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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第三章 運命の輪が作るストーリー
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10-1 立場の違い

今回は残酷なシーンが出てきますので、苦手な方はブラウザバックしてください。

 

 しばらくしてキラの様子を見に部屋へいくと彼女は寝ていて、サイドテーブルのサンドイッチがそのまま残っていた。


「食べなかったのか」ベッド脇へ行くと「痛み止めの薬は強いから、食べてから飲まないと胃を壊すのに」その痛み止めもトレーに残っているので「目の痛みは大丈夫だったのか?」


 ベッドに仰向(あおむ)けで寝ているキラは、両目を包帯で(おお)っているので表情がわからないが、寝ている姿に違和感を覚えた。

 両手を胸の上で組み、真っ直ぐ上を向いて寝ているのだ。


「まったく、なんて寝方をするんだ? これじゃあ、まるで……」嫌な予感が脳裏を横切ると急いでキラの呼吸を確認する。すると、口元に粉のようなものが少し付いているのに気が付いた。


「まさか……キラ、キラ!」

 呼び掛けに反応しない。

「おい、キラ!」

 顔に触ると、かすかに反応する。

「俺の声が聞こえるか?」

 わずかに動くだけで何も言わない。


 その時、幽閉されたシルバーフェニックスの女性が自死している事例があることを思い出し「まさか、お前、死ぬ気なんじゃ……」背筋に冷たいものが走る。


「俺のせいなのか? 俺がお前の正体を知ってしまったからなのか?」

「……」

「だから死のうとしてるのか?」

「……」

「俺のせいなのか?」

「……」


「俺は、お前を利用しようとは思ってない。お前を誰かに引き渡す気もない。グループのことも黙ってる」

「……」

「なあ! 俺のせいなのか!」

「……」

「頼む。頼むからそんな事しないでくれ」

「……」

「お前が死を選ぶ必要はないんだ!」

「……」


「どうしたらいい? どうしたらいいんだ?」

「……」

「お前が死ぬのを黙って見てろと言うのか!」

「……」

「頼む。どうしたらいいのか教えてくれ」

「……」

「お前を死なせたくないんだ!」

「……」


「死なせたくないんだよ。だから、どうしたらいいのか教えてくれ……」

「……」

「キラ!」


 幾度となく声を掛けるが、とても話せる状態にないことに気付き「どうして(そば)にいなかったんだろう?」彼女のことを気遣い、一人にさせたことが裏目に出てしまった。


「お前にも、シルバーフェニックスの女性として接しなければいけなかったのに、俺は、仕事の相棒としてしか見てなかった」

 後悔の念が心を支配し、頭を抱える。


「今まで何年も彼らと接してきたのに、どうしてこんな大事なことを忘れてしまったんだ?」

 自分の間違った行動に腹を立てる。


「絶対死なせない。そうだ、まだ生きてる。何か手を打てるはず」


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