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てっちゃん
真紅と漆黒のチェック柄のスカート。
紋章入りの深緑色のジャケット。
大きな純白の両翼に、狐耳の少年、もとい、幼馴染のてっちゃんが。
「あはははは。失敗失敗」
空から野外に設置されたトランポリンに落ちてきた。
「………てっちゃん。って。えっと。えっと」
(私と同じ人間だったはず。だって同じ小学校に通ってるし。でも私は少女で、てっちゃんは少年で。実は知らないだけで少年はみんな、狐耳で、翼が生えていたの!?)
「えっとえっとえっと」
目に映る情報量が多すぎて混乱する中、私の脳裏に先日テレビで見たどこかの国の貴族の人の姿が過ったその瞬間。
「狐の貴公子だったの!?」
そう叫ぶと、トランポリンで大きく飛び跳ねるてっちゃんは、にっこり素敵な笑顔を向けてくれたのであった。
(2024.8.11)