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三話 義妹のボーイフレンドと対面しました

三話 義妹のボーイフレンドと対面しました



「はあ? なんでスーツ着てんの?」


 普段着の能が就に聞いた。


「なんでって、能の家族に会うのにラフな格好出来ないだろ」


 能は顔を赤くして、黙った。うるさいと邪魔なので要としては助かる。


 就が座ると要は名乗った。


「はじめまして。能の兄の宿守要です」


「宿守……⁉︎」


 就の表情に警戒の色が見えた。しかしそれも想定内だ。


「うちの両親が離婚してね。俺が父方の宿守を名乗っているんだ。だから俺が能の父親がわりみたいなもんだ。結構残念に仕上がってるだろ?」


 そう笑いかけたが、ぎこちなく笑い返されただけだった。やはり真実を本人の前で言うのは気が引けるのだろう。


「ちょっとお兄ちゃん、残念って何よ?」


「付き合ってもいない男の家に泊まるのは残念なやつなんだよ」


「だーかーらー、二人のために私はお泊まりしただけで……」


「それを断罪しようとしているんだ。なあなあにしてるとお前や彼のためにも良くない。付き合うなら付き合う、友達なら家には行かないと決めておこう」


「お兄ちゃん、古い」


「古くて結構。で、就君だっけ?」


「はい、二瓶就(にへいしゅう)です」


 まだ表情が堅い。しかし打ち解けるためにははっきりさせておく必要がある。


「能のことはどう思ってる?」


「お兄ちゃん!」


「待て。これは避けて通れない。今日はこのために来たんだからな」


 要は能を制して、就に答えを迫る。就は話し始めた。


「僕はその、能さんと同じ高校のクラスメイトで、ずっと仲良くさせていただいてます。二人でオーダーメイドの服屋をやろうと話し合っていたんです」


 過去形だったのが気になった。


「思ってた……というのはどういうことだろう?」


 就は答えようとしない。チラチラと要を見ている。


「就、裏切るのかよ?」


 能が我慢出来ずに就に詰め寄った。要との心理戦を、能は真っ直ぐな感情でぶち破る。


「落ち着け。服屋はやる。ただ……」


「ただ?」


 そこまで詰められて就は答えを遅らせる事は出来ないと思ったようで、要を見てから言った。


「人間ではないものにも服を作りたい」


「ん?」


「どゆこと?」


「小人に向けて、服を作りたい」


 就から、今日会ったばかりの人間から「小人」という単語を聞いて要は大変驚いた。


「小人の知り合いがいるのかい?」


 観念したように就は頷いた。そこに能が一言。


「それならもう私、やってるよ」


「え?」


 能の報告に驚く就。


 要はエスパーダをポケットから出し、テーブルの上に置いた。


「はじめまして。小人族のエスパーダ・サリナスです」


 エスパーダがあいさつすると、就は固まったまま動かなくなった。




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