表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖魔封縛伝  作者: 桜蝶
5/5

子供失踪事件前編

カーテンレースがふんわり舞う。

窓際に座りながら本を読むコウがそこに居た。

自室で珍しくのんびりしているのは、久しぶりだ。

その時コンコンと扉がノックされる。


「誰だ」


感情のこもっていない声を視線は本に、おいたまま言った。


「僕です、コウさん」


その声に本から扉に視線を移し、本をパタンと閉じると側の机の上に置くと、扉に向かっていって開ける。


「どうした?何かあったのか?」

「任務だそうです、龍麗ロウレイ様からの呼び出しです。」

「わかった、一緒に行こう。」


部屋から出て龍麗ロウレイの居る部屋に2人で向かう事にした。

部屋の前に着いてから、レイ


龍麗ロウレイ様、コウさんと一緒に参りました。」

「どうぞお入りなさい。」


柔らかい優しい声色で、返答した龍麗ロウレイに、レイ


「失礼します」

「入るぞ」


2人はそう声をかけると扉を開けて中に入る。

いつもの如くレイは、一礼して入ったがコウは、そのまま入っていった。

2人の姿をみて龍麗ロウレイは笑顔で出迎えて、


レイ君ありがとう、わざわざ呼びに行かせてごめんなさいね」

「いえ!全然大丈夫です!僕で良ければいつでも使って下さい!」


コウはソファに座ると、龍麗ロウレイの方に向き、レイコウの隣に座った。


「今回は南京市で今起きている子供失踪事件について調べて来て欲しいのです。

何でも幼子が親が少しだけ目を離した先に居なくなり、その後は行方知れずです、

何も痕跡もなく恐らくは人の仕業では無いのではないかと、警察から協会に協力要請があったようです。」

「どれくらいの子供が居なくなってる?」

「およそ30人以上は………」

「そんなにお子さんが居なくなってるなんて親御さんは居た堪れませんね。」

「そして帰ってくる希望もないな………」


コウの言葉にレイは「そんな……」と呟いて俯いてしまった。

事実妖魔が原因なら子供が元気に親元に帰ってくるのは難しい。

生かしておく理由もない、妖魔にとっては人は糧であり、人間でいう食べ物と同じ扱いだ。

ましてや幼い子供は特に無垢で、まだ魂が綺麗なので狙われやすい。

ただ今回はやたらに数が多すぎる。

1人の妖魔がこんなに人を、それも何故か子供に固執している事に、コウは不思議がっていた。


(1人だけで子供を攫っているのだろうか?)


コウの考えている事が分かったのか、龍麗ロウレイは真剣な顔になって2人を見て、


「今回は妖魔が1人ではないかも知れません、1人でこんなに人を狩る事例は今までありませんでしたから、それも子供ばかり…何か理由があるのかも知れませんね。」

「そうだな、用心に越したことはない。レイお前もある程度は自分の身を守る様に覚悟しておけ。」

「はいコウさん」


そう言って2人はソファから立つと、扉の方に歩いて行く。

開けた扉からコウは先に出ていき、レイは一礼してから扉を閉めた。

龍麗ロウレイは何かとてつもなく嫌な気持ちが拭えず、心から消えない不安が胸を締め付ける。


(何でしょう、この嫌な感じは何か良くない事が起こりそうで)


胸元をギュッと握り締めるとそのまま目を瞑っていた。


部屋を出た2人はとりあえず旅支度をする為それぞれの、部屋に行き玄関で待ち合わせる事にした。

それなりに時間が掛かるだろうと、コウは思っていた。


向こうの協会から協力要請と言うことは、相手の事が何も掴めていないと言う事だろう。

この前の妖魔の様に厄介な相手ではないと、良いがと心の中で思っていた。


荷物を持つとコウはそのまま部屋を出て玄関に向かった。

もう先にレイが着いていて、こちらに手を振っている。

その隣には、華蓮カレンが居てレイ


コウ様の邪魔にならない様にね!」


励ましてるのか嫌味なのかよく分からない言葉をかけていた。

最近はレイの事も認める様になった者たちもいる中で、陰で嫌味を言う者が居るが華蓮カレンがその者たちに切れて言い負かしているらしい。

何だかんだで、レイを守っている様だ。


「行くぞ」

「はい!華蓮カレンさん行ってきます!」


そうして2人は協会を後にし南京空港に向かった。


空港に降り立った2人は、早速南京支部の人達に迎えられて、支部に向かう事になった。

車の中でコウは、支部の人達に


「今どれだけの情報が集まっている?」

「それがほとんど目撃情報もなく、妖力の痕跡もなく、私達も何故こんなに子供が居なくなってるのか、どんな手段を用いてるのかも分からないのです。」

「え?妖力の痕跡もないんですか?それっておかしくないですか?僕達は妖力を探知する能力も習いますよね。それが無いと妖魔探せませんし。」


確かにレイの言った通り、妖魔はそこで何か事を起こせば必ず、力の痕跡が残る。

残り香のような物だが、それが無いとなれば話が変わってくるとコウは思っていた。

痕跡を消せる妖魔そんなもの、上級の妖魔以外にはあり得ないと考え込んでいる。


この間の妖魔より厄介かも知れない。

妖魔の気配も、もし消せるとしたらこの大勢の人の中から砂金を探すようなものだ。

そこでコウはある事を思いついた。


「どの辺りが1番集中して失踪しているんだ?」

「南京郊外にあるショッピングモールです」

「人がいっぱい居る中で居なくなってるんですか!」


レイの驚いた声に、コウも心の中で驚いていた。

白昼堂々人を子供を、攫っていたとは思っておらず、無言になる。


「じゃとりあえずそこに行って現場を見てみるか。」

「そうですね、でもこの服装で行くと協会の人間だとバレるから、警戒されますよね。」

「それもそうだな、私服に着替えてから行こう、協会の用意してくれている部屋に向かってくれ」


コウの言葉に協会の人は「分かりました」と言って、車を南京支部に走らせた。

支部に着き部屋で荷物を置いて、私服に着替えた2人は玄関で鉢合わせる。


コウさん凄い格好良いです!」

「お前はカジュアルだな」


コウは黒のジーンズに白のTシャツを合わせて、その上に黒のジャケットを着ている。

レイは薄い茶色の、カーゴズボンに白のTシャツの上には、チェックのシャツを羽織っていた。

準備ができた2人はこのまま郊外のショッピングモールにむかうのだった。














評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ