表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

ぷかりぷかり




「ま、まあ。てっちゃんの家は知ってるから。いいけど。さ。てっちゃん。足が速いんだからもう」


 駄菓子屋から出て、てっちゃんの背中を追えたのは、ほんの数秒。

 あっという間に、距離が開いたかと思えば、てっちゃんはもう姿を消していた。

 てっちゃんはとてつもなく、足が速かった。

 いつもいつもいつも、幼稚園でも小学校でも運動会では一等賞なのだ。


「そして私は、ビリから二番目。っふ。ふふっふふふふっと」


 足は軽い、とは思う。うん重くはない。けれど、どうしてか、走るのは遅い。

 謎だ、謎過ぎる。足が重いならわかるけれど、足は軽いのに、どうしてこんなに走るのが遅いのか。

 きっと、解ける事のない永遠の謎なのだろう。

 いや。いやいやいや。

 永遠の謎は、今、解けてしまった。

 頭が、重いのだ。とてつもなく重い。コンクリート地面しか見えないくらいに頭が下がってしまう。


「いや。いやいやいやいや。待て待て待て。何でこんなに頭が重いのか?」

「某がそなたの頭に乗っかっているからである」

「そっかなるほど通りで重いはずだ。よし。謎は解けた………うん?某って、誰?」

「某は哲寿てつじ様の見守り獣の小虎ことらである。小虎の姿の小虎。覚えやすかろう」


 頭が軽くなったかと思ったら、目の前に、漆黒の両翼を背中から生えさせた小虎が、ぷかりぷかりと浮いていた。

 ぷかりぷかり。


「哲寿様って誰?」

「そなたがてっちゃんと呼んでおるお方だ」

「………あ。そっかそっか。てっちゃんは、哲寿だった。そうだそうだ。もうずっと、てっちゃんってしか呼んでないから、名前忘れてたや」


 あっはははは。











(2024.8.17)




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ