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転生少女は間違える -アキを知ってハルになる-  作者: qay
4章

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27.僕


「はぁ………………はぁ…………」


 どくん……どくん……。

 

 私の呼吸の音と心臓の鼓動だけが聞こえる。


「ハル…………君は…………」


 髪に顔に口に、纏わりつく血が鬱陶しい。


「……終わったよ。シキ」


「………………あぁ」


 あれだけ、大量にいた魔物。

 私達の目の前から消え去っていた。

 私が魔物を殲滅するのに5分もかからなかった。


 気づいたら全て終わらせていた。

 あいつらをひたすらに殲滅した。

 あいつらを処理してる間は、頭が真っ白になって、本当に気持ちよかった。

 今までとは全く違う感覚。

 私のためにやってるって思ったら、ただただ気持ちいい。


「帰ろ! シキ」


「……うん。家に帰ろう」

 


 ◇

 


 魔法でひと通り汚れを落としてして帰りと同じように、鼻歌を歌いながら帰る。


「ふ〜ん、ふ〜ん」


「………………」


「シキ。 私のこと怖い?」


 窓を見ながら答える。

 シキを見るのが怖い。


「そんなことは………… いや、ハルに本音を言う。少し、怖いと脅威だとそう思ったよ」


「…………うん」


「でも、それでハルを嫌いになったりはしない」


 シキの真剣な眼差し。


「それだけは約束する」


「…………ありがと」


 その答えだけで今は十分だ。



 ◇



「アキ! 帰ったよ!」


 寝ているアキに挨拶する。


「これからどうするだい?」


 シキにそう聞かれるから私は、


「当然、ここに住むよ」


 当然と言わんばかりにそう答える。


「…………え?」


「アキがいるところに私もいる。当然でしょ?」


 そう、それが当たり前。

 私が望むものはアキ。

 それだけは何があっても、もう揺るがない。


「…………君は本当に変わったね」


 そんな自覚はない。


「…………そうかな?」


「そうだよ」


「アキを一番にいろんな物事を考える! 私はなにも変わってないよ!」


 そう答える。


「そうだね…… そこは変わってない…………」


「うん!」


 私はここに、シキの家に住むことになった。

 いや、住むことにした。


 

 ◇



 毎日が充実していた。

 アキの治療がある時以外は、ずっとアキと一緒にいる。

 シキと一緒にたまに魔物を処理しにいく。


 シキは魔物の数が増えたなんて言ってたけど、私にはよくわからない。

 私はなんでもいいから、とりあえずあいつらを処理してアキの所に帰ることしか考えてない。


 

 そして喜ばしいことに、


「アキは確実に回復に向かっていて、しばらくしたら目覚める可能性が高いらしい」


 そう、シキが言っていた。

 泣きそうなくらい嬉しかった。


 アキが起きた時にむけて、色々なことをシュミレーションした。


 まず怪我をさせてしまったこと、今までのことについて誠心誠意アキに謝る。

 簡単には許してくれないと思う。

 それでも謝り続けて許してもらう。


 アキに許してもらえたら、お礼を言う。

 人生を何度も救ってもらったことに対するお礼。

 いっぱい、本当にいっぱい貰った。

 何もかもを貰った。

 私はアキに人生を貰った。

 本当の、本物の自分を貰った。

 きっと、人生をかけたって返しきれない。

 でも、できるだけ、そして私の全部で返していく。

 まだ何一つ、返せてないから。

 これ以上、アキに貰ってばっかりじゃ絶対にダメだから。

 

 そして、一つ目としてまたデートをさせてほしい。

 今度は、しっかりアキのことを考えて、ちゃんと楽しく、そして一生の思い出に残るような、私達の新しい始まりにふさわしいデートをしたい。

 喜んで貰えたら嬉しいな。


 そして、これからも一緒にあの家で、私達の家で暮らす。

 あの日常を取り戻す。

 いや、あの時なんかよりも、もっともっと幸せに楽しい毎日を送るんだ。


 お母さんとの日記を、アキとのこれからで埋めていけるように、過去じゃなくて今をアキと生きられるように、私にできることをやりたい。


 それを私が望んでる。

 私がそれをしたい。

 私がそれを選びたい。


 アキと一緒にこれからを生きたい。

 アキと一緒に幸せに死にたい。

 お母さんに私の大切な人を、アキを紹介したい。


 だから、そのためにまずはアキに謝る。

 許してもらうために、なにをしたらいいか考えよう。


 でも、そんな私の願いは叶わない。

 叶わなかったんだ。


 


 シキの家で過ごす時間が、当たり前になっていた。

 もう少しでアキが起きるって聞いたら、何もかもを頑張れた。

 アキはずっと寝ていて起きないけど、たくさんの時間を過ごせた。

 本当にたくさんの魔物を処理した。

 王都を、街を、いやアキを守るために。

 やりたいことを自分の手で、自分の力で成し遂げるために。

 

 でも今日、私達の街は突如変わり果てた。

 一面、火の海になって逃げ惑う人達。

 周りを見渡せば、大量の魔物が街を、王都の中にいる。

 私はアキを背負って、とにかく走った。

 魔物を殺しながらとにかく、アキの安全を確保するために。


 そして複数の人影と魔物。

 それを率いるように真ん中に立つ、私よく知った顔。

 そして、街の中心で私達は対峙する。


「…………ねぇ、シキ。なにを……してるの?」


 私は何もかもが燃える私達の街で、そう聞く。


「なにって…………」


 シキはいつもみたいに笑って、


「僕は王になるんだ。ならなきゃならないんだよ」


 いつもみたいにそう言った。


 


 


体調不良で更新が遅れました。

すいません。

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