五話 新たな小人はゲーム仲間でした
五話 新たな小人はゲーム仲間でした
新しい小人は就とだけ目を合わせ、要達には見向きもしない。人見知りなのだろう。
「就君、紹介してくれるかな?」
これ以上警戒されないように就を通して名前を聞く。第一印象は良くしておかないと。
「彼女はサイズ。研究所から逃げてきた小人です。小人はサイズだけだと聞いていました」
サイズと呼ばれた小人は就の紹介に頷いた。
「研究所?」
要が聞く。
「宿守研究所です。あなたの父、宿守応該の」
初めて会った就に父親の名前を言われるとは予想外だ。
「サイズはそこで人体実験を受けていたと聞きました。そして望むような結果が得られないと知ると繁殖に使おうとしたそうです。許せますか?」
就はテーブルを叩いてしまい、サイズが軽く跳ねた。
「だからサイズは逃げて、俺の部屋に来たんです」
要に対して敵対心のようなものが感じられる。宿守という名字のせいなのか。そんな事を考えていると、要はある考えに思い至る。
「もしかして就君、能と距離を置こうとしてる? 親父のことを理由に」
「何それ。ひどくない?」
「サイズはひどい目に遭ってたんだぞ」
就は暗に認めた。要には彼が自分に近いと感じた。だが彼の正義は要と能にとって害でしかない。
「俺達と距離を置くのは得策じゃない。俺はエスパーダだけでなく他の小人族と仲が良い。小人用のスマホだって用意してもらえる。能もエスパーダの服を作った実績がある。今エスパーダが着ているスーツも能の作った物だ」
サイズは「スマホ」に、就は「他の小人族」に反応した。
「就、スマホだって」
「ダメだ」
「ケチ。せっかくエスパーダと連絡取れると思ったのに」
「ん?」
「ん?」
サイズがエスパーダと向かい合う。
「もしかして異界大戦やってる?」
エスパーダが問う。
「うん」
「ギルド名は……」
「「エスパーダと愉快な下僕達!!」」
ユニゾンの後に、二人はリアルでの出会いを喜んでいた。