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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第三章 運命の輪が作るストーリー
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9-2 キラの秘密


 しばらくの間、沈黙が続く。

 そして、先に口を開いたのはキラだった。


「本当に頭の回転が速いわね。一つのことでここまで解析(かいせき)するなんて」

「わかったキーワードが大きかったからな」

「私が話したこと、どのくらいがウソなのか、わかってるんでしょう?」

「たぶん、お前個人に関することは、すべてウソだ」


「フフッ。あなたって、本当はとても恐い人なのね」

「……そんなこと言われたのは初めてだな」


「あなたほどの人を、PFSはよく手放したわね」

「俺より優秀な奴がたくさんいるからな」

「そんなウソ、通じないわよ。私もあそこにいたんだから」

「……じゃあ、お前の買いかぶり過ぎだ」


 少し間があった後「これから、どうするの?」

「エッ?」


「私を利用して、グループを乗っ取る?」

「何を言い出すんだ?」

「それとも、グループのことを公表して(つぶ)す?」

「俺が、そんな(いや)しいことをすると思ってんのか?」

「ええ」


「バカにするな!」

「バカになんかしてないわ」

「バカにしてんだろう! どうして俺がそんな事するんだよ!」

「……私の正体を、知ってしまったからよ」


「……確かに、その事については、正直、すごく驚いた。まったく予想してなかったから。お前の姿を見たとき、一体何が起こったのか、パニックを起して、頭の中が真っ白になった」

「……」


「俺は幻覚を見てるのか? これは現実なのか? それとも夢なのか? なんでお前がシルバーフェニックスの姿をしてるんだろう? それとも、俺の眼がどうにかなってしまったのか? 何がどうなってるのか、しばらく理解することができなかった」

「……」


「でも、これは夢や幻覚じゃなく、現実に起こってること。お前は、シルバーフェニックスだった」

「……」

「その事を受け入れられたとき、今まで疑問に思ってたことが、すべて解けた」

「……」

「そして、これからどうしたらいいか、考えた。グループのこと。お前のこと。任務のこと。俺の目標」

「……」

「一つずつ考えた。そして、出した答えは、このまま、今までどおり続けていく」

「エッ?」


「お前がシルバーフェニックスだったからといって、何か特別に変える必要はない」

「……」

「俺は、目標に一歩近づいたと思ってる」

「目標に?」


「前にも話しただろう。俺の目標はお前たちの人権を認めさせ、狩りを止めさせることだと。そのためにお前たちと話したいと」

「……」

「だから、その事について、お前と話したい」

「……」


「今の状況をどうしたらよくできるか。お前たちはどういう考えを持ってるのか。これからどうしていこうと考えてるのか。それらを話し合って、俺にできることがあったら、協力したい」

「……」

「今は、そう思ってる」

「……」

「だから、お前を利用して何かしようとか、グループを潰そうだなんて思ってない」


「信用すると、思う?」

「信用してほしい」

「……無理よ」

「……なぜ?」

「……今まで、同じようなことを言って、近づいてきた人間が、何人いると思う?」

「俺は、本気でそう思ってる」

 キラは、信じられないと首を横に振る。


「俺は正直に話した。ウソ(いつわ)りは一切ない。お前が信じられないと言う気持ちはわかる。だが、一緒に保護活動してきて、俺がどういう人物なのか、理解してくれてると思う」

「……」

「できれば、このまま一緒に続けていきたい」

「……」

「俺は寝返ったりしない。絶対に!」

「……」

「とにかく、今日はゆっくり休め。体力を戻すほうが先だ」


 立ち上がると部屋から出ていく。


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