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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第三章 運命の輪が作るストーリー
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14-2 意外なキッカケ

 

 ショウが出ていって少しすると、婦人が大きな花瓶(かびん)を持って戻ってきた。


 ソファ前に置いてあるテーブルに置くので「すごい存在感がありますね」

「わたくし、大きな花が大好きなんですよ。だから、花束にすると、どうしても大きくなってしまうの」

「プレゼントされる方は驚くでしょうね」笑みを浮かべると、しばらく目の前の花瓶に生けられた大きな花を見る。

「気に入っていただけたかしら?」

「ええ、もちろん。どうぞ、お茶をお入れしました」


「まあ、ありがとうございます」カップを取ると「仕事中にケガをされたとお聞きしましたが、どんなお仕事をされてるんですか?」

「フリーのルポライターをしてます」

「ルポライター、ですか?」

「記者です。今はいろんな国の文化や特色を取材して、雑誌に掲載してます」

「まあ、そうなんですか。それでは、一年中旅をされてるんですか?」

「そうですね」


「それではご両親が心配されるでしょう?」

「いえ、両親はいないので」

「まあ。失礼なことを言ってしまったわ」婦人は口を押えると「では、ショウさんもその、ルポライター、なんですか?」

「そうです」

「いつも一緒に取材に行かれるんですか?」

「そうですね。彼とは一年くらい一緒に仕事をしてます」

「そうなんですか。いろいろと大変だと思いますけど、無理はされないようにしてくださいね」

「はい。気を付けます」


「ところで、どこのお医者様に診ていただいてるんですか?」

「医者、ですか?」

「そうですよ。どこのお医者様に通ってるんですか?」

「いえ、医者には掛かってません」

「まあ! 診ていただいてないんですか!」

「こういう事は今まで何回かありましたし、常備薬を持ち歩いてますから」


「それはいけないわ。お元気になられたと言っても、まだお顔の色は良くないし、だるそうに見えます。いいお医者様を知ってますから、きちんと診ていただいたほうがいいわ」

「本当に大丈夫ですから、そこまで心配しないでください」

「いいえ、いけません。これから連れてきます!」

 婦人は立ち上がると、サッサと部屋から出て行ってしまった。


「キャンベラ婦人!」

 あとを追い駆けようと立ち上がるが、足がもつれて倒れてしまい「ショウ!」

 キラの大声を聞いて部屋へ入ってくると「婦人を止めて! 医者を連れてくると言って出てっちゃったの!」

「なんだって!」慌てて婦人のあとを追い掛ける。


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