第109魚 3月25日~4月29日③
ちょっと短いです。
次話予定は土曜日……かそれまでに一話頑張ろうと思います。
4月4日
今日は三姉妹とメリルを連れて魚神島に来ている。理由は言わずもがな……後数時間もすれば彼女達が特殊な効果を持つ棺におさめた卵からペットが生まれる。ハヅキは今日リアルの都合でこられなくなったので、彼女が取得した卵は後日棺に納めることになる。
『おにいちゃん……私のペットが生まれたらどうしたら良いの?』
「ちゃんとエサをあげて面倒見てあげればいいぞ?ある程度育てばタルトやヤトみたいに構ってやれない間は自由行動しているからな」
『ヒロさん。ペットのエサは何を用意すればいいかな?』
「そればっかりは産まれてみねぇとわかんねぇなぁ。一番揃えやすいといえばどこの街にも売っているペットーフードなんだろうが、タルトが言うにはマズいからイヤ!だそうだぜ?」
スクルドやベルにそんな事を聞かれながら刻一刻と孵化完了までの時間が短くなっていくのだった。
ウルドに関してはある程度ペットの事前情報を得ていたのか、何も聞いてこない……というか棺の前に張り付いてるんだよなぁ。あれでスノウねぇと同い年には見えん。いつもはちゃんと大人っぽいんだけどなぁ。
メリルのほうは先ほどから延々と料理で色々なものを産み出している。こっそり完成品を見てみると全てペットフード……。超レア食材で作ったペットフードとかどんだけ楽しみにしてたんだよ!といいたくなるぜ。
ここで彼女達のペットの種族名をおさらいをしておこう。まずは……
スクルドとメリルはコカミルバードの卵、ベルはメタルランサー、ウルドはソードナイトで、スノウねぇはマジックナイトとメタルランサーの卵があったがヒロ達の都合上ここには招いていない。
一応昨日食事時に美雪ねぇに卵の所在について聞いてみた所、魚神島の棺と似たような効果を持ったカプセルがある遺跡を大地の陣営も所持しているとのことだったので問題はないと思われる。
「もうすぐ産まれるな。産まれた後、ある程度育つまではこの島から出せないはずだから、様子はこまめに見に来てくれよ?一応タルトたちに最低限の世話をさせるつもりだけどな」
『うん!大丈夫!前にダンジョン行きの為に用意してもらった船の行き先にこの島を追加してもらったからね』
『スクの言う事だから信用できないけどもしスクがペットの世話を止めたら、罰を与えた上で私が面倒見ておくから安心して』
「……ベルは苦労症だなぁ……」
『妹の尻拭いくらい姉である私がしないとね……』
そして卵を収めた棺が光り始めると会話そっちのけで主となる彼女達がそれぞれ誕生する姿を目に焼き付けようとするべく棺の前に陣取った。
『クケ~ッ?』
『ルッポ~?』
『ギギギっ?』
『ギーィギーィ?』
ふむ?前の二つはコカミルバードの卵のはずなのに泣き声が違うな?どういうことだろうか?
確認しようと思ったが女性陣たちが生まれたペットたちに抱きついたりしているのでその姿を見る事ができなかったのである。
数分たちようやく彼女達のテンションが静まってきた所で、その姿と種族を確認する事ができた。
スクルドの卵からはコケートスというコカトリス亜種に進化する肉食系の鳥が。
メリルの卵からはピジョールバードという鳩っぽい容姿の雑食性の鳥が。
ベルの卵からはベビーナイトΣという機械戦士系で雑食性のペットが。
ウルドの卵からはベビーナイトΛという機械戦士系の肉食系のペットが生まれたのだった。
これらのペットたちはヒロの時と違い父母表記ではなく主従登録されていたので最初から島の外に連れ出せるらしい。おのれぇ、船に行き先を細工する時間を捻出した俺の苦労を返しやがれ!
『ふふふ、名前決めなきゃ!えーとえ~っと……』
『私のペットはそうね。ミルトにしようかな?』
『私はスクと違って既に決めてあるのよ。おいでキュベレイ!』
『ふふっ、スクもベルもはしゃいじゃって……』
それぞれ好き勝手な事を言っているんで遠慮なくツッコミ入れさせてもらうぜ。
まずはスクルド、昨日俺にたくさん名前一覧送りつけてたくせにまだ決めてなかったのかよ!?
次、メリル!その命名、タルトの名前に似てると思うんだが気のせいか?チラチラこちらを見てる事に気づかれてないとでも思っているのかよ!
ベル!そのネーミングセンスはどうかと思うぞ?どこぞの軍の戦闘機なのか?
ウルド……まさか一番はしゃいでるように見えたアンタからそんな言葉を聞くことになるとは夢にも思っていなかったよ!
そんなこんながありましてようやく名前が決まった。
スクルドのペットはルシア。 送られてきた名前一覧の中で名前が一番大きかった。
メリルのはショコラ。 ミルトだとややこしくなると軽く抗議した結果お菓子つながりという事で。
ベルは概出のキュベレイ。 理由は本人のみぞ知る……。
ウルドのはレリック。 同上。
ペット達はきっと成長すれば攻略組である三姉妹の役には立つだろう。メリルのは生産失敗した残飯処理とかしてくれるだろうし?
『それじゃあ、おにいちゃん色々ありがとうね!今度一緒に狩してねー』
『ヒロさんありがとうね。今度素材でお礼するわね』
『あらあら?もうあの子たちったらもう浜辺に向かったのね。船を所持してるの私なのに……。
あぁ、妹達も言っていたけど今回の事ありがとうね。卵を普通に孵化させるのって普通のやり方だと月単位で掛かるのよ。それが短くなって良かったわ~』
三姉妹はそういうと自動航行機能の船でテアトルの町に帰っていった。残ったのはヒロとメリル、そのペットたちだけだ。
「メリルはどうするんだ?船で送ろうか?それとも海底ツアーでもするか?」
『誘ってくれるのはありがたいけど私これでも空を飛べるのよ?忘れてたのかしら?』
『パパさん!メリルおねえちゃんはね、島から出られない時とかに様子を見に時々島に来てくれてたんだよ』
「へぇ、そうだったのか?それはきづかなかくてすまなかったな』
『っ!?タルトっ。それを何で今この段階で言っちゃうのよぉ!』
メリルが顔を真っ赤にして怒っているのを何とか落ち着かせ、この後の事を聞きなおしたところ、素材採取のために空フィールドに行くから送らなくてもいいということになった。
いつの間にかメリルは材料探しのため空にまで進出していたらしい。船とか船体強化の素材になりそうなものがあったら譲ってもらえんかねぇ……。
そういう理由もありメリルと別れた後残ったのは、俺とタルト達だけとなったのだがそれを待っていたかのように魚神島おきに大きな影が現れたのだ。……ってノーデンスかよ!?
『やあヒロ。先日言った会ってほしい人たちがいるんだけど今からでも時間大丈夫かい?』
いつもどおり軽い口調で話しかけてくるが、雰囲気がなんか堅い気がするな?
だけど確かに少し前に打診があった事だし、今の時間もまだ20時前だ。時間に余裕はある。
「あぁ、時間なら大丈夫だ。どうすればいい?」
『ヒロはそのまま遺跡の中に入ってくれるかい?。ちょっと島を移動させるからね』
「ふーん。島を移動させんのかぁ~……島の移動だとぉ!?」
『はははっ。君の妙なテンションがいいね!大丈夫だよ。この用事が終わったら元の場所に戻すから』
さすが魚神と呼ばれるだけのことはある……というべきなのか?
こうして魚神島はザブリと海底深くに潜り、体感時間で数分後どこかに到達した。
『ここの奥に君に会わせたい人たちがいるから会ってきてね。ちゃんと帰ってくるまで待ってるから安心していいよ』
「分かった」
ヒロはそう言い、遺跡を出るとそこはタイヤヒラメの躍るお城だった!ヒロは思わず叫んだ。
『竜宮城かよっ!』




