10-1 立場の違い
今回は残酷なシーンが出てきますので、苦手な方はブラウザバックしてください。
しばらくしてキラの様子を見に部屋へいくと彼女は寝ていて、サイドテーブルのサンドイッチがそのまま残っていた。
「食べなかったのか」ベッド脇へ行くと「痛み止めの薬は強いから、食べてから飲まないと胃を壊すのに」その痛み止めもトレーに残っているので「目の痛みは大丈夫だったのか?」
ベッドに仰向けで寝ているキラは、両目を包帯で覆っているので表情がわからないが、寝ている姿に違和感を覚えた。
両手を胸の上で組み、真っ直ぐ上を向いて寝ているのだ。
「まったく、なんて寝方をするんだ? これじゃあ、まるで……」嫌な予感が脳裏を横切ると急いでキラの呼吸を確認する。すると、口元に粉のようなものが少し付いているのに気が付いた。
「まさか……キラ、キラ!」
呼び掛けに反応しない。
「おい、キラ!」
顔に触ると、かすかに反応する。
「俺の声が聞こえるか?」
わずかに動くだけで何も言わない。
その時、幽閉されたシルバーフェニックスの女性が自死している事例があることを思い出し「まさか、お前、死ぬ気なんじゃ……」背筋に冷たいものが走る。
「俺のせいなのか? 俺がお前の正体を知ってしまったからなのか?」
「……」
「だから死のうとしてるのか?」
「……」
「俺のせいなのか?」
「……」
「俺は、お前を利用しようとは思ってない。お前を誰かに引き渡す気もない。グループのことも黙ってる」
「……」
「なあ! 俺のせいなのか!」
「……」
「頼む。頼むからそんな事しないでくれ」
「……」
「お前が死を選ぶ必要はないんだ!」
「……」
「どうしたらいい? どうしたらいいんだ?」
「……」
「お前が死ぬのを黙って見てろと言うのか!」
「……」
「頼む。どうしたらいいのか教えてくれ」
「……」
「お前を死なせたくないんだ!」
「……」
「死なせたくないんだよ。だから、どうしたらいいのか教えてくれ……」
「……」
「キラ!」
幾度となく声を掛けるが、とても話せる状態にないことに気付き「どうして傍にいなかったんだろう?」彼女のことを気遣い、一人にさせたことが裏目に出てしまった。
「お前にも、シルバーフェニックスの女性として接しなければいけなかったのに、俺は、仕事の相棒としてしか見てなかった」
後悔の念が心を支配し、頭を抱える。
「今まで何年も彼らと接してきたのに、どうしてこんな大事なことを忘れてしまったんだ?」
自分の間違った行動に腹を立てる。
「絶対死なせない。そうだ、まだ生きてる。何か手を打てるはず」




