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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第三章 運命の輪が作るストーリー
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8 新たな展開 始動

 

「……そんな……」


 しばらく沈黙があった後、(つか)んでいた右手がヌルッとするので、見てみると手が真っ赤になっていた。


「とにかく、城へ、戻ろう。止血、するから」左腕を見ると血で真っ赤に染まっているので(そで)を破り、止血すると「他に、ケガ、したところ、あるか?」パニックを起こしかけて意識が飛びそうになるのを(こら)え、声を掛けるが答えない。


 ショウは上着を脱ぎ、キラの頭からかぶせると「どうした? 目が痛いのか?」両手で目を(おお)っているので「見せてみろ」(つか)んだ腕の白さに驚きながらも手をどかすと、白い肌をした顔の両目の周りが火傷を負ったみたいに赤く腫れていた。


「これはひどいな。爆風でやられたのか?」


 痛みで目を開けていられないようで、再度両手で目を押さえるので「城へ戻ったら、手当てしてやるから、もう少し我慢しろ」


 レストランの駐車場へ続く細道が見える倉庫前まで戻ってくると「こんなことならもっと奥に停めるんだった」倉庫脇に積んであるドラム缶の陰にキラを座らせ「車を近くまで持ってくるから、ここで待ってろ」声を掛けると駐車場へ急ぐ。


 閑散(かんさん)とした倉庫街にあるレストランなのに、頻繁(ひんぱん)に車の出入りがある。


「もしかして、ここがあのレストランなのか?」

 道路際に立っている看板を見ると、ライトアップされた文字が見える。

『無国籍料理ボーダーライン』

「やっぱり」


 これでは、いくら待っても車は途切れない。

「ヤバいな」


 ケガをしたキラの血がジュエリーハウスから倉庫に続いていることは容易に想像がつく。

 もしその事に気付いた刑事が追ってきたら、すぐに見付かってしまうだろう。

 そうなれば大騒ぎになる。


「焦るな」

 車は出入り口近くに停めてある。


 しかし頻繁(ひんぱん)に車が出入りするため、どういう経路を取っても人の目につく。

 その時、奥の倉庫側に停めていた車が出ていったので(奥に停めなおすしかないか)


 焦る気持ちを押さえ、平常心を保ちながら車のところへ行くと乗りこみ、エンジンを掛けて出ようとするが、入ってきた車に道を(ふさ)がれてしまった。


「下がれ! 出るほうが先だ!」


 手を振って下がるよう合図を送ると、相手のドライバーは初心者なのか、助手席に乗っていた女性が出てきてこちらに頭を下げ、車の後ろに回る。


 彼女の指示でゆっくり車がバックして道があくと進んで出口手前で右へ曲がり、右端の倉庫へ通じる細道側の通路へ行くと奥の空きスペースに車を停め、後部座席のドアを開けるとキラのところへ戻った。


「大丈夫か?」声を掛けて抱き上げると、駐車場にいる人の視線に注意しながら後部座席に寝かせてドアを閉め、車に乗り込むと駐車場から出る。


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