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ドライアドの住む森の掟

まだ、ダイヤモンドで出来た月が悪魔の食卓に上がり食べられてしまう前の話です。

あるエルフが、狩りの途中に獲物を追いかけるのに夢中になって、ついうっかりドライアドの住む森まで入ってしまいました。ドライアドの森では、ドライアドの森の外に住んでいる人が狩りをしてはいけない厳しい森の掟がありました。ドライアドの住む森には、番人のオーガが住んでいるという。オーガとは、角の生えた恐ろしい鬼の事です。オーガは、何もしなければ、普通の人でしたが、森の掟を破って、勝手にドライアドの住む森で狩りをすると、ものすごく怒り、人でも食べてしまうという噂でした。

「しまった。なんたることだ! すぐにこの恐ろしい森を出なければ!」

エルフがそう言って、森から出ようとしましたが、高い木に囲まれた森の日暮れは早く、エルフは、帰る方角がわからなくなってしまいました。

「うーん。今日は、動くのは危険だ。朝になるまで木の上でやり過ごそうか。」

エルフは、森の中が明るくなる朝になってから森を出ようと考え、人目のつかない一際、高い木の上に上り、そこで一晩過ごそうと思い、木に上り、太い幹に座り目を閉じて体を休めました。

それから、どれくらい時間がたったでしょうか? 何やら話し声がするのでエルフが目を開けると、木の下に数種族の人たちが集まっていました。

ブラウニーにコボルト、ゴブリンにバンシー。そして、オーガまでいました。

エルフは、何事だろうと聞き耳を立てているとブラウニーは泣いているようです。

「あの恐ろしい巨人が森に来てから、森は、メチャクチャだ。なぁ、皆、ここを出ていこうよ。」

しくしく泣きながら話すブラウニーの頭を撫でながらオーガが言いました。

「あの乱暴者にも困ったものだ。しかし、あの大きな体だ。俺も皆を守るのに精一杯だ。でも、ドライアドの住む森は、木の実が沢山なるし、動物も多い。ここを出てどこにいけばいいんだよ?」

それを聞いてバンシーが泣き叫びました。

「じゃあ、皆、そのうち食べられちゃうよ!」

皆、慌ててバンシーの口を塞ぐと、その場から遠くに走り去りました。

「今のは、一体何だろう? この森には、乱暴な巨人が出るのだろうか?」

エルフがそう呟いたとき、遠くの方からズシンズシンと、足音を立てて、二階の屋根よりも背の高そうな真っ青な巨人がやって来ました。

巨人は、エルフの近くまで来ると、回りを見渡して、「何だ、獲物どもは、逃げたのか。」と、残念そうに呟きました。

そして、それに続けてクスクス笑いながら言いました。

「バカな連中だ。俺を倒せば、済むことなのに。もっとも俺がドライアドの住む木に一つだけ生える光る枝で作った矢で眉間の真ん中をいぬかれたら、死んでしまうことも知らんのだから、仕方あるまい。」

巨人は、そう呟くと、来たときと同じようにズシンズシンと、足音を立てて森の奥に消えていきました。

巨人が森の奥に消えてから、エルフは、まんじりともせず、一晩中、ずっと考え込んでいました。

それから、朝になると高い木から降りて、オーガ達の足跡を追い、すぐにオーガ達を探しだし、巨人の話をしました。

オーガ達は、それを聞いて大変喜び、早速、エルフをドライアドの住む木に案内しました。

全員でドライアドの住む木を見上げると確かに巨人がいった通り、ドライアドの住む木のてっぺんに光る枝がありました。エルフは、ドライアドに頼んで枝を折らせてもらい、すぐに矢を作りました。そして、皆に巨人を誘い出してもらうように頼み、自分は、一際、高い木に上り、巨人が来るのをひたすら待ちました。

エルフが木に登ってしばらくすると、オーガ達は、巨人を見つけました。オーガ達は、巨人に石をぶつけて挑発しました。

「青い巨人は、頭が悪い。人と狸の糞とを見分けることができんらしい! 私たちは、ここでずっとお前が来るのを待っていたのに!」

「やーいやーい。間抜けな巨人め。私達を探せないのか!」

挑発された巨人は、怒り狂ってオーガ達を襲ってきました。オーガは、仲間達を担ぎあげると風のように森の中を走って逃げました。

オーガがあまりに足が早かったので、巨人は、足下を走るオーガ達に目が釘付けになり、高い木の上にいるエルフが目に入りませんでした。

エルフは、たった1本の矢をつがえると弓を引き絞り、巨人の眉間を狙いました。

エルフは、「たった1本の矢を外したら、どうしよう。」と、心配になりました。しかし、巨人の足下を必死に逃げるオーガ達の事を思うと何がなんでも当てなくてはと、思い直し、しっかり狙いを定めてから、「ヤーッ!!」と、矢を放ちました。

エルフの放った矢は光をまとって飛び、巨人の眉間を撃ち抜きました。

巨人は、どうっ、と倒れ、それっきり動かなくなりました。巨人の言葉通り、巨人は、ドライアドの光る枝で作られた矢で死んでしまったのです。

オーガ達とエルフは、手に手をとって喜びました。そしてエルフは、ドライアドの許しを得て、月の最初の10日だけドライアドの住む森で狩りをすることを許されました。万が一、約束を違えたエルフは、ドライアドの森の番人であるオーガに酷い目に合わされるので、エルフ達は、この約束を決して破りませんでした。

これが新しく生まれた森の掟の始まりです。

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