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うみマニアのやりこみ冒険記  作者: ふんにゃり
 鱁(ムツ)の章
23/145

第19魚 12月25日⑤

 14時00分


 ヒロはアーリルへの帰りを急いでいた。……それも結構な早足で。


 『『ま、待ってください師匠ぉぉぉ』』


 うむ、お察しの通り原因はこの声の主である二人のプレイヤーだ。


 二人のプレイヤーはヒューマン族とエルフ族で名前をトラジとニコラスと言うリアルでフレンドらしい。

 ……そんなこたぁどうでもいいのだが。



 そんな二人が言うにはこの二人ヒロが先ほど探索した湖底遺跡の調査を所属する陣営のリーダーから任されていたらしくログイン後のチュートリアル終了後から今日まで(12/23~25まで)湖の探索をメインとしていた。


 ランダム分配されたスキルの中に【水中呼吸】と【水泳】を持っていたためこの湖の探索を任されたが水中で戦闘していても武器を思うように使いこなせずこのマグロモドキのボスで足止めさせられていたらしい。


 本来水の中で戦闘をするなら水の中で自由自在に動けるようになるまでは【水泳】と【水中呼吸】

を育てていなくてはならないようだ。2種のスキルレベルをあげない代わりに【水中戦闘】スキルという技術系スキルを取得するという抜け道もあるらしい。

 まあ後者の場合スキル枠を一つ分多く取得することになる為お勧めはできない。


 ……ちなみに俺の場合はトリトーンという種族特性のおかげで【水中戦闘】を持っていなくてもデフォルトで設定されていたと思われる。(さすがレア種族だな)




 そんなこんな説明をしている間にヒロとトラジ・ニコラス組はアーリルの街へ帰還していた。

アーリルに戻ってからは更にトラジたちからの弟子入り希望?が激しくなってきている。


 『水の中を自在に動ける人は今現在師匠をおいて他にいないはずです!どうかその方法を伝授して頂けませんか?』


 「伝授も何も俺の場合は初期種族特性だ。後は地道にスキルLVをあげているに過ぎないから教えてやれることなんて無いぞ?」


 『そ、そんな?この辺りの水中関連スキルを上げれる場所なんてあの湖しかないはず!?なのにこの数日湖にこもっていた俺たちは師匠の姿を見ていないんですよ?

 それはつまり師匠が湖より良い場所を知っているということです。そこを教えてさえいただければ!』


 「はぁ、お前らバカか?仮に俺がそんな場所を知っていても何で俺がお前らにそれを教える必要がある?

お前らにそれを教えたとしても俺にメリットなんて何も無いんだ。どうしても教えてほしいなら相応の対価をもってこいよ」


 本っ当にこいつらはバカだな。マップみりゃ水場なんていくつもあるんだ。なのに湖しかありえないというような一つの考えに凝り固まって視野が狭くなってやがる。

 こんな視野が狭いヤツが俺と同じスキルを持っていると思うと反吐が出る。さっさと陸上スキルに切り替えてしまえ!と心底思った。


 『か、狩場の情報の独占はよくないんだぞ?プレイヤーとしてちゃんと情報の提供をするくらい良いじゃないか!?』


 …やはりこいつらバカだ。まあコイツら程度なら東ですら入った瞬間に死ぬだろうから教えてやるのも

吝かではないが教えた場所で死んでその事についてまた文句をいってくるのは目に見えている。

さてどうしようか。



 「ふむ。情報提供か。確かお前ら陣営のリーダーから湖の探索を任されたとか言ってたな?

それならお前らの陣営がもつ全ての情報を提供したら俺も教えてやるぜ?それでぎりぎり情報の値としてはトントンだな」


 『そんな馬鹿なことがあってたまるか!陣営の情報は所属する皆が必死に集めた大事なもの!それをあんたの狩場の情報だけでトントンになるはず無いだろ?』


 ふっ。化けの皮が外れたぞコイツラ。さっきまで師匠とか言ってたくせにあんたに格下げしやがった。

これ以上話す価値も無いだろうからさっさとオサラバするかな。


 「まあそう思うなら仕方ないよな。じゃあこの話はここまでだ。じゃあな」

ヒロが踵を返した所で二人とは違った新しい声がかかる。……聞いたことがる声だけどな。


 『君たち何してる?……あぁ君たちはえっと…確か湖遺跡探索班だったね。補給に戻ってきたのかい?』


 『あぁ!ジャックさん。実は湖で遺跡前のボスと戦っていたんですけどこのプレイヤーが横殴りした上

湖底遺跡の情報を奪っていったんです!』


 ……うはぁ。コイツらいきなり湖での約束破りやがった(笑)……そっちがそういうのならば


 「それがどうかしたのか?俺からしちゃ入ろうとしていた遺跡の前でのんびりグダグダしでる奴がいて

邪魔だから片付けただけだぞ?

 第一ちゃんと俺が倒して良いかという質問にお前らが頷いて道を開けたじゃないか」


 『ぐっ。それはあの時はボス戦で混乱してただけで……』


 「ボス?アレはただの雑魚MOBだったぜ?ボス表記なかったからな。おれが一回刺しただけで死ぬような奴がボスのはず無いだろ?」


 『そんな!?アレがただの雑魚だって?』


 実際ボス表記なかったし嘘じゃないよな?ボスにそういった表記があるかどうかも知らんが。

と、ヒロがトラジ達の言い合いを聞いていたジャックが口を開く。


 『なるほど。とりあえずヒ……君は湖底遺跡の前のモンスターを倒し中を探索したんだね?』

ジャックはあえて俺の名前を呼ばず中立の立場をとろうとしてくれているらしい。ちょっと見直したぜ。


 「あぁ、湖底遺跡の情報ならあとでサイトに上げる予定だがそれで問題ないだろ?」


 『もちろん情報をもらえるならありがたいことだし歓迎するよ。それで問題は君たちだね。

彼は情報提供はしてくれるといってあるがまだ不満があると?』


 『ジャックさん。この人は割りの良い狩場情報を秘匿してるんです!それも提供させてください!』


 トラジたちの言葉にジャックはヒロの方を見るがヒロは答える気が無いそぶりであった為


 『君たちの言い分はわかるが必ずしも共有しなければならないという理由は無い。この彼は彼なりに

必死に狩場を探し出したのにそれを何の苦労もしていない君たちにタダで教えてくれるわけが無いだろう?

 君たちには陣営から与えられた任務があったとはいえ期限は無期限なのだから

他メンバーの様にフィールドを回ることはできたのに君たち自身がそうしなかった。

 これはゲームだ。絶対にそれをしなくてはならないということは無い。人は誰しもそれぞれやりたいことがあるんだからね?君たちの怠慢が理由で彼だけに有用な情報を提供してもらうわけには行かないんだ』


 ジャックの言葉にトラジたちは黙り込む。……目は俺を睨んだままだが。


 「話は終わったなら俺は行くぞ?その二人のおかげでイベントアイテム集めの時間が減ったからな」


 『悪かったね。この二人には注意しておくよ。(あとでメールをおくるからよろしく)』




 15時15分


 ヒロは鬱陶しい二人から解放されたところで今自分が楽しんで狩ができるとすればやはり東と南しかないという考えに至り、テアトルの街へ戻り南フィールドへ繰り出すのであった。


 「憂さ晴らしに南でLVあげ頑張るか!……っとその前にっと」


 ここでヒロは自分のスキルの幾つかがLVMAXになっていることを思い出し、スキルのランクを上げることにした。


 現在ヒロのスキルでLVMAXになっているのは槍技能・水魔法・方向知覚の3つだ。この3種のスキルの進化先はいくつかあるようで


 槍技能からは【中級槍技能】のみ

 水魔法からは【中級水魔法】か【氷魔法初級】

方向知覚からは【地磁気感知LV1】か【帰巣本能LVMAX】


 中級槍技能はそのまま槍技能の上位版で攻撃系アーツを使えるようになるようだ。今まで適当に突く払うしかなかったから助かるな。


 水魔法中級も水魔法より強い魔法を習得できるようだ。


 氷魔法は水魔法から派生する魔法の種別で初級とついているが中級に近い威力を持つ魔法があるとか?


 地磁気感知は土地から出る磁気などを感じ取り、鉱山や他の資源素材などの情報をマップへ反映できるそうだ。


 帰巣本能は文字通り記憶したホームへ戻る為のスキルのようで

いわゆる転移魔法とかの類らしく精神力の消費は少ないが対応するのは自分のみという制約が付く。熟練度の成長はしない。

 ダンジョンでの行動時は入り口から進んできた道が分かるようになるらしい。(一層分のみ)



 「まあ槍と水魔法に関してはそのまま中級を取るとしてだ……方向知覚の進化先が微妙だな。地磁気の方はハヅキがおぼえれば目標の為に役立ちそうだ。帰巣本能は逃げるとき便利だけど熟練度の成長が無い…か。

 今はどっちも俺には必要ないから控えのスキルと入れ替えてじっくり考えたほうが良さそうだな」


 こうして俺はスキルポイント1ずつ使用し槍技能と水魔法を中級へ進化させ南フィールドへ潜ったのだった。



 南フィールドではサンタ強からのプレゼントボックス各種とジュエリーフィッシュから宝石核を集めている。沖へ進むにつれてやはり敵が強くなるらしく魚神島の辺りの敵は名前を鑑定することができないほど強いとわかった。……やっぱあそこに行けたのはマグレだったのかもしれないな。


 湖に行ったことは大はずれだったが後半の南フィールド探索では順調にスキルのLVあげもでき満足できた。17時を回りそろそろログアウトして休憩する為ハヅキ達の露店へ寄り素材を売却、メリルに売り払ったトロ関連は意外に喜ばれた。

 売却を終わらせた後は少しだけ世間話をして先日したプレゼントボックス集めの約束時間を確認してログアウトした。

ステータス

名前  ヒロ 

性別  男

種族  トリトーン(魚神の僕)

体力  390(150+40+200)

精神力 345(80+65+200)

攻撃力 98((25+24)x2倍)


装備

武器:サハギンの槍

頭:なし

体:ウェットスーツ

足:ヒレ(着脱不可)

アクセサリ1:ウロコのブーストリング

アクセサリ2:フェスティバルリング


 (武)槍技能  LVMAX→中級槍技能LV3

 (魔)水魔法  LVMAX→中級水魔法LV3

 (技)水泳   LV33→LV35

 (技)水中呼吸 LV33→LV35

 (技)方位知覚 LVMAX

 (技)鑑定   LV29

 (技)潜水   LV26→LV28

 (技)採取   LV19→LV22

 (技)同化(水)LV26→LV28

 (特・技)統率 LV1


控えスキル:船舶LV1・波乗りLV1・生け簀LV1・釣りLV1


所持スキルポイント:13→11→12


武器スキルの場合 偶数レベルごとに攻撃力2~3上昇

魔法スキルの場合 偶数レベルごとに精神力+5

技能スキルの場合 5LVごとに体力または精神力が5上昇

生産スキルの場合 奇数LVごとに生産性効率や品質に上方修正

特殊スキルの場合 5LVごとにランダムでステータスが5上昇


称号:臣下にすら認められない魚神(笑)・初めての魚神島発見者

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