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エピソード1 ぼっちが悪役令嬢とか絶対無理。でも、取り巻きにチヤホヤされるのは超気持ちいい!!

この作品は、今日中に完結します。

8時、12時、16時、20時、23時に投稿します。

『ああ、今日も学校で一言も喋らなかった』


 平凡な高校1年生。

 山田日葵(やまだひまり)は、下校中、心の中で思った。

 十人並みの見た目に、フレームの太い黒縁眼鏡。

 ボサボサの黒い長髪。

 どこにでもいる高校デビューに失敗した、ぼっちのオタク少女だ。


「ぐふっ、ぐふふふ・・・」


 下校途中、彼女は制服姿のまま銀行に寄ると、ATMで通帳記入を行った。

 にやけながら銀行から出てくる。


「少しだけど、印税が入ってる・・・やった!」


 通帳を眺めながら、にやにやが止まらない。


 学校で友達が一人もいない彼女の、ささやかな楽しみは小説投稿サイトで作品をUPする事。

 ネットの中では、そこそこの人気を得ていて何冊かは書籍化。

 少しばかりの印税を受け取っていた。


 彼女は、通帳を見ながら歩き、ついつい赤信号で道を渡ってしまった。

 そこにトラックが突っ込んでくる。


「ええ!?なんでや~!!」


 彼女は、心の中で突っ込みを入れる時に、ついつい使ってしまう嘘臭い大阪弁を叫びながら短い生涯を閉じた。




 『・・・!?』


 日葵が目を開くと大きな鏡の前に座っており、鏡の中には美しい中世風の令嬢が座っていた。


 「何?異世界転生ものの書きすぎで、幻でも見てるの?」


 彼女は、頬っぺたをつねった。


「いたたたた!」


 日葵は、悲鳴を上げた。


「どうなさいました?アイラお嬢様!」


 後ろで、アイラの美しい栗色の長髪を整え、身支度の手伝いをしていたメイドが、びっくりして声を上げる。


「あ、あああ、な、な、なんでもな・・・い」


 知らない人間と話慣れていないか日葵は、途端に挙動不審になった。


 彼女の頭の中に、アイラとして記憶が蘇る。

 中世風のティターニア王国の子爵オベロン家の16歳の長女、それがアイラだった。

 今は、国の貴族の子息が通う王立魔法学校に行く準備をしていたのだ。


『も、もしかして、三食昼寝付き一生ニートコースに乗ったのでは?』


 アイラは、心の中で喜びの声をあげた。




『駄目だ、私にこんな意識高い超リア充の令嬢なんて無理!』


 ティターニア国立魔法学校の廊下を肩を落としながら歩くアイラ。

 彼女は、この世界での記憶を思い出して、重い気分になっていた。


 アイラは、数多くのライバルを、あらゆる悪どい手段で蹴落とし、第2王子オリバーの婚約者となったクールビューティーで、数多くの取り巻きに囲まれる学校生活を送っていた。


『これ、いつ断罪されてもおかしくないキャラだわ。思い出せないくらいの人数、オリバー王子に言いよってきた令嬢を追い落としてきてるし!』


 アイラは、頭を抱えた。


「アイラ様!今日も、なんてお美しい!」


「さすがは、オリバー王子の婚約者。既に女王の風格をお持ちです!」


 アイラの周囲に、次々と取り巻きの少女達が集まってきて、彼女を褒め称えた。


「え、ええ?それほどでも・・・」


 アイラは、褒められて、にやにやが止まらない。


『取り巻き、キモチぇええ!』


 彼女は、日葵の時には絶対に言ってもらえなかった言葉を次々に受けて、天にも昇る気持ちになった。

 心の中で、喜びの声をあげる。


「よし、お前達!ついてまいれ」


 アイラは完全に調子に乗って、普段とは全然違う自信満々の態度で、取り巻き達を後ろに従えて歩き出した。


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