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転生少女は間違える -アキを知ってハルになる-  作者: qay
4章

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26.私達の国


「きたね。ハル」


「…………うん。きたよシキ」


 私は約束の日に、約束通りシキの家にきた。

 やるべきことを、私がやりたいことをやるために。


「まるで別人だね」


「そう? 私は変わってないよ」


 そう、私は昔からなにも変わってない。

 

「………………顔」


「え……?」


「今のハルはいい顔をしてる」


「今までは悪かったってこと?」


「そうじゃない。わかってるだろ?」


「うん。からかってみたの。ごめんね」


 こんな軽口、今までは言ってこなかったからシキは驚いているかもしれない。


「…………本当に君は変わった」


「そう見える?」


「あぁ」


「こんな私はシキからみても魅力的?」


「…………あぁ」


「それならよかった! これも本当の私なの!」


 また1人。私の本当を好きなってくれる人がいた。

 それが何より嬉しい。


「アキに……アキに会わせてほしい」


 真剣な顔でシキにお願いする。


「わかった」


 そうしてアキのいる部屋に案内される。


 寝ているアキはとても美しかった。

 そんなアキに今、かける言葉は一言でいい。


「アキ。いってきます」


 そう今はこれだけでいい。


「いこう。シキ」


「もういいのかい?」


「うん! だってまた何回だって会えるし、話せるからね!」


 それを願いじゃなくて現実にするために、私は行くのだから。



 ◇



 いつも通り、馬車の中。

 でもいつもとは違う。

 シキと一緒に行くのは初めてだ。


「ふ〜ん、ふ〜ん」


 頬杖をついて、外を見ながら鼻歌を歌う。


「……ハルは」


 シキが突然話しかけてくる。


「なに? シキ」


「ハルが羨ましいよ」


「……なんで?」


 そんなことを言われるのが、素直に疑問だった。

 私はシキにそんなことを言われるほど、大した人間ではないから。


「変わっていく君が羨ましい」


「………………」


「僕は今でも立ち止まったままだから」


 そう言ったシキの顔は寂しそうに笑っていた。



 ◇



 やっと、着いた。

 これからの私を始める場所。


「…………後、どれくらい?」


 そうシキに聞く。

 そうしたらシキは、


「……まだ時間はあるよ。だから…………」


 少し迷った後に、


「話をしようよ。ハル」


 そう言った。


「…………なんの?」


 そう聞く。聞き返す。

 こんな時にする話ってなんだろう。


「僕らの国について、今のハルに聞きたい」


「……………………うん」


 シキは何か大切な話をしようとしてる。

 私も知りたいことだった。

 だから、聞くことにした。

 今、話したいって言うほど大事だって、シキの表情から伝わってきたから。


「ハルは、この国は好きかい?」


「……わからない。でもアキが大切に思っているから、私も大切だって思いたい」


「…………そうか」


「シキはこの国が嫌い?」


 そう見える。

 そう言ってるように聞こえる。


「……僕はね、この国は変わらなきゃいけないって思ってる」


「……そう……なの?」


 意外ではなかった。

 王になりたいって、シキは言っていたから。

 何かを変えるためには、王になるのが一番早い。


「今の国の在り方は、僕には許容できないよ」


「……………………」


 それはそうなのかもしれない。

 私達が置かれてるこの理不尽な状況も、この国の歪んだ部分の一部だと思う。

 私なんかの比ではないほど、シキは多くの理不尽を経験してきたんだろう。


「だからね、ハル」


「…………うん」


「この国を変えるために僕は王様になりたいんだ」


「…………うん」


 シキは何かを決めている、そんな目をしていて、


「そのためだったらなんだってする」


「………………」


 決意に満ちた声で私にそう言った。

 何かをしようとしてる。

 その何かはわからないけれど、できるなら協力したいと思う。


「君に譲れないものがあるように、僕にもそれがあるんだ」


「わかってる」


 それは知ってる。

 それだけは、もう十分わかってるから。


「…………ハル。はじまるよ」


「わかった。やろう」


 迫ってくる魔物。

 

 もうお前らごときは、なんにも怖くない。

 一瞬で何もかもを蹴散らして、アキの元に戻る。


 考え事はその後でいい。

 

 








今日の朝、異世界転生/転移ファンタジー 日間ランキング Best 300に、この作品が載っていました。本当に本当に嬉しかったです。ここまで読んでくださった方、様々な評価をしてくださった方。本当にありがとうございます。あなたのご期待に応えられるように頑張ります。

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