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エピソード3 黒い王子に私の小説を馬鹿にされたので、本気出します

この作品は、今日中に完結します。

8時、12時、16時、20時、23時に投稿です。


「うふふふ、やっぱり本に囲まれていると落ち着く」


 アイラは、学校の図書室に逃げ込んだ。

 部屋に置いてあった自習用のメモ用紙とペンで、あっという間に短編小説を書き上げる。

 何かストレスを受けると、ネタとして小説に叩きつけて解消するのが、現実世界の日葵の日常だった。


「こんな世界にいると、やっぱり異世界恋愛に筆が走りまくるわね。あの王子達、イケメンだったなあ」


 実際に話すのは苦手でも、イケメンをネタに妄想するのは大好き。

 王子達は、彼女の大好物だった。


「ギィ・・・」


 図書室の扉が開く音がする。


「まずい!」


 アイラは、本棚の裏に隠れる。

 しかし、書いた小説を、そのままにしてしまった。


「何だこれは?」


 入ってきたのは、第一王子のアランだった。

 彼は、小説の書かれたメモ用紙を目ざとく見つけ、読み始める。


「クスクスクス・・・」


 彼は、読みながら、笑いをこぼす。


『もしかして、あいつ、私の小説を面白いと思ってる?』


 アイラは、本の隙間から様子を伺いながら思った。


「あのー、もしかして、私の小説、面白いですか?」


 ちょっと嬉しくなったアイラは、本棚の影から顔を出してアランに尋ねた。


「いいや、つまらんな!」


 急に真顔に戻ったアランは、はっきり言った。


「えええええ!?この私の、たった一つの取柄がぁあああ」


 アイラは、涙ぐんだ。


「短編とは、プロットを考えずに殴り書いている。異世界から転生した令嬢だと?こんな書き古されたネタを選ぶとは相当に面白い捻りがあるのかと思えば、どこかで見たストーリー。平凡極まりないな!!」


 アランは、容赦なく続ける。


「いやあああ!やめてぇええ!!」


 アイラは、耳を押さえる。


『ネットの感想欄では書かれ慣れてるけど、直接言われるとメンタルがもたへんでー!』


 彼女は、心の中で叫んだ。


「この王子達は、俺とオリバーがモデルか?なかなかよく描写されている。文章の書き方には手練を感じるし、ストーリーを整理すれば見られたものになるかもしれん」


 アランは、淡々と感想を述べる。


「あ、はい。ありがとうございます」


 アイラは泣き止むと、目を点にして言った。


「よし、これを長編に書き直せ。俺が添削してやる。完成したら、うちの印刷所で本として出版してやろう」


 アランは、メモ用紙の小説を読み返しながら言った。


「あなたって、本の商売をされていたんですか?」


 アイラは、聞いた。


「さっきからなんだ、その気持ち悪い敬語は。いつもの高慢ちきな態度はどうした?」


 アランは、怪訝(けげん)な顔をする。


「お、おほほほ。な、何でもありませんのよ」


 アイラは、咄嗟に演技して誤魔化そうとする。


「亡くなった母が、貴族の恋愛小説を好きでな。自分で印刷所を作って、本を出していたのだ。その影響で、私も本の虫として育った。お前を見ると、母を思い出す。似合わないのは、分かっている。これは、学校では秘密だぞ」


 アランは、少し恥ずかしそうに言う。


「はい、私が小説を書くのも秘密ですよ。これは、二人の秘密ですからね」


 アイラは、クスりと笑った。


「了解した」


 アランは、素直に(うなず)く。


「少し言いすぎた。泣かせてしまってすまん。これでは編集失格だな」


 彼は、少し顔を赤くしながら、白いハンカチをアイラに差し出した。


『よーし!こっちの世界でも本を出せる。この世界で生きていく自信出てきた!』


 アイラは、そう思いながら、小さくガッツポーズをする。


『ふふふ、高慢ちきなアイラに、こんな可愛いところがあるとは意外だったな』


 そんなアイラを見て、アランは優しく笑った。

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