6 疑心の解消
「ああ、すみません。説明を始める前に疑いを晴らしておいたほうがいいと思うので、そちらの問題を先に解決しましょうか」と、ショウが言いだすので『疑い?』聞き返す「風の貴族」セカンドのホッフマイスター侯爵に「グループのボスが裏切って、向こうに情報を流しているのでは、と疑われていましたよね?」
『そ、それは……』
『ああ、そういえばそんなことを言われてたね。でも、今の状況を考えれば、そう思われても仕方ないな』苦笑するグループのボスに『そのことはあとで確認するつもりだったんだが、キルシュ、どうなんだ?』
『もちろん違う、と言っても、口ではなんとでも言えるからね。しかし、公爵の名に誓って、仲間を裏切ることは絶対にないよ』
『それでは、顔を見せていただけますか?』声を掛ける「土の貴族」サードのタンデルチェスト子爵。『私たちに顔を伏せる必要はないですよね?』
『ああ……そうだね』
『気になるのであれば、ショウ君には目をつむっててもらいますよ』
「イヤです」
『ハハハハハッ、そうだな。フライシュやティエリオが正体を明かしているのに、私だけが顔を出さないでいたら、疑われる原因になりかねないからね』そう言うと、ラルが持っているノートパソコンのNo Photoの表示が消え、五十代くらいの前髪に少し白髪が混じった、髭を生やした男性が映る。
背景から、執務室のような部屋にいるらしい。
「叔父様、少しお痩せになりましたか?」ラルが心配すると『お前が心配することはないよ。大丈夫だ』
『キルシュ、老けたな』「風の貴族」セカンドのホッフマイスター侯爵が声を掛けると『フライシュこそ、しわが増えたじゃないか』
『久しぶりに会ったんですから、お互い、痛い確認はなしにしましょう』苦笑する「土の貴族」サードのタンデルチェスト子爵に『ティエリオの言うとおりだな』ため息を吐くグループのボスのキルシュ。
「ボス、やっとお顔を拝見できました。ああ、ラルの叔父だとわかりますよ。目がソックリですね」横からパソコンのモニターを覗き込むと『ショウ君。ボスと呼ぶのはやめてくれと、何度も言ってるだろう?』
「そうですね、すみません。では、なんとお呼びすればいいですか?」
『そうだね。キラという言葉は向こうに知られてしまったから、キルシュでいいよ』
「わかりました。次回からは顔を見せていただけるんですよね?」
『ああ、そうだな。今まで悪かったね』返事をすると『では改めて、これからのことについて説明してくれ』
「わかりました」ショウは、「水の貴族」トップのジェシーたちと繋がっているパソコンのモニターのほうに向きなおると「前置きとして、現在の状況を確認しておこうと思います」と話しはじめる。
「捕まったティスとシルビアは救出されて、今、館のある場所にいます。救出したのは俺たちが所属してる、この大陸唯一の保護団体の組織ヴァリエタース(多様性)の、通称「闇のコウモリ」ことジルタニスと組織のメンバー。そして、グランチェスト氏の娘である、フレンティーヌお嬢様の二名のボディガードです」




