第43魚 12月29日~12月31日⑦
2話目です!
投稿にじかんが空くとやはりユニークも下がりますね。
仕方ないとはいえ少し悲しいもんですねぇ。
時間に余裕ができたら多少なりと回復することを願って更新していきたいと思います。
12月31日9時00分
どうやらメンテナンスが長引いているらしく公式サイトにはお詫びが書かれていた。
延長は最長で1時間ということなので洋は空と新イベントや新マップなどについて電話で話している。
ある程度話をしていると不意に空が洋に尋ねてくる。
『洋、明日暇だったら初日の出を拝みがてら一緒に初詣に行かないか?三田達にも声は掛けてあるんだけどお前もどうかと思ってよ』
「ん?珍しいな?お前が俺を初詣とかの普通のイベントに誘うなんてよ」
『あぁ、まあたまには良いだろ?去年は別のゲームで忙しくて行かなかったしな。今年くらいは元旦にお参りするのも良いと思ってな?』
「了解だ。その時間なら別に用事は無いし構わないぞ?待ち合わせはどこなんだ?」
『えっとだな。厳尾島神社に朝方の4時集合だ』
「厳尾島神社ってまた微妙に離れた神社だな。それにマジで朝早いしな。行くなら早目に落ちて仮眠とっておかねぇと寝過ごすだろ。特に空がな」
『ははっ。大丈夫だ俺達は今日の夕方に仮眠を取るから夜起きているのは間違いない』
「まあ、お前が寝てるにしろ起きてるにしろすっぽかされたらムカつくから電話で強制起床させてやるよ」
『な、なんて迷惑な奴だ!』
「あ、そうだ。昨日話すつもりが忘れていた案件があるんだ?」
『おう?なんだ』
「リアルの知り合いでフラグメントプレイヤーがいるんだけどその人の面倒を見てほしいんだ。
俺とはプレイスタイルが違うから一緒に行動できなくてな。それにまだ2日くらいしかプレイして無いから色々教えてやって欲しいんだ」
『そういうことか。いいぜ?その人はどこの誰だ?』
「四龍飯店の陽華さんだ」
『!!!!マジっすか!!!洋、お前あの女性と知り合いだったのかよ』
「……言葉遣いおかしくなってたぞ?てか流石に空でもあの人の事は知ってたか」
『俺でも…の、でものところに引っかかりを感じるが知ってるぜ。この辺じゃかなり目立つしな。
…そうかあの人プレイヤーだったのか。そういうことなら俺に任せろ!しっかり教えるからよ』
「陽華さんがお前について不満を持ったりしたら美雪ねぇに言いつけるからな?変なこと考えるなよ?」
『ばっ!いくらあの陽華さんが美人でも美雪さんにはかなわんから問題ないぜ!』
「その言葉今は信用してやるよ。とりあえず彼女がゲームになれて相性の良いメンバーが見つかるまでは面倒見てやってくれ」
『分かった』
これで陽華さんの件はいいな。あとは陽華さんに知らせておくか。
『もしもし海島さん?おはよう。どうしたの?』
「おはようございます。陽華さん。先日の件で知り合いに臨時パーティの話をしまして都合のいい時間に彼らと引き合わせますのでその時は連絡よろしく、と伝えようと思いまして」
『あぁ、うんうん。私のほうは今日の夕方にログインするからそのときにお願いできる?』
「了解しました。ではまたその時にあっちでメッセージくれれば対応するんで。…朝の仕込みで忙しい時間にすみませんでした」
『あ、気にしないで良いわよ。どうせその辺はお父さんが全部してるから』
「それじゃ、俺はこの後ログインするんでまた後で!」
『うん、またね』
陽華さんとの会話は短かったがこれでいいはずだ。長電話してその相手が俺と知られたら親父さんに殺されかねんからな。
10時00分
メンテナンスが無事終了し、アップデートがおわったフラグメントにヒロがログインすると漁師村に現れた。村の様子は昨日とあまり変わらず村の広場に櫓が作られていたくらいだ。
「あ、そうか。昨日はここでログアウトしたんだっけな。昨日は少ししか狩りして無いからもう少し北の海の探索を済ませておくか。スキル上げにもいいし」
昨日の夜と同様に潜ってすぐの場所で遭遇するクラゲから宝石核(紅)を回収しつつウナギやフグと戦い素材を大量に回収していく。今日がフェスティバルリングの効果最終日なので一日中狩をしたいと思っている。やはり底上げは大事だしな。…ん?ダゴンから貰ったリングは明日解禁だろって?
あのようなアイテムには触れない方が良いに決まっているだろ?魔王から与えられたモノが普通のアイテムであるはずが無いんだからな。
ちなみに昨日は戦闘を回避したカレイのモンスターだが〔音叉の共鳴〕を使ってから戦えばあまり苦労はしなかった。
ヘルラッシャー 魚類
体力 9800
精神力 4200
攻撃力 1180
ドロップアイテム:鋭利な毒針・カレイの身・カレイの骨子
特に大したものは落とさないがやはりメリルに渡すものが多い気がする。
まあ海って言えば魚と海草くらいしかいないんだし仕方ないかもしれないがたまには食材以外も欲しいもんだ。
フラグを立てたのかって?いや、残念ながらたたなかったぜ。
ログイン前に母親に昼飯はいらないといってあったので昼飯返上で北の海で素材を集め続けることができ流石にアイテムボックスがやばいことになっている。
「漁師村に戻るか」
ヒロは村に戻ろうと泳いでいると近くに漁船が見えたで乗せてもらえるか聞いてみることにした。
漁船に近づくと船乗りのNPCが驚いていたが交渉してみた所丁度村に戻るから構わないとのこと。
そしてどうやらこの漁船に昨日引き受けた弁当を届ける漁師の息子が乗っていたそうで思わぬところで無事にクエストが進行した。
…村に戻る船に乗ってる息子に弁当渡すとかおかしくないか?とか言う突っ込みも無しで頼むぜ?
漁師村に戻ったヒロは素材の売却をする為ショップに向うと見知った顔がいる。
「お?スノウねぇ。こんなところでなにしてんの?」
『あ!ヒロ君!丁度良いところで会えたわ。お願いがあるんだけど…』
「どうしたんだ?てか、スノウねぇ一人?」
『実はね、ゴブリン討伐を手伝って欲しいの』
「へ?…ねぇちゃん俺の種族特性知ってるよな?地上のゴブリンなんて俺には強敵だぞ?」
『ううん。地上のゴブリンじゃなくてマリンゴブリンていう海賊ゴブリンなのよ』
「初耳のモンスターだなぁ。それって何かのクエスト?」
『えぇ、多分今日実装されたクエストだと思うんだけど近くにNPCいるから一緒に受けない?』
「地上戦じゃ無いなら良いぞ」
スノウねぇに案内されてNPCからマリンゴブリン討伐のクエストを受諾したヒロ達はすぐにそのマリンゴブリンが現れるという海域にやってきた。
ヒロは当然泳ぎで、スノウねぇは漁船に乗っている。船に乗っている時海中から通常モンスターに襲われる確率は低いようだ。近くを泳ぐヒロも然り。
しばらくすると遠くからこちらに向って大きな船が近づいてくる。
スノウねぇがスキルで確認するとマリンゴブリンで間違いないようだ。
『ヒロ君は私が取りこぼしたゴブリンの排除と私の護衛よ。おねがいね?』
「まかせろ!海で俺に勝てる奴なんてボスくらいだ!…多分」
『ヒロ君最後のコメントで一気に信用下がったよ…』
「まあ大丈夫だって。この辺の海中モンスターのほうがあいつらより強いしな」
マリンゴブリン 亜人種
体力 2500
精神力 800
攻撃力 520
ドロップアイテム:様々な鉱石・石ころ・壊れた武具
とまあこの程度だからな。まける要素がみつからねぇ。とはいえスノウねぇから見るとかなり強い部類に入るらしい。
マリンゴブリンの船がスノウねぇの魔法の射程に入るなり大きな雷が落ちる。
スノウねぇの魔法〔サンダーストーム〕だ。
「スノウねぇ。俺の近くには絶対落とさないでくれよ?」
『そんなミスはしないわよ。近くに来たらヒロ君が倒してくれるって信じてるからね』
「うわ、期待が重い!その信頼は裏切らないようにするけどな!」
サンダーストームによりマリンゴブリンの船が破壊されマリンゴブリンたちが泳いでこちらへ向ってくるのでヒロは水流波とシュトロームでマリンゴブリンたちを足止めし抜けてきた個体を槍で倒していく。
雑魚たちとの戦闘時間は10分とかからなかった…のだがやはりいたのがボスモンスター。
マリンオーガ 亜人種/ボス
体力 11520
精神力 4200
攻撃力 1000
ドロップアイテム:水鬼の角・水鬼の鉄棍・????
これはまたしてもスキル球の気配か?
マリンオーガがかなりの速さでスノウねぇに近づいてくるのでそこにヒロが立ちふさがる。
マリンオーガはヒロを見てターゲットを変更し泳ぎながら棍棒を振り上げる。
すれ違いざまにヒロの槍とマリンオーガの棍棒が交差しすり抜ける。
もちろんヒロは事前に音叉の共鳴を使っていて一撃は回避できるのでダメージを食らったのはマリンオーガだけである。
自分の攻撃を避けられ激怒したマリンオーガは棍棒をブン投げてくる。
その棍棒は俺に向ってきたと思いきやブーメランのように突如方向を変えスノウねぇに向って飛んでいく。
「す、スノウねぇ、危ないっ〔水波〕!!」
『きゃっ!』
ヒロの放った水波でスノウねぇの乗っていた船自体を揺らし船に倒れこませることで回避させる。
棍棒はそのままマリンオーガの元へ戻り手に治まった。
『んもぅ!ヒロ君!助かったけど次からは先に言ってよね!』
「あぁ~悪い。あとスノウねぇは単体魔法で援護頼むわ」
スノウねぇは分かったと答え詠唱に入る。ヒロはその間にマリンオーガに再度接近しターゲットをヒロに集中させる。ヒロが槍を突き出せばマリンオーガは棍棒でガードする。
マリンオーガが棍棒を振りかぶればヒロは槍で受け流しを試みる。…まあ槍で受け流しは基本失敗してて
音叉の共鳴が発動してるんだけどな(笑)
とにかくマリンオーガをヒロに集中させた所にスノウねぇがサンダーボルトを叩き込み確実に体力を減らしていく。
戦闘時間が15分ほど経過しやっとマリンオーガはドロップアイテムへとその身を変換しクエスト達成の表示が現れた。
『ヒロ君お疲れ様。手伝ってくれてありがとうね』
「いや、俺のほうこそ魚以外と戦えて満足してるから御礼を言わせて貰うぜ」
労いを掛け合った後ヒロ達は漁師村に帰還しドロップアイテムの分配をする。
マリンオーガの????は技術球(魔力操作)だったのでスノウねぇに渡した。
魔法メインのスノウねぇが使ったほうが良いと思ったのだ。
『これ貰っても良いの?』
「あぁ、このクエスト1週間に一度受けれるみたいだからまた倒せば手に入るし今日はスノウねぇが受け取っておいてくれ」
『そう、分かったわありがとう』
実際再度受けられるが同じスキルがでるとは限らない。ランダムだからな。
分配を済ませスノウねぇと別れたヒロは売り損ねていた素材を売り払い代わりに回復アイテムを購入。
この時点で14時となっており休憩がてら一旦ログアウトし四龍飯店へ向かったのだった。




