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トロルの旅人

冬の寒い雪の日にコボルトの村にトロルの旅人が訪れました。

大きな体に大きなリュックを背負ったトロルを見てコボルトの子供達が集まってきました。

「トロルのおじさん!今年も来たんだね!」

「トロルのおじさん!今日は何を持ってきたの?」

コボルトの子供に押されながら、トロルは、リュックを下ろすとニッコリを笑って答えました。

「今年は、東の山脈の向こうにあるバンシーの集落に行ってきたんだよ。」

そう言うとトロルは、リュックの中から、光る不思議な砂粒を取り出しました。トロルの掌から零れ落ちた光る不思議な砂粒が地面に落ちると地面の上に小さな虹が浮かび上がりました。

コボルトの子供達は、それを見てウワァーッ!!と、喚声を上げて喜びました。

すると、村の奥から子供達の声につられるようにコボルトの大人達が出てきました。

「やぁ!トロル。よく来たね。今日は何を取引に泊まりたいんだい?」

そうです。トロルは、旅先で買った珍しい物と交換に色んな村で旅の宿を借りていたのです。

「今年は、この砂とバンシーのブローチだね。」

そう言ってトロルは、リュックからバンシーのブローチを取り出しました。

バンシーのブローチは、バンシーの涙を溜めて作った宝石が付けられていました。

「バンシーの涙には、死んだ人の魂の思い出が宿るって本当かい?」

コボルトの村長が尋ねました。

トロルは、目を瞑って頷きました。

そして、「だから、夜12時を過ぎてから、このブローチを取り出しては、いけないよ。死んだ人の思い出が出てきちゃうから。」と、注意しました。

その話を聞いてコボルト達は、気味悪がってブローチは、受け取らず、光る不思議な砂と引き換えにトロルを泊めてあげました。

ところが次の日の朝、いつまでたってもトロルが起きてきません。

「あの真面目なトロルにしては、おかしな事だ。なにかあったのだろうか?」と、不審に思ったコボルト達がトロルを泊めた部屋に行ってみるとトロルは、死んでいました。

胸にバンシーのブローチをつけたトロルの死に顔は恐怖に歪んでいました。コボルト達は、口を揃えて「きっと誘惑に勝てずに夜中にバンシーのブローチをつけてしまったんだろう」と言いました。

コボルト達は、トロルを墓に埋めてあげると、ブローチをバンシーの村に届けました。

バンシー達は、話を聞いてとても残念がり、「あの真面目なトロルなら、約束を守ると信じていたけど、やはり命あるものは、興味あるものを覗かずにいられないのね。」と、しくしく泣いたそうです。

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