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うみマニアのやりこみ冒険記  作者: ふんにゃり
 鯰(ナマズ)の章
56/145

第52魚 1月1日~1月3日⑦

明日投稿分で6章が終わるので一覧は明日に回させていただきます。

 14時00分


 食事を終えログインしたヒロはすぐにテアトルの南フィールドから落水の遺跡へ向った。

一層・二層と特に問題が起きることもなく攻略しサハギンの稀ビレを求めてサハギンアデプトの出る三層へ到着したヒロは取得したものの今まで使っていなかったスキルの育成もしていく為【音魔法】と【採取】を控えスキルにまわし、メインスキルに【弓】と【土魔法】をセットした。こうすることにより離れた場所から弓の修練をできるのである。どちらもLV1なので初めから火力としては含んでいない。


 「ふっ……【弓】が全く当たらんな。まあ敵を呼び寄せることはできているが熟練度は全く育たねぇ」


 弓に矢を番えて放つが矢はヒョロヒョロ~ポテッといった感じでしか飛ばず、サハギンたちの注意を引くだけの役割だ。 ここでヒロが先日ハヅキから買った弓について説明しよう。



 スピリットボウ:霊核と木材を使用して作られた弓。精神力を矢に変えて放つことができる弓で威力は消費した精神力の量に比例する。(最大で基本的な鉄の矢の1.5倍まで強くなる)弓アーツ使用時威力+10% 攻撃力10



 この武器を選んだ理由は消耗品である矢が要らないということと物質的な矢ではないため水の抵抗を受けないという利点がある。基本攻撃力は鉄の矢どころか木の矢にも劣るがな。



 それなら【土魔法】だけで攻撃したほうがいいんじゃね?と普通なら思うだろうがそれでは弓の修練にならないよな?……おっと、なら初めに練習してから実践に使えよというのは勘弁してくれ。

 【ボウガン】に進化すれば弓を引く必要はなくなるんだから根をつめて覚えるほどのものではないはずだ……。当面は遠距離攻撃としてではなく中距離で当てれるくらいになればいいと思っている。


 そういうわけで極稀に【弓】で攻撃を当てつつサハギンが近づいてくるまでに【土魔法】で体力を削り接近された後はいつもどおり【槍】で倒す……を繰り返している。

 成長度合いで言うとやはり当たる回数が少ない【弓】よりはよく当たる【土魔法】のほうが高い。

魔法の場合は発動だけでも熟練度が稼げるので仕方ないとも言えるが……。




 ゆっくりと確実にサハギンアデプトを倒し稀ビレを集めながら三層の探索を進めるヒロはボス部屋を見つけたがボス部屋から違和感を感じとれたので、こっそりと覗いてみると中にはボスと戦闘中の人影が……。


 「…はっ?俺以外にもここに来れるほど水中探索に長けた奴がいたのか?」

しばらく様子を見ていると危なげなく三層のボスを倒した人物が入り口から中を見ていたヒロのほうを向き話しかけてきた。


 『ほぉ?まさかもうこのダンジョンに潜り込める者がいるとはなぁ。君がダゴンの言ってた魚神の僕っていう肩書きを持つ有望な海人種だね?……おっと僕の自己紹介をしていなかったね。僕の名前はオケアノス。ダゴンと同じく海魔王の一人さ』


 「(また)ま、魔王様ですか……俺はヒロといいます。で、その魔王様がこのようなダンジョンの下層で一体何をされてたんですか?」


 ヒロが緊張?しながらも答えるとオケアノスは笑いながら

『あぁ、緊張も言葉遣いも普通にしてくれて構わないよ。君の事は大体ダゴンちゃんから聞いてるよ。ダゴンちゃんは嬉しそうに自分が魔王と知っても話をしてくれるいい子だと言っていたからね』


 ダゴン様はこのオケアノスという魔王からはダゴンちゃんと呼ばれているのか……あまり違和感を感じないのがビックりだ。


 「わかりま……分かった。で、さっきの質問だけどどうしてここに?魔王クラスならこんなとこ来る必要すらないと思うんだが?」

 『うん。その質問だけど、こういった海底遺跡ダンジョンは僕の管轄でね?ここ数百年誰も訪れたことがなかったのに今日侵入者……いや探索者が来た形跡を感知して見に来たってわけ。まあ僕がきた頃には誰もいなかったから暇つぶしにちゃんと遺跡が機能しているか確かめていた所に君……ヒロがきたってわけさ』


 …俺としては侵入者扱いされて地味にショックだけど、それよりこのダンジョンどんだけ長い間放置されてきたんだよ。そして俺が苦労しそうなボスをあっさり倒せるからこのオケアノスを看破するのが怖いぜ。……まあ後でするけどな。


 『それより僕が感知した初めにここに来た探索者もヒロだよね?ここには何をしにきたのかな?』

 「あぁ、それは修行をしつつこの三層にいるサハギンの稀ビレの回収に来てるんだ」

 『なるほどねぇ。でも稀ビレなんてそこまで使い勝手がいいものでもないはずだけどなぁ?まあいいさ。

それより話を変えるんだけど僕の企画した修行ツアーを断ったってどういうことだい?』


 オケアノスの言う修行ツアーとは先日ダゴンがいっていた(ドキドキなんちゃらの)ことである。

ヒロはオケアノスにもダゴンに説明したとおり、自分の立ち位置(イベントによる知名度アップ)と戦うフィールド次第だが既に周りとは大きく差を広げてしまっている為これ以上目立ちたくないという説明をした。


 『そうか。ならば難易度を少し下げるから参加しないかい?難易度を下げればその分成長の度合いが変わってくるけど海龍程度の足元くらいまでなら強くなれると思うよ。それに今なら残りの魔王たちも顔を見せに来てくれるだろうからね。 あぁ、クラーケンは僕も嫌いだから呼んでないけどね』


 ……あれ?ダゴンと同じくこの人(魔王オケアノス様)にも話が通じていない気がするぞ?強くなって目立ちたくないていってるのに何故まだ参加させようとするんだ?


 『それにほら、ヒロもダゴンちゃんから受け取った指輪があるだろ?あの指輪を持ってる限り僕ら魔王からの誘いは数多くかかることになるんだよ?』


 ……なぬ?今聞き捨てならぬことを聞いた気がするぞ?あのダゴン様から貰った持ってろと言われた指輪……アレが今ここでオケアノス様と会っている原因となっているのかも知れん。


 『ん?どうしたんだい?急に黙っちゃって……まあいいか。とりあえずここで会えたのも何かの縁だし指輪の封印を一つといてあげるね』

 「ちち、ちょっと待ってくれ!指輪の封印とか修行とかぜんぜん意味わからないんっすけど!?今の流れでどうしてダゴン様から貰った指輪の封印云々の話になったかすら理解できねぇし!だからこの指輪の説明からして欲しいんですけどね?」


 『あれ?ダゴンちゃんは説明もせずにその指輪を渡したのかい?……ダゴンちゃんったらお間抜けだなぁ……』

 「……(お間抜けの一言で済ませるんだな?)」

 『君、看破持ってるよね?指輪を調べてごらん?』


 ……あぁ、そういえば指輪貰った時、年が変わると同時にアイテム化できるようになるとか言ってたっけな。仕方ない。オケアノス様の手前断ったらどうなるか分かったもんじゃないし調べるしかないな。



 六海星封神の指輪(解除済み=★★・未解除=☆☆☆☆):封印を解く毎に所有者に有利な能力が開放されていくアクセサリで最後まで封印が解かれると真の姿が現れる。※取引不可・他人からの閲覧不可・ユニーク装備

 ★=危険な場所で行動すればするほど行動ボーナス(スキル熟練度獲得量)が多くなる。

★★=以降不明。開放されるごとに発現。



 「ダゴン様は一体何を考えて俺にこの指輪を渡しやがったぁぁぁ!!」

看破した結果を見た俺はそう叫ぶしかなかった。オケアノス様はそんな俺を見て笑っている。

 『ダゴンちゃんを恨まないでやってくれよ。確かに彼女がどうしてヒロにその指輪を渡したのかは僕にも分からないけど、彼女にも考えはあるのだろうからね。で、その指輪の封印と解こうと思うのだけど構わないよね?』


 「いや、ダメに決まってるだろ!? この一つの目の封印解除効果だけで一杯一杯だって!第一なんでアンタはこの指輪の解除をしようとするんだ?普通こういうのって力を認められた……とかで封印が解けるのが定番だろ?俺はなんもしてねぇぞ?」

 『定番がどうなのかは僕には分からないけど言われてみればそうだよねぇ?よし、じゃあ今はその封印を解くのを止めてあげよう。代わりに修行ツアーに出席すること!いいね?』

 「どうしても……っすか?」

 『あぁ、どうしても出席してもらう。それが今封印を解かない条件だ。断るなら遠慮なく封印を解かしてもらう。なに、どちらに転ぼうともヒロが損をする事はないんだから気にしなくていいだろう?』


 オケアノスは強情なようだ。しかし封印を解かれてもヒロの精神的に困るので渋々修行ツアー(流石に地獄バージョンは勘弁してもらったが)に出席が決まり波乱が起きそうな予感がプンプンする。


 とりあえず修行《序の口7日間コース》の日程を決める。明日1月4日のイベントやダゴン様との会話が終わればその後は特に用事がない……ので、1月5日から12日までの間修行することになった。

 なお、修行期間中はアーリルに戻ることはできないが修行エリアの近くに人の住む村があるらしいので問題ないとのこと。随行員はダゴンとオケアノスで修行期間中に他の魔王が来るかもしれないとのこと。


 「……俺、生きてもどれるかな?」呟いた声はオケアノスにも聞き取られることはなかった。

 修行日程が決まりオケアノスは嬉々として計画を練るらしく自分のホームへ戻っていった。



  16時30分


 オケアノスとの出会いにより稀ビレ集めが滞っていたが、17時半に戻るまでに何とか10個目の稀ビレを集め終わることができ一安心した。この際先ほど看破した指輪《六海星封神の指輪★》とブーストリングを取替え装備したことで、熟練度がいい感じにあがっているのを確認した。三層ではヒロにとって強い狩場ではないと判断されているがブーストリングのままで戦うよりは多く熟練度が稼げるからだ。



 無事アーリルに帰還したヒロはすぐにフィルに稀ビレを納品しクリスタ綿布を受け取る。その足で露店街のハヅキの元へ向い海で集めた素材とクリスタ綿布を渡すことで装飾品の作成依頼をすることができた。装飾品の出来上がりは明日になるとの事なのでハヅキにイベント集合時間の打ち合わせをして別れる。

 ここまで終わらせた所で本日分の船大工をしていないことを思い出し急いで預かり所で木材を受け取り船大工のスキルを少しだけ上げておき、ログアウトしたのだった。

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