7-2 相棒の捜索
倉庫の間の細い道を塞ぐように積まれているドラム缶の前に来ると、赤い点がその倉庫の反対側へ出て、奥の倉庫の間を移動していく
「アイツ、俺のことがわからないのか?」
濡れた足跡が付いているドラム缶の上に乗ると、手がヌルッとした。「血だ。まだ新しい。すると、キラの血か? アイツ、ケガしてるのか?」
ドラム缶を乗りこえてモニターの赤い点を追いかけていくと、月明かりが照らす道路に、濡れた足跡と蛇行した黒い点が、向かいの倉庫の間の細い道へ向かっているのに気が付いた。
黒い点を触ってみるとヌルッとする。
「アイツの血か?」
モニターを見ると向かいの倉庫の先で赤い点が止まっているので、念のためにキラの携帯に電話してみるが、やはり繋がらない。
「あの爆発で壊れたのか?」
携帯をしまい、向かいの倉庫脇を通って反対側に出ると、その先は資材置き場だった。
モニターを見ると、赤い点が近くで光っている。
「キラ、俺だ。そこにいるんだろう?」声を掛けるとまた赤い点が動きだす。
「おい! ケガしてんだろう? 動くな!」
モニターの点は、資材置き場を右へ向かって動いている。
「アイツ、ケガしてんのに走ってるのか?」
かなりの速さで動くので「まったく、何してんだ?」赤い点を追って右へ曲がると道路を走っていく。
足音が遠ざかって少しすると資材置き場から黒い影が左へ動き、突き当りの道路の手前で止まると、辺りに人がいないか様子を伺う。
「俺以外、誰もいねえよ」
突然声を掛けられて後ろの資材の陰に隠れると「タイミングよく猫がいたもんだな」左手に持っている発信器を見せ「蛇行した血の跡を付ける奴があれだけ早く動けるはずないし、動きから動物だってすぐにわかる。母猫だったから子猫のところで止まったので、すぐに捕まえられたよ」ポケットにしまうと「なんで逃げた? ケガしてんだろう?」
「……」
「キラ」
「……」
「返事しろ」
「……」
「ずぶ濡れで、ケガした状態でどこへ行く気だ?」
「お願いが、あるんだけど」
「なんだ?」
「……先に、戻ってて、くれる?」
「ハ? 何言ってんだ?」
「お願い」
「……理由は?」
「……ケガなら、大したこと、ないから」
「理由になってない」
「お願い、だから、言うこと、きいて」
「そんなこと聞けねえよ。傷の手当てが先だ」
「大丈夫だから」
「何言ってんだ。ほら、こっちにこい」腕を引っ張って頭からかぶっている上着を取ると「エッ?」予想外の光景に手を離し「どういう、ことだよ……」
俯くキラの髪が月明かりに当たって、銀色に光っていた。




