九話 サイズを引き取る事になりました
九話 サイズを引き取る事になりました
サイズは早速就からスマホを奪い、ゲームを始める。
エスパーダはスナイパーライフルを片付け、自分のスマホでゲームをしながら、サイズのプレイイングを見守った。
二人は初顔合わせなのに仲が良さそうだ。六歳と精神年齢が一緒というのは今後が不安になるが、微笑ましくもあった。
「小人もスマホがあるんですね」
就は興味深げにエスパーダの持つスマホを見ている。
要は他の男にエスパーダが見られるのがイヤだった。
「それで最初の話に戻るけど能の事はどう思ってる?」
だから就がイヤがりそうな話をした。というか、その話をしに来たのだ。サイズに惑わされてはいけない。
「それはその、すいません。俺はサイズを守りたいんです」
「能が宿守応該の娘だからダメって事?」
「そういう言い方は……」
「能は性格に問題はあるけどまあかわいい妹だよ。その妹を軽く扱われるのは兄として看過出来ないよ」
能が文句を言いそうだが、要は無視して就に圧をかける。
「君はサイズと結婚するわけじゃないだろ?」
「当然です。サイズは子供みたいなもんですし」
「じゃあ能と一緒になっても問題ないだろう。子供みたいなもんなら一緒に育てれば良い」
「しかし俺は彼女を振ってしまっているわけですし……」
要は能に聞く。
「能はこのままで良いのか? 別れるにしてもこのままじゃ納得できないだろ」
「うん。就ときちんと話し合いたい」
能はいつになく真剣な顔をしている。
「二人で話し合うと良い。サイズは俺とエスパーダで預かっておく」
「何を言ってるんですか!」
当然、就は猛反対した。要もそうなる事は分かっていた。だから話す相手を変えた。
「サイズ。エスパーダと一緒にいたいだろ?」
「うん。でもスマホ就のだから……困る」
寂しいとかではなくて現実的な心配だった。
就と能を二人きりにして、「ゆうべはお楽しみでしたね」と言ってやる仕返しをするのは難しくなった。
そこにシールドから返事が来た。
長文を読んで、サイズに報告。
「明日、シールドがスマホを持ってきてくれるらしい。サイズのスマホ」
「マジ⁉︎ じゃあ行く」
あっさりお泊まりが決まった。
「おい、サイズ」
「恋は大事だよ。兎は生まれた時から今まで付き合える人が見つからないって嘆いていたもの」
知らないところで彼氏いない歴イコール年齢をバラされていた。会った事はないが、かわいい派として兎真に同情した。
「うちはいろいろな小人が来るし、小人用の料理も習ってる。心配ない」
「就の料理、味が濃いからね」
すでに行く気満々のサイズに就は諦めたようだ。
サイズは充電が一桁になるまでゲームして、要のポケットに入って去っていった。