第15魚 12月25日①
新しい章(といっても日付で分けてるだけなんですけどね)の1本目です。
次話は18時頃に投下できれば良いな。できなかったら翌日ということで申し訳ありません。
6時00分
ピピピッピピピッピピピッ!
俺は目覚ましの音で起きると顔を洗いに階下へ降りていく。その途中美雪ねぇの部屋の前を通った時に中からモゾモゾしている気配を感じたのだがこの時の俺は寝起きということもあり気にしなかった。
顔を洗い気分的にはすっきりした後、紅茶と母親が買い置きしてあったパンを食べ、歯をシャカシャカと磨いて母親に向け9時ごろに降りてくると書置きを残して自室へ戻る。この時既に美雪ねぇの部屋からは動いている気配は感じなかった。
6時20分
すぐにゲームにログインするかを考えたのだが、他のプレイヤーの状況を調べておこうと思い重くて軽いお兄さんもといジャン……いやジャックだったか?まあどっちでもいい。あいつから聞いたサイトの名前で検索をかけ覗いてみるとヤツの言ったとおり最初の街アーリルと樹上の村ウッドデック周辺の狩場情報とマップ情報などが見やすく纏められてあった。
……あいつなかなかやるな。口が軽い馴れ馴れしいだけのお兄さんじゃないってことか。
とか失礼なことを考えながら俺が行かないエリアの情報を調べる。
何故行かないエリアの情報を調べているかというと、最低限の情報でも知ってると知らないでは他の人と話をするときに困るだろうからだ。
サイトをあっちこっちと回り幾つか気になる場所を記憶しておいた(もちろん湖などの水があるエリアに関してだ)
情報を集め現在トップレベルのスキルLVという項目があったので開いてみると、一番先の狩場へ行ってるプレイヤーで武器レベル18だそうだ。
……俺の方がLV高いな。やっぱいきなり魚神島ってのが理由なんだろうな。あそこが見つけてなかったら多分懲りずにマッドフィッシュ辺りに殺されてただろうからな。
まあ俺みたいに話をする相手が少ないプレイヤーもいるんだからスキルLVを隠してるやつとか
俺と同じように良い場所見つけて秘匿してるやつくらいいるだろう。
最後に回ったのは掲示板だ。
ここにはプレイヤーが意見の交換をする場らしくサイトが立って2日しか経っていないのに数え切れないほどのスレが乱立している。まあ大体同じような内容(PT募集とか装備作成依頼だとか)ばっかりだったが。……ジャンのヤツが注意書きをたくさん書いているのが目立っているな。
まあ当面俺が必要になるのはアイテム情報関連とエリア別素材一覧だな。素材に関しては湖や川の素材は幾つか上がっているが海のエリアは情報が無いらしく上げられていない。
東の海のドロップアイテム情報を書き込んでおき、サイトを閉じた。
もう7時か。2時間ほどプレゼントボックス集めに行ってこよう。
7時00分
ログインしたヒロは安全圏である東のフィールドでサンタ強など今までに出会ったモンスターを出会いがしらに黙々と作業的に倒していく。
「うーん。やっぱ昨日パーティ組んでた時が楽しかったから一人だとさびしいもんだな」
そんな事を考えている間もサンタやアンコウ等がどんどんアイテム化されていく。
「もうチョイ沖の様子も見ておくか」
ヒロは自分の位置をマップで確認しながらブルーレイなどがいるエリアの更に先を目指し移動する。
沖に行くほど暗さが増してきて周囲が見づらくなってくる。
「流石にこれ以上は俺の目じゃ見えないな。ということは新しいスキルが必要になるのか?
……いや。そう簡単にスキルを習得するのは問題になると昨日俺がハヅキに言ったばかりだ。
しかたない。とりあえずこの辺のモンスターの強さだけでも調べておこう」
俺はギリギリ周りを見れるくらいの明るさがあるところまで戻り周囲を見る。
見通しが良過ぎてモンスターのモの時も見えない。ならば海底にいこう……と考え潜水スキルで下へ下へ潜っていった。この辺りの深さまで来ると俺の潜水スキルがドンドン伸びていく。その速度は始めに南の海に行ったときと同じくらいだ。
「……まさか今の俺でもここまでスキル受勲度が上がるという事は最初に潜った南フィールドと同じか近いLVってことなのか?いやな予感がする。逃げよう」
とヒロが東フィールドへ向けて方向転換をすると同時にヒロの横を恐ろしい速さですり抜ける存在がいた。
「うぉわっ!な、なんだ?いったい!」
そのなぞの存在の行った方を見るとそいつは方向転換している最中でヒロをターゲットにしているのはすぐに分かった。
「なんか変なのに目をつけられたな。さて、逃げるか戦うか。どうしよ・・うぉっちょ~い」
考えてる間になぞの存在が再度ヒロに向かって突っ込んできた。相手の動きは早いが直線的だったので
相手から目を離さなければ逃げることはできそうだ。……ならば!鑑定スキル発動!
ケトルランサー 軟体類
体力 1???
精神力 ????
攻撃力 320
ドロップアイテム:????・????・????・????
……まてこらぁ!攻撃力しか見れない上にかろうじて見えた攻撃力がやばすぎる。
こんなん勝てないわ。これは無理ゲーやん!
名前からするとイカのようで言ったとおり攻撃力が半端なく高い。触れたら即死というクラスだ。
「こりゃ逃げる一択だな。となれば早くもアレを使うときがきたようだ。次のヤツの突撃回避後にヤツとの位置が離れた時に使うことにしよう」
ヒロはイカから目を離さず東フィールドへ向けて泳ぎ始める。イカはヒロが逃げようとしていることに気づき何度も突進をしてきては離れた位置に停止。それも徐々に位置が近くなってきて来やがる。
おそらくイカのやつはヒロにイカに対抗する手段が無いことを悟り、距離をつめて一気に殺しにかかるつもりなのだろう。
……まずいなぁ。さっさと秘密兵器を使っておくべきだったかもしれない。
俺はそんな事を考えながらも必死に東へ向けて逃げ続ける。イカのヤツもいい加減に諦めてくれたらどれだけ楽か。残り数百mでブルーレイなどのいる海域まで戻れるのでそこまで行けば攻撃範囲から外れるはずだ。
ここまで来てイカのヤツは俺がエリア切り替わりへ逃げ切るまでに仕留めるべく、とうとう水刃の魔法まで放ってきたのだ。
……ただでさえ致死攻撃なのに更に魔法とかおかしいだろぉぉぉぉ!
ヒロの声は空しく響く。エリアチェンジの境界までは距離がある以上まだアレはつかえない。今アレを使ってもし振り切れなかったらほぼ間違いなく死ぬからだ。
イカはヒロが離れようとするたびに突進で前方をふさぎ、水刃による攻撃を仕掛けてくるので
一直線に逃げることはできないのだ。
「くそっ。ならば、迎え撃つぜっ!」
こうしてヒロは戦うことを余儀なくされ、イカの攻撃を食らわないよう慎重に行動している。
イカから目を離さなければ常に鑑定スキルの効果が発揮され熟練度がどんどんあがっているのだ。
そしてとうとうイカの新しい部分が判明した。
ケトルランサー 軟体類
体力 1800
精神力 850/1200
攻撃力 320
ドロップアイテム:イカゲソ・????・????・????
やっぱつぇぇ!?
等という感想を思い浮かべると同時にイカが突進の予兆を見せたため急いで槍を構える。
案の定直線で突っ込んできたのでヒロは槍を構え半歩ずれてから槍を思いっきり突き出す。
《ギュロロロッロロ?》
イカは反撃されるとは夢にも思っていなかったようでジタバタと暴れ身を捩って槍から身を離すと距離をとり始めた。
「チャンスか!?」
俺はすかさず逃げの一手を決めイカに背を向けアレを発動した。
「発動!ブゥゥゥゥーストォォォォォ!!!」
指輪から面白いほどの水流が巻き起こりヒロの体はミサイルのように東のフィールドへ飛んでいく(泳いでいく)
後ろを見るとイカが追いかけてきているのでこのままではまずいと思いヒロは更に魔法を使う。
「……かーらーーのぉぉぉ水波ァァァ」
ブーストの効果が落ち始め徐々に速度が下がっていたがヒロが後方に向けて水波を発動したことで推進力が生まれ加速したのだ。
これによりブルーレイのいるエリア境界まで到達。イカは悔しそうにスイスイと境界を泳いだ後元いた場所へ戻っていった。
「た、たす……かったぁ。この先のエリアはまだまだ俺には無理だな。ということは東の海はここまでにして次の場所を探さないとな。……一度南に潜って敵の強さを見れるかだけでも調べておいたほうがいいな。もう9時前だし町に戻ってログアウトしよう」
こうして命からがら逃げ延びたヒロはテアトルの街へ戻りログアウトしたのだった。
ステータス
名前 ヒロ
性別 男
種族 トリトーン(魚神の僕)
体力 150(+25)
精神力 80(+45)
攻撃力 43(25+18)
装備
武器:サハギンの槍
頭:なし
体:海人の服→ウェットスーツ
足:ヒレ(着脱不可)
アクセサリ1:なし→ウロコのブーストリング
アクセサリ2:なし
(武)槍技能 LV24→LV27
(魔)水魔法 LV23→LV26
(技)水泳 LV29→LV30
(技)水中呼吸 LV29→LV30
(技)方位知覚 LV26→LV29
(技)鑑定 LV16→LV25
(技)潜水 LV19→LV23
(技)採取 LV16→LV19
(技)同化(水)LV19→LV23
(特・技)統率 LV1
控えスキル:船舶LV1・波乗りLV1・生け簀LV1・釣りLV1
所持スキルポイント:5→10
武器スキルの場合 偶数レベルごとに攻撃力2~3上昇
魔法スキルの場合 偶数レベルごとに精神力+5
技能スキルの場合 5LVごとに体力または精神力が5上昇
生産スキルの場合 奇数LVごとに生産性効率や品質に上方修正
特殊スキルの場合 5LVごとにランダムでステータスが5上昇
称号:臣下にすら認められない魚神(笑)・初めての魚神島発見者




