第50魚 1月1日~1月3日⑤
2章巻末に掲示板を入れました。気づいた方は読んでくださるとありがたいです。
本編の次話予定は28日の日曜日になります。
27日土曜日は仕事が入っていますので更新はできないです。
17時00分
洋は自室において【空と海と大地のフラグメント】の攻略情報サイトを開きながら考えていた。
考えている内容はつい先ほど入手したユニークスキル【水マニア】の情報を書き込むかどうかであるのだがどうするべきか悩んでいるのだ。
「さて、どうすっかな。空か美雪ねぇに相談してどうするか決めることにしようか」
洋はまずは身近にいる美雪ねぇに相談することにし、美雪ねぇの部屋をノックし反応があるかどうかを確かめてみた。美雪ねぇは丁度ログアウトしたところだったらしくすぐに入室許可を出した。
『洋くん、どうしたの?こっちで私に相談したいことがあるなんて…』
「実はさ、フラグメントでユニークスキルってモンを取得しちまってな、その情報を晒すか晒さないか決めかねているんでその辺りの相談に乗って欲しくてな」
洋の言葉に美雪ねぇは驚いていたがすぐに元に戻りスキルについての詳しい情報を聞いてきたので洋はSSを見せながら説明した。
『ふむふむ。洋くんらしい水に関するユニークスキルかぁ。取得条件も普通のプレイヤーなら満たせるヒトなんて少ないと思うし、情報自体は晒してもいいんじゃないかしら?
この様子でいくと他にも火とか風とかも有りそうだしね?もしそういうのを目指してる人がいたら喜ぶと思うわよ?
ただし情報を出すのは今すぐじゃないほうがいいわね。条件のスキルレベルは洋くんだからこの時期に出せたのであって他の人はまだこの半分から少し上程度だからね?今情報を出したら洋くんはあっちで、もっと知ってる情報を搾り取ろうとするプレイヤーに追いかけられるわよ』
「それは困るな。メイン活動は水中だが地上でもやらなくちゃならないことがあるのに追いかけられて無駄に時間を消費させられたらたまったもんじゃねぇしな。
…美雪ねぇ相談に乗ってくれて助かったよありがとう。当面はいつもどおりにしとくぜ」
『ふふっ、いいのよ。大事な弟の相談くらいには乗れないとおねえちゃんとしては悲しいわ。これからも困ったことがあるなら相談にのるくらいはできるんだからいつでもきなさいね』
再度感謝を述べ美雪ねぇの部屋から退室した洋は親友である空だけには相談しておこうと思いメールで教えておいた。しばらくして帰ってきた返事は今度詳細を教えろということと秘密は守るとあった。
19時00分
昨日と同様ハヅキ・メリルと合流しイベントダンジョンへ潜ると一周目は塔型・二周目鉱山型・三周目は念願の海洋型であった。
一周目~塔型
螺旋階段が多く狭い通路で大量のモンスターと遭遇することが多く、素材採取ポイントはボス部屋にあったもののみで石材系の素材が数多く入手できた。
クサリッチ アンデット/イベントボス
体力 6800
精神力 1900
攻撃力 490
ドロップアイテム:シャレコウベ・大霊核・????
ここのボスはアンデットの魔術師で魔法攻撃は強いが装甲は紙だったので能力が低下していたヒロの攻撃でもそれなりのダメージを与えることができた。逆に魔法防御が高いのでメリルは魔法を使用せず杖術で殴り、ハヅキは支援スキルを使用したあと【棘球】という錬金術で作った謎の投擲?アイテムを使っていた。
〔棘球 攻撃アイテム :周りが鋼鉄の棘で囲まれている投擲道具。使用者が投げる分には問題ない。
使用者以外が触れると小ダメージと継続ダメージを与える〕
相変わらずへんなアイテムを持ってきているが昨日の爆弾を見た後では普通に見えるのでヒロもメリルも突っ込むことはしなかった。ちなみにボスからドロップした????は道具球だった。
塔型ダンジョンのクリア報酬は未鑑定のアクセサリだったが周回予定だったので鑑定するのは後回しにした。
二周目~鉱山型
昨日経験済みのダンジョンだったので採取・採掘ポイントだけを重点的に周りレア素材をいくつか入手することができた。
道中宝物庫という名の採取ポイントがあったが普通に取れる素材しか入手できずがっかりしたのは内緒だ。
ボスの三猿達は塔の魔術師と同じようにハヅキの錬金で作られた攻撃アイテムを使用し苦労することなく倒し終えた。クリア報酬は昨日と同じく未鑑定アクセサリだ。
三周目~海洋型
「っっしゃぁぁ!きたぜぇぇ。海洋型!」
『ヒロ!五月蝿い!』
入るなり申し訳程度の陸地と広大な海原を視界に入れた瞬間ヒロは感動のあまり声を上げるとそれを予想していたらしいメリルはすぐに怒鳴る。その活き活きとしたヒロを見ながらハヅキは微笑んでいた。
「二人とも水中行動用スキルのセットは大丈夫だよな?早く行こうぜ!?」
そう促すヒロの様子はまるで子供だ。
『もう、予想はしてたつもりだけど、予想以上のハイテンションね。ハヅキ準備はできてる?』
『うん、大丈夫よ。それにしてもヒロさんが他のダンジョンではゾンビみたいな顔してたのに今は元気になってくれて嬉しいよ』
『ゾ、ゾンビって……まあね。ヒロはやっぱりこういう風に元気な顔のほうがいいわよね』
ハイテンションなヒロの後方で密かにそんな事を話す二人の少女だった。
この海洋型ダンジョンの主な特徴として申し訳程度にある陸地から繋がる次の層への道と海中に存在する
次の層への道があるがどちらも行き着く先は同じだそうだ。ただし海洋フィールドというだけあり
後者の道で進むほうが大量の採取ポイントや宝物庫に行き当たるとのこと。
陸地を進む場合は外側から螺旋状に大きく回りこんで中央に位置する階段を目指さねばならないので面倒で戦闘回数も多くなる。その上採取ポイントは数える程度なので普通のプレイヤーからは嫌われているのだ。
つい先ほども別のプレイヤー達が『うげぇ?海だぜ。ここ嫌いなんだよなぁ』といいながら陸地を進んでいったばかりだ。
その点ヒロ達三人ならば三人が全員水系フィールドに対応できるので水中行動にも問題ないし戦闘も苦もなく済ませることができるのだ。
そんなわけで海の中をスイスイと進み始めるヒロ達は大量の魚モンスターに襲われたりもしたがヒロがハイテンションのあまり張り切りすぎた為メリルやハヅキたちに攻撃が届くことなく戦闘が終了してしまい後で文句を言われるハメになるのであった。
モンスターの強さ的には大塩湖の雑魚モンスターより少し弱くアーリルの近くの湖のモンスターよりは強い程度であったのでハヅキたちも虫を払うように倒していった。入手できるドロップはやはり海の食材が多くメリルが喜んでいた。なぜなら最近ヒロが少量しか海の幸を売却してこない為出汁に取るものが不足気味だからである。このダンジョンで手に入る食材もそこまでいい質とはいえないが大量消費すれば東や南の素材の足元くらいには及ぶはずだ。そのくらいヒロの売却する海の幸から取った料理は品質と使用後の効果が高く人気が有りよく売れるのだ。
それを聞いたヒロは売却量少ないはずは無いんだが?と首をかしげる結果となり、時間ができたらもう少し大量に狩をして売却してやろうと思った。
一層目のフロアボスは地上はカモメで水中はアンコウのようだ。
ランディアンコウ 魚類/イベントボス
体力 3000
精神力 1000
攻撃力 290
ドロップアイテム:アンキモ・アン骨・ちょうちん
となっていて、直訳で大きいアンコウ……ぶっちゃけ雑魚だった。ヒロは一応二人に倒してみたいか聞いてみたところ
めんどくさいからヒロがやっていいよと言われ、槍のアーツ〔梵天槍〕を眉間辺りから深くグサリと刺せばその体は消え失せてしまった。
『一応さっきのボス扱いよね?それを一撃?』
メリルも流石にヒロが一撃で倒すとは思わなかったようで驚き聞いてきたので答える。
「新しい槍の攻撃力が高いしな。まあ特殊効果はのらなかったけどアーツで攻撃力を底上げしたから倒せたんじゃねぇか?」
『それでも一撃っておかしいわよ。ヒロあなた運営から垢BANされないか心配したほうがいいんじゃないの?』
「……物騒なこと言わねぇでくれるか?ただでさえさっき変なs……いやなんでもねぇ」
『ん?何か言いかけてたわね?教えなさいよ?どうせ大したことじゃないんでしょ?』
『ヒロさん……何かあったんでしたら相談してくださいね?』
メリルだけなら適当にごまかそうと思ったんだがハヅキがいつの間にか俺の後ろに立っていて割り込んできたのだ。なので当たり障りの無い程度に説明した。
「ダンジョンに行く前に5つ目の称号を手に入れただけだから気にしなくていいぞ」
『『っ!!』』
ハヅキもメリルも毎度ながらいい反応するな?リアクション芸人狙えんじゃね?
『そう…今は聞くのをやめておくけど分配の時に教えなさいよ?』
「…わかったよ。後で教えるけど前回と同じく二人には取れないと思うぞ?」…誤魔化せるといいなぁと思ったのは内緒だぞ?
2層目
2層目は陸地が3割海が7割と言った感じで陸地にはチラホラと林っぽいものが見えている。陸上を進行するプレイヤーのためにも幾つかは採取ポイントを設定しておかないといけないからだろう。
ハヅキたちは陸地に上がり少し採取してくると言い離れたのでヒロは適当にそこらを潜り海底の素材を回収しておいた。パーキンソンシェルとか言う二枚貝のモンスターに襲われたがヒロの持つ槍の前では紙のようにあっさりと葬り去られて貝柱などの素材に変化した。
そんな貝の群生地で敵を倒しながらしばらくすると陸地で採取していた二人が戻ってきたので先ほどの貝柱や貝殻を見せると珍しいものを見たように目を輝かせていた。たしかに東や南では二枚貝のモンスター見かけて無いもんな。
二層目のボスは地上はトドで水中はイルカだった。
キラードルフィンズ 水棲哺乳類/イベントボス
体力 4200
精神力 1000
攻撃力 390
ドロップアイテム:鯨骨・鋭歯・鯨ヒレ・鯨肉
イルカは泳ぐのが速く音魔法による超音波攻撃もしてくるので厄介な相手だった。
一度ヒロが抜かれハヅキたちへ迫った時は焦ったが二人は慌てることなく補助魔法と迎撃する為の魔法を発動し
追い払うことに成功し、追いついたヒロが背後からのアーツで止めを刺した。
3層目
降りた先は小島が一つしかないあたり一面海のエリアだ。
ここのボスは、鯱でボスは水中地上構わず襲ってくるとのことで水魔法が得意とのことだ。
テイオルカ 水棲類/イベントボス
体力 8000
精神力 1300
攻撃力 510
ドロップアイテム:強靭な顎骨・鋭歯・鯨肉・????
「能力的には今までのダンジョンボスに比べたら頭一つ強い設定だな。とはいっても南フィールドでは少し強い程度なんだが…」
『ヒロ!のんきに考えてないでさっさと倒すわよ』
『ヒロさん!ボスの魔法が痛いです!』
ヒロが看破の結果を考えているうちに後衛の二人は魔法を食らってしまったようだ。
「悪い!ちょっと考え事してた!さっさと倒すからか撹乱よろしく頼むぜ」
二人に指示を出しながらヒロはシャチに対して攻撃を加え、どの程度のダメージを与えられるかを確認した。
「サハギンジェネラルみたいに受け流しもしてこないしダメージも普通に通るのか。それならコイツは雑魚の部類だな。てことで久しぶりにコンボ発動と行きますかね!」
ヒロはハヅキ達を後方に下がるように言いシュトロームでシャチを行動阻害し、比較的安全な逃げ場になる渦の根元を音撃砲で塞ぐ事で逃げ場をなくした。そのまま間髪いれずにブーストリングを発動、続けて梵天槍を使い〔コンボNo1〕を放つ。
梵天槍の威力が最大まで上昇しシュトロームの効果の及ぶ渦とシャチの体を見事に貫通し倒すことができたのだった。
海洋型ダンジョンのクリア報酬は未鑑定アイテムだった。
ドロップで入手した????は装備球で後ほど分配に回すことになった。今までのボスの看破結果から
????を落とすボスモンスターは塔の魔術師とこのシャチということが判明した。
後探索していないダンジョンは分かる範囲では城砦型のみとなる。
イベントダンジョンを3周もすると時間は23時前となっていたので次をどうするか相談したのだ。
ハヅキもメリルも次の日の3日は朝から用事があると言うので入手したクリア報酬とドロップアイテムの分配をすることになり早速看破で調べてみた所判明した名称がこれらだ。
塔ボスドロップ=道具球で中身は新緑のクワと言う農業スキルのアイテムだった。
塔・鉱山のクリア報酬の未鑑定アクセサリは、無情なる指輪と優しさのネックレス。詳細は後ほど。
海洋のクリア報酬の未鑑定アイテムはスキルの書といわれる手持ちのスキルを成長させるアイテムだ。
海洋のボスドロップ=装備球で進捗の鉢巻だ。
さて次のその詳細についてだがこんな感じのアクセサリなどが手に入った。
〔新緑のクワ:このクワを使って土を耕せば高品質な素材が取れる可能性が増えるかも知れない!
効果:作業効率+5%・レア採取物取得率+5% 耐久値4000/4000〕
〔無情なる指輪:凄腕で冷酷なアナタにお勧めの逸品!効果:一撃でモンスター討伐・PK達成時30分間攻撃力+10 効果は5回分まで重複する〕
〔優しさのネックレス:自薦他薦問わず優しい人につけて欲しい装飾品。回復や補助をする行為に+補正がかかる。
効果:回復行動時に+10%、支援・補助等の行動時に持続時間+10秒〕
〔スキルの書:自分の才能を伸ばすことができる珍しい品物。 効果:対象スキルのLV+1〕
〔進捗の鉢巻;生産者御用達の鉢巻で某有名な作者が生涯研究し作り上げた稀代の品。 効果;生産成功率+5%・生産作業効率+5%・生産時取得熟練度+5%〕
話し合った結果、無情なる指輪をヒロが。優しさのネックレスはハヅキが。新緑のクワをメリルが。
スキル書と進捗の鉢巻は全員が欲しがった為分配することができないスキル書は露店で販売して資金で分配する形にし
進捗の鉢巻は3人の中で必要な時にレンタルしあうという形になった。
この際思い出したようにメリルが称号の話を聞いてきたが「明日早いんだろ?」などと言いサッサとログアウトさせた。ログアウト間際『次に会うとき絶対聞くからね!』と念押しされてしまったがな。
二人がログアウトした後ヒロはスキル育成に関して不完全燃焼だったためイベントダンジョンへソロで挑むことにした。
一度クリアした場所であれば入るダンジョンの種類は選べるのでヒロは海洋型ダンジョンを選択し入場した。
流石に一人だと個体の能力は大したことが無いとは言え大量のモンスターの相手はつらかったがやはり装備が良かったおかげかソロでも3層まで進むことはできた。
ボスは先ほども戦ったシャチだったがシュトロームと音撃砲であっさりハメる事ができ苦労することなく撃破した。
ボスドロップの????はまた未鑑定アイテムで金塊というNPCに販売する為の素材にもならないアイテムだった。クリア報酬は未鑑定アクセサリで絶海の指輪と言うものだった。
〔絶海の指輪:海に生きる亜人種が作り上げた指輪で水に関する場所で行動時に良い方向にも悪い方向にも補正がかかりやすい。
効果:水中で行動する際、状態異常攻撃にかかりやすくなるが、状態異常中は攻撃力が2倍になる〕
「ほぅ?攻撃力2倍系装備がきたのは嬉しいが状態異常中限定なのか…これは自力で状態異常になっても効果があるのかどうか確かめたほうが良さそうだな。その方法については明日にでもハヅキに相談するか…」
ソロで採取もしながらだと制限時間ギリギリだったのでダンジョンから出ると深夜1時になっていた。
その代わりアイテムボックスに素材が大量に入っているのだが。
NPCショップで金塊を含めダンジョン素材を売り払い預かり所に明日の木材取引資金を預けログアウトした。
ステータス
名前 ヒロ
性別 男
種族 トリトーン(魚神の僕)
体力 730(150+380+200)
精神力 400(80+280+40)
攻撃力 153((55+98))
装備
武器:トリプルホーントライデント
頭:水棲の額当て
体:鮫革のウェットスーツ
足:ヒレ(着脱不可)
アクセサリ1:ウロコのブーストリング
アクセサリ2:孤独のリング
(武)中級槍技能LV32→LV34
(魔)中級水魔法LV33→LV35
(魔)音魔法 LV30→LV32
(技)船舶 LV5
(技)看破 LV33→LV35
(技)水中戦闘 LV20→LV23
(技)体力強化 LV20→LV22
(特・技)水の加護 LV18→LV20
(技)ソナー LV20
(魔)風魔法 LV19
控えスキル:(生)生け簀LV1・(生)釣りLV11・(特・技)統率LV8・(技)波乗りLV17・(武)弓LV1・(技)機械術LV1 ・(魔)土魔法LV1 ・(技)採取LV43・(生)船大工LV12 (特・U)水マニアLV1
所持スキルポイント:4→7
武器スキルの場合 偶数レベルごとに攻撃力2~3上昇
魔法スキルの場合 偶数レベルごとに精神力+5
技能スキルの場合 5LVごとに体力または精神力が5上昇
生産スキルの場合 奇数LVごとに生産性効率や品質に上方修正
特殊スキルの場合 5LVごとにランダムでステータスが5上昇
Uスキルの場合 LVアップごとに全ステータスが5アップ
称号:臣下にすら認められない魚神(笑)
初めての魚神島発見者
初めてボスを単独で討伐した者
五大海魔王(蛸)の友達第一号
初めてユニークスキルを解放した者




