を探索した。こういうのもなんだと思うがアイツは自己申告どおり、ありえない程弱かった。聞いたところによると種族の特性で水がない所では能力が90%下がるという。そういうことで4階までは荷物もちしかやっていなかったがその4階の水場があるところでアイツは凄い力を発揮し、俺と美雪さんを驚かせた。ハヅキさんはもう見慣れているようで普通だったが。



 そして年末・年明けを向え新しく現れたイベントダンジョンに潜りクリアしては称号を得て満足した所でアイツからしばらくゲーム内では会えなくなるという連絡がきたんだ。ゲーム内ではと言っており

ゲームを止めるという意味ではないようなので安心した俺は後で詳細を教えろとだけ返事したのだった。

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