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ソリット・スクア  作者: そうしょう
2.運命と天才与えられる愛
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6.運命診断

アカリは走っていた。


――お前が、全部。


悪いんだと、言われた。

遠い昔に…そう、告げられた。

コウや…彼らソリット・スクアと一緒にいるときは、楽しすぎて…彼らの優しさに甘えていた。流れてしまえばいいのだと、そう傲っていたのかもしれない。


コウと仲良くなりたかった。そのためには、自分から歩まなければダメなのだとわかっていたのに。


「コウくん…!」


後ろ姿。


「あ、アカリさん。もう…大丈夫ですか?」


首もとに巻いたマフラーを指先で軽く押し上げ、コウは手に持っていたスマホをしまう。


「ちょうどメールをしようと思ったんですが…よく考えましたが、貴方のアドレスきいてなかったですね」


くすくすと笑むコウに、アカリは確かにとほんのり笑みを浮かべた。

それから、少し考えてから、指差す。


「あちらで、少しお話しませんか?」




異論はなかった。


*


ぽかぽかとした陽気。そよぐ風がほんのわずかにアカリのセミロングの髪を揺らす。


「僕は、ルか兄に助けられたんです」

「え、」

「ふふっ、どうせきぃ先輩からきいているのでしょう?彼、結構おしゃべりさんで…もないですかねぇ…」

ふと思い直して、コウは最後の方を口ごもらせる。


え?


「きぃ…?!って、…まさかあの、保健室にいた…?!」

「おや、自己紹介してなかったんですね。どこまで話したんでしょう…えぇっと、仮に、僕が彼にお話したところまで知っている、という認識で話させてもらいますね。」

アカリは頷く。カンなのだろうが、的を得ていた。


――『よく、知っている』


そういうことだったのか…そうアカリは心の中で頷いた。道理でやたら話がスムーズだと思ったのだ。

あとからもう一度問い詰めないと。

ともあれ、そうコウは話を戻す。


「ルカ兄は、従兄弟同士ではあったのですがお会いしたことはなかったんです。知っての通り、我が家は異常者を忌子として扱われてましたから…兄さんに会うことは固く禁じられていました」


知らない異常者であるルカを考えることもあった。一体どういう人なんだろうか、どんな生き方をしてきた人なのか。考え出すとキリがなくって。


「だから、初めて会ったときには誰なのかわからなかった。影が薄くて、いつのまにかそこにいて」


――…お前が幸、だな?


光の入らない部屋の中、彼はそう呟いた。

食事は1日に2回、いつのまにか出されていたから、人と出会うことなんてほとんどなくなっていて、だからこそ、誰かと会うのは久しぶりで。


「最初は…、こわくって。」

誰だろう、って。


「そしたら、『お前、生きたいか?』ってきいてきたんです。きっとルカ兄はわかっていたんでしょうね。あのときの僕は、生きながら死んでいましたから。」

その言葉に、自然と頷いていた。満足したのか、差し出された手。


――じゃあ、一緒に行こう


掛けられた、温かい言葉。

「そうして、ルカ兄のところに引き取られ、今はおばさんたちの所で生活をしています。ルカ兄のおかげで、異常を少しだけ、嫌いではあるけど誇りになれた」


この異常がなければ、こんなにも幸福な生活を続けれなかっただろうから。


「アカリは、異常をどう思いますか?」

「私には異常はない…でもそんなに、悪いものとは思わないよ。素敵な力だと思う」


だって、その異常でルカはコウを助けたのだから。


「――……優しいですね、アカリは。僕は、君を傷つけました…それでも、僕は、君を知りたい。貴方の優しさの奥を、知りたいんです」

「私も傷つけた。でもやっぱり、コウくんと仲良くなりたいの。」


ふわり、コウは笑んだ。


「僕たち、もっと仲良くなれそうですね」

「うん!よろしくね。あ、とりあえず…」


アカリは、スマホを取り出す。


「メアド交換、しよ?」


キョトン、としたような表情でコウは目を何度か瞬かせると、くすりと小さく笑みをこぼした。

はい、と、彼は頷いて周囲に花を散らしたのであった。


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