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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第三章 運命の輪が作るストーリー
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15 回復の方法

 

 その日の午後十一時。

 念のために額にチップを付けたキラを抱いて裏口から古城を出ると、隣接する森へ続く細い道を歩いていく。


 月明かりでうっすらと浮かび上がる小道を歩いていくと「どこまで行けばいいんだ?」

「この先に、小さな入り江があるらしいわ」進行方向の先を指さすので「誰に聞いたんだ?」

「いいから行って」


 言われるまま進んでいくと月明かりに照らされた黒い湖面が見えてきて、(ほとり)まで行くと、小さな入り江の端にでた。


「着いたぞ」

「湖に沿って左へ行って」

「今度は何があるんだ?」

「モミの木の大木があるらしいわ」

「あるらしい、か」


 言われたとおり湖に沿って左奥へ進んでいくと、入り江の中心近くに目的の大木が見えてきた。

 湖から少し奥まったところに、太い幹に、突き刺すように天に向かって伸びている、一際大きなモミの木が立っている。


 見上げるショウが「一体、誰から聞いたんだ?」と聞くと「あの大木の根元に降ろして」

 大木の傍へいってキラを降ろすと「向こうの森の中に行って後ろを向いて、いいと言うまで目を閉じてて」湖とは反対の左側の森の奥を指すので言われたとおり歩きだすと、クスクスと女性の笑い声が聞こえてきた。


 驚いて振り返るが、キラ以外、誰もいない。

「今笑ったのは誰だ? お前の声じゃなかったし、複数の声だった。俺たちの他に誰かいるのか?」

 聞かれたキラは、どう答えたらいいのか考え込む。


「お前が驚かないんだから人間じゃないな。もしかして、お前の仲間、グループのメンバーか?」と聞くが、彼女は答えない。

「ここで待ち合わせてたのか?」

「……」

「この場所を聞いた相手はメンバーだったのか?」

「……」

「メンバーなら、俺はいないほうがいいな。二十分経ったら戻ってくる。万一、誰か来たら携帯に電話しろ」


 指定された左奥の森へ向かおうとすると、また笑い声が聞こえてくるので足を止め、戻ると「本当にグループのメンバーが来てるのか?」頭を抱えているキラに聞く。

「お前は誰がいるのか知ってるんだろう? 誰なんだ? グループのメンバーじゃないだろう?」

 相変わらず頭を抱えているキラ。


「人間であるはずがないし、グループのメンバーでもない。逃げ延びたお前の仲間だとしたら、あんなに陽気には笑わないだろう。一体誰がいるんだ?」

 キラはどうしようかと考えている。

「声は湖のほうから聞こえてきた。一体、あの笑い声は何者なんだ?」

「とにかく、森の中へいって後ろを向いて、目を閉じてて」

「……わかった」


 立ち上がり、また奥の森へ向かって歩いていくとまた笑い声が聞こえてきたが、今回は振り向かず、そのまま歩き続けると『素直に言うこと聞いてるわよ』と聞こえてきたので(きびす)を返し、キラのところへ戻ると「誰がいるんだ?」

 キラは眉間にしわを寄せ、うつむいたまま動かない。


「キラ、一体誰がいるんだ?」するとため息を吐き「もう、なんで黙ってられないの? お陰で話さないわけにいかなくなっちゃったでしょう?」

「……誰に言ってるんだ?」

「出てきなさい」

 キラが右側の湖面に向かって声を掛けると、水中から数名の女性が顔を出した。


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