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うみマニアのやりこみ冒険記  作者: ふんにゃり
 鰡(ボラ)の章
16/145

第13魚 12月24日⑦

  20時50分



 『ホーホッホッホッホー、メリークリースマスー』

水中にいるにもかかわらずはっきりした声で喋るサンタ強。

まあ死ぬ時ですら笑っているんだからそこは尊敬するよ。


 ヒロ・ハヅキ・メリルの3人で東の海フィールドにいるサンタを倒している。というのも現在イベント中なのだがヒロたち3人の周りにはプレイヤーの姿が全く無いという不思議な状態でもあるのだが…。



時間は少し戻って 20時15分頃



 海に入ってすぐにしたことはハヅキの【潜水】スキルの育成だ。このフィールドで長時間行動する際に必須スキルである【水泳】・【潜水】の最低どちらかと文字通り水中で呼吸そして会話する為に必要な【水中呼吸】の2つが必要となるのだが、現在ハヅキは【潜水】スキルしか所持していなかった。

そのためヒロ監修の元、【潜水】スキルをスパルタ育成している最中である。


 メリルの方はというとイベントを一緒に行動すると決めたときに温存していたスキルポイントを使用し、必要なスキルを取得したので現在は海岸近くの海を遊泳訓練中だ。(なおメリル達からするとこの辺りはモンスターが強い為襲われた場合すぐ逃げるように言い含めている)



 『ゴボ……ガボボボ』


 うむ?ハヅキがなにやら言いたそうだ。ヒロはハヅキに付きっきりで教育中、ハヅキの視線に気づきハヅキのほうへ近寄る。


 「どうした?まだ潜って1分経ってないけどもう息切れか?」

俺が話す言葉はちゃんとハヅキに伝わっているので反応を待つとハヅキはウンウンと頷き指で上を指し示す。どうやら苦しいらしい。


 「海岸まで持たないんだな?」

俺の質問に対し激しく何度も頷くハヅキ。ならしかたないな。俺はハヅキに触れて抱き上げるとスキルを使用し急浮上して行き水面へ出る。……この体が生身だったら役得だったんだがなぁ。


 『ぜぇぜぇ……ヒロさんもっと早く助けてくださいよ~。苦しかったんですからね!!!』

水面に浮上させてもらい呼吸を落ち着けたハヅキが一方的に俺を言葉による暴力で攻め立ててくる。


 そうは言ってもハヅキさんよぃ。俺はスパルタ始める前にメリルと同じように海岸近くから始めるように提案したんだぞ?それを早くスキルをあげたいって言うから深さのある沖まで付き合ったてーのに何故俺が文句を言われなければならぬのだ?


 『……でもスキルの方はもうすぐ7になりますよ。まだ始めて10分も経ってないんですけどねー』


 やはりスキル熟練度の伸びが凄いようで、ここまで簡単にあがる事にハヅキも心底驚いているようだ。

いや……あきれているのかもしれない。後から聞いた話だと生産系(鍛冶と道具と薬)をレベルあげするときに7になるのには3~4時間ほどかかったそうだ。素材がなくて作れないって言うのもあったかもしれないが相当苦労したんだなぁ。



 『もう少しで10ですからヒロさんお願いしますね!』

再度潜る気力が回復したのかハヅキが早く潜れとばかりに俺を見つめて来る。

 ……そんな可愛い顔で見つめないでくれ!俺の中の封印されたモノが出てきてしまうじゃないか!


 「り、了解。そんじゃ潜るよ~」

ヒロは再度スキルを使い海底へ向かって潜っていくと、すぐ海底に到達しハヅキを降ろしてあげた。

 海底に降り立ったハヅキは潜水スキルの熟練度メーターを見つめながら色々行動を起こしている。

たとえばその場で回転してたり、手を振ってたり、踊ったり逆立ちしたり……。


 今回はを上げるまで3分間程耐えていた。ハヅキの苦しさを示す合図を見て俺はすぐにハヅキを抱え浮上……コレを2回3回と繰り返したのだ。


 4回目の浮上でようやくハヅキの潜水スキルが10になり水中呼吸が覚えられるようになったのだが、

先も言ったとおり、この後もイベントを続けるか否かによって無駄スキルになってしまうかもしれない。

 じっくり考えてもらう為ヒロはハヅキを連れて東の海岸へ戻っていった。



 「ちゃんと考えてくれよ?イベント自体が今日と明日の2日間だけしかないのに今この水中呼吸を取って後から使わなくなりました……じゃ後々のスキル数によるペナルティの時に悩むことになるだろ?特に生産で続けるってのに関係性が薄いスキル持つのはまずいと思うし。……まあメリルは魔法とかも結構取ってるから生産メインという括りから除外してるけどな」


 『そうですね。後々のことも考えて彫金スキル取るつもりだったんですけど折角水のエリア探索する手段があるんだし今回は水中呼吸をとっちゃうことにします!このスキルがあれば海底鉱山で採掘もできるようになるしね』


 海底鉱山?そんなものあるのか?と思い尋ねようとすると前にメリルに先を越されてしまった。


 『もーぅ、ハヅキちゃんはあんな眉唾な話信じたの?あんなの噂の域でしょ?どっかの天使が昨日たまたま空中に浮かぶ島の中に鉱山を見つけたから、他の場所……たとえば海底にも鉱山があるはずだって言うあれよね?』


 そんな噂があったのか。…このゲームで人と話す機会がかなり少ない俺にはこの二人がいなかったら入ってこない情報だな。そういや、空のヤツもイベントやってんのかな?アイツならたぶん上位入賞目指してくるだろうから明後日まで待たなくても明日の結果発表の時に会えそうだな。


 『た、確かにそうなんだけど、確認もしないで頭から否定したくないから。だから私はこの二つのスキルを育てて海底鉱山を探すわ!』


 ハヅキは海を行動するメイン舞台に選ぶようだ。そうなると俺も話しかけ易くなるな。ふっふっふ。


 「ハヅキ!ならばその目標。俺が手伝うぞ!俺が怪しい場所を発見したらハヅキに教えるからそこを調べてみればいいんじゃないか?そうすればハヅキは生産をメインに置きながらも今できた海底鉱山?を探すという目標も両立する事ができるだろ?」


 われながらいい考えだと思う。こうすればハヅキと密な接点を保てるし、何かにつけてハヅキに接触できそうだ。単なる素材のやり取りする関係なんて悲しいもんな(主に俺が)


 『……ヒロさんいいの?あるかわからないものを探す手伝いをお願いしちゃっても……?』


 「まあ俺のこのゲームでの目的は《やりたいことをとことん貫く!》だからな。シーマンライフでのんびり広い海の世界を見るうちにそんな感じの怪しそうな場所くらい1つや2つ位あるだろう?

 たまたま見つけた場所の情報を知り合いに話す位大したことじゃないさ。あくまでもそんな場所を見つけたときの話なのだしな」


 ハヅキにそう言うと、ものすごく嬉しそうに笑っていた。



 『ねぇー。ハヅキちゃんたちー。私のこと忘れて無いー?ねぇーってばぁ!』


 ヒロとハヅキはお互い見詰め合っていた事に気づき慌てて反対側を向き咳払いをしながら


 「わ、忘れてるわけ無いだろ?そういえばさメリルの目標はどんなのなんだ?」

 『そ、そうよ~。あっ私もそれ聞きたいな?メリルってば大事なこといつも話してくれないんだもの。このゲームでの目的くらいは聞かせてほしいな』

 『むぅ!なんかそこはかとなくはぐらかされた気分がする……話すことはまあ構わないんだけど今じゃなくてもいいよね?やっとハヅキのスキルの設定もできたんだしプレゼントボックス集めしようよ』



 俺はまたしても目的を忘れていたぜ。たった2日しかないイベントなんだ。3人で思いっきり楽しまないとな。

 ……俺は2人に合図をし揃って海へ入っていった。


 今度こそサンタを倒してやる!絶対の絶対にだ!!

今回のヒロのスキルの成長は次話で纏めて表示させて頂きます。

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