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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第三章 運命の輪が作るストーリー
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9-1 キラの秘密

 

 古城に戻ると二階のキラの部屋へ運び、ソファに座らせると、部屋の電気を点ける前にすべてのカーテンを閉めにいく。


 カチッ。

 非常用に持っていた小型のペンライトを点け、ドア横のスイッチを入れて部屋の電気を点けると一階へ降りて、お湯を入れた洗面器にバスタオルとタオルを数枚、救急箱を用意して、二階の部屋へ戻るとキラの髪を拭く。


「ずぶ()れだな」柔らかく銀色に光る長い髪を拭いていく。


 ジュエリーハウスでスプリンクラーの水を頭から(かぶ)ったので、ショウもビショ()れになっていた。


「目は大丈夫か?」手をどかすとさっきより目の周りが赤く()れあがっているので「爆風でやられたのか?」濡れタオルで目の周りを拭くと、痛さで顔を()らすので「ああ、悪い。目薬点けられるか?」救急箱から取りだし、右手に持たせると右目から点す。


 すると、かなりしみるのか顔をしかめるので「我慢しろ」濡れタオルで再度目の周りを拭くと炎症止めを塗ってガーゼを当て、包帯を巻く。


 その後、改めて左腕の傷を見ると救急箱を開け、消毒すると薬を塗り、傷口を(ふさ)ぐためのテープを貼ると包帯を巻いていく。


「痛み止めだ」

 錠剤を数個飲ませる。


「傷口が塞がるまで、左腕は無理に動かすな」

 キラのトランクを持ってくると(ふた)を開け「服を脱げ」


「エッ?」

「早く身体を拭かないと風邪を引く」


 戸惑うキラに「シャツとズボンを脱げば着替えやすいだろう。(はず)かしいならバスタオルを巻けばいい」

 バスタオルを持ってくると首から下が隠れるように広げ「シャツを持ち上げろ」


 キラが右手でシャツを持ち上げると、バスタオルを脇の下まで降ろして身体に巻き、背中で結ぶと、左腕からシャツを脱がしていく。


 脱ぎ終わるとバスタオルの結び目を解き、首の後ろで結びなおす。


「ベルトを外してやるから、降ろせるところまでズボンを脱げ」

 キラが苦労しながら(ひざ)上までズボンを下ろすと靴と靴下を脱がし、ズボンを脱がす。


 その後、トランクを手が届くところまで持ってきて「見えなくても自分の服はわかるだろう? 傷の手当てがしやすいように、Tシャツとパジャマのズボンに着替えろ」数枚のタオルを渡すと「俺も着替えてくる。頃合をみてドアをノックするから」と言って部屋から出ていく。



 ショウは自分の部屋へ戻ると着替えを持ち、一階に降りるとシャワーを浴びて汚れた服を洗濯機に突っ込むと、キッチンへ行って軽い食べ物を作る。


 頃合いをみてキラの部屋のドアをノックし「着替え終わったか?」ドアを開けると言ったとおりTシャツとパジャマのズボンに着替えていたので、ズボンを(ひざ)上まであげ、細かい傷の手当てを始める。


 元々長袖のシャツにズボンをはいていたので、左腕の傷以外はかすり傷だった。

 一通り手当てが済むとベッドへ運び、水と血で汚れたソファを拭くと、タオルとバスタオルに包まっているキラの服を持って部屋から出る。



 一階へ降りると汚れ物を洗濯機に入れ、キッチンへ行くと、先ほど作っておいた食べ物をトレーに乗せて部屋へ戻る。


「腹減ったろう? 食べやすいようにサンドイッチを作ってきた」

 ベッド脇にあるサイドテーブルを手の届くところへ持ってくると、トレーを乗せる。


「どうだ? 目の痛みは治まったか?」ベッド脇に椅子を持ってきて腰掛けると「痛みが引かないようであれば、食べた後、さっきの痛み止めを飲め」救急箱から取りだすとトレーに置く。


「とにかく、腹に何か入れとけ」

 キラは(うつむ)いたまま何も言わない。


「今回の任務は終わったんだ。傷が治るまで大人しくしてろよ」

「……」

「何か欲しいものはあるか?」


「どうして、何も、聞かないの?」

「……聞く必要、ないからだ」


「エッ?」キラが顔を上げると「お前がシルバーフェニックスだと知って、大体のことはわかった。グループは、シルバーフェニックスで構成されてるんだろう?」聞くと顔を()らす。


「これで、どうして俺がグループに入れないのか、ようやくわかった。お前がPFSに偵察に来たことも、助けた彼らがすぐに信用したこともあの金属片のことも、すべて納得した。そして、俺が一緒に保護活動することを許可してくれたことも」(うつむ)くキラを見ると「俺は、ダークルーラの影響を受けない」


「……」

「だから、許可してくれたんだろう?」

「……」

「気にするな。こんな事くらいで怒ったりしない」

 


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