七話 彼が想に相談しました
七話 彼が想に相談しました
すぐさま想に電話を掛けると当然のように都が出た。
「あんた、用がある時しか電話しないね」
勝手に電話に出ておいてよく言う。
「想を出して欲しいんだけど」
「用は何?」
電話を想に返す気はないようだ。仕方なく言う事にした。
「新しい小人と知り合いになったんだが、ゲームをやっててな。そのゲームのデータを新しいスマホ……とりあえず知り合いの人間のスマホに移そうと思うんだ」
「まず元のスマホの番号か、名義人の名前を教えて。それからゲームの名前とそこで使ったアカウント名、出来れば識別コードか機種変用のパスワードなんかもあれば良いかな」
想に辿り着く前に話が進んでいる。要は都を待たせて、エスパーダ経由でサイズに尋ねる。
「ゲームに使ってたスマホは誰のだった?」
「ウサギ」
「え?」
サイズもおいしそう派とかわいい派の争いを知っているのだろうか? 要がそう思っているとサイズが言った。
「兎真。かわいいんだよ」
これはウサギかわいい派にカウントしても良いだろう。
「真って女か?」
「当たり前じゃん。そんな事も分かんないの?」
当たりが強い。
とにかく都にその名前を伝えた。
「ウサギ? まだ争ってんの?」
都も要と似たような反応を示す。しかし要が人名だと食い下がると納得してくれたようだ。
サイズに兎真の番号を聞いたが、知らないみたいである。その事を報告すると想の仕事が増えると文句を言われた。そして想が電話に出た。
「大丈夫。異界大戦だろ? で、新しい小人って誰? サイズ?」
「よく分かったな」
「身内ばっかりのギルドで知らないのはサイズだけだしな。ゲームの引き継ぎのパスワードが欲しいんだろ? 後で知らせてやるよ」
「悪いな。頼れるのが想しかいなくて」
「……任せとけ」
想は照れたように言うと電話を切った。