11-1 今後の対応について
次の日のお昼前、キラが目を覚ました。
「気分はどうだ?」
「……私、生き、てる?」
「当たり前だろう」
「……どう、して?」
「解毒剤を飲ませた」
「げどく、ざい?」
「ああ。お前が持ってる薬のポーチに入ってる解毒剤だ」頭を撫でながら「何か飲むか?」
「……いら、ない」
「まだ、死のうと思ってるのか?」聞くと顔を背けるので「死のうと思って、何か飲んだんだろう?」
「……」
「そんな事、する必要ない」
「……」
「俺がいるから、そう思うのか?」
「……」
「そうか。だったら出ていくから、グループの誰かを呼ぶといい」するとキラが振り向くので「俺が、いるせいで、お前が、死を、選ぶん、だったら、出ていく……」
「……」
「辛い、思いを、させて、悪かった。お前を、追い詰める、気なんか、なかった……」
「……」
「お前の、こと、絶対、喋ら、ないから」
「……」
「今まで、一緒に、救出活動、やらせてくれて、ありがとう。自分勝手な、ことばかり、押し付けて、悪かった……」
「……」
「ノートブック、置いてく、から……」
サイドテーブルに置いてあるノートブックを取ると、ベッドの上に置く。
「グループのメンバーが、来る日がわかったら、教えてくれ」
そう言い残すと部屋から出ていく。
夕方六時過ぎ、再びショウが部屋へきた。
「夕飯を持ってきた。食べたくなかったら無理に食べなくていい。けど、薬だけは飲めよ」
サイドテーブルにトレーを置くと水差しを取りかえ、救急箱を持ってくると、左腕の傷のガーゼを取り替える。
「目の腫れが大分よくなったな。痛みはなくなったか?」
うっすらと目を開けるので「メンバーはいつごろ来るんだ? 連絡したんだろう?」と聞くが、返事が返ってこない。
「早く来るように伝えとけよ」と言うと「ねえ」キラが口を開く。「ここから出ていったら、どうするの?」
「……そんなこと聞いて、どうするんだ?」
「……どうするかは、あなたが何をするかによるわ」
「俺が、秘密をバラすようなことをしようと考えてたら、消せとでも言われたのか?」
「……ええ」
「……さっきも言ったが、そんな事はしない」
「……信じられない」
「じゃあ、消せばいいだろう。ほら」彼女の銃を渡す。「俺のことが信用できないなら、撃てよ」
「……」
「撃てよ」
「……今の状態であなたを撃ったら、逃げられない」
「なら、メンバーが来たときに始末すればいい。俺は、逃げも隠れもしない」
「……ウソ」
「……ウソは吐かない」
「……」
「メンバーが来る日は言わなくていい。俺のことをどうするかは、お前たちで決めろ」
「……」
「とにかく、早く呼べよ」
「……」
「何かあったら、呼び鈴を鳴らせ」と言って部屋から出ていく。




