六話 サイズと打ち解けました
六話 サイズと打ち解けました
改めて、サイズは自己紹介を始めた。
フルネームはサイズ・レシピ。見た目女子高生だが、生まれて六年しか経っていない。宿守応該の研究所で、唯一の被験体でケガ人にキスをするとケガを消せる超能力者だ。治癒術とは違い、消す事が出来るだけらしい。痛みは残るんだとか。
この成果ではまだ充分ではないと感じたのか、応該はサイズに子供を産ませようとした。心ある研究者が彼女を逃してくれ、偶然就のところまでたどり着いた。彼は能のように服を作ってくれるが、セーラー服や体操服などしか作らないため不評だとか。
能に作らせればと要が提案するが、打ち解けたのはエスパーダとであって要とではなかった。なので、今も警戒の目を向けられている。
さすがにエスパーダが見かねて、
「彼もギルドのメンバーだよ」
と言ったが食いつきが悪い。
「ああ、いつも素材をくれる人ですね」
そう言ったきりだ。
「要が素材をくれるから楽しめるんだよ。サイズももっと私のフィアンセに感謝しなさい」
エスパーダは偉そうに言うがサイズは納得していないようだ。
「私にくれるのは少ないよ」
「そりゃ、私を優先してもらってるし」
「私もエスパーダみたいに強くなりたい」
かなり打ち解けてきたのかワガママを言うようになった。エスパーダは面倒臭さそうな顔をする。
「そこは財力がものを言うんだよ」
身も蓋もない事を言い放つ。サイズはガッカリしていた。
「お金持ちには勝てないのか……」
「サイズはまだ子供だからあまり課金は控えた方が良いよ」
要が言ったものの聞いちゃいなかった。
「それにスマホは持って来れなかったから、新しく始めないといけないの」
サイズにとっては死活問題だ。さすがに可哀想だと思ったのかエスパーダは要に聞いてくる。
「なんとかしてあげられない?」
「うーん、ゲームのデータか」
考えてみたがある人物の顔しか思い浮かばなかった。
「想に相談するしかないか」
要が呟くように言うと場の空気が変わった。苦笑いと軽蔑、どこかみんな要を見下しているように感じる。
するとサイズが言った。
「ダジャレとか寒い」
作られた小人は笑いに厳しかった。