1-3 合流
『仮設? どんな仮説を立てたんだ?』ファルークが聞き返すと「各貴族には同じシークレット事項があって、それぞれこの大陸の別の場所と繋がってる、隠し通路があるんじゃないかと考えたんだ」
そう聞いて、「風の貴族」セカンドのホッフマイスター侯爵と「土の貴族」サードのタンデルチェスト子爵が、一瞬、驚いた顔をして、すぐに表情を戻す。
『本当に、シンシアから聞いた話だけで、そこまで仮説を立てることができたのか?』理由が簡単すぎで疑問を持つファルーク。
「もちろん、それだけじゃない。今まで集めた大量の情報がベースにある」
『それは……』
『ファルーク』ジェシーが後ろから再び止める。『聞きたいことはみんなあるから、順番に、重要事項から確認することが今は優先だよ』
『ああ、そうだったな。しかし、どうしても聞きたかったんだ』
『わかるよ。だから、あとで聞こう』
『……ああ』頷くファルークの左手をつかむエミア。
ショウはその光景を見て、なぜラルが視力を失っているだろうと予測するファルークを、自分たちがいる部屋へ連れてこようとしていたのか、わかった気がした。
「ファルークはエミアの恋人なのか?」小声で隣にいるラルに聞くと「幼馴染なの」
「……そうか」
視力を失っているファルークが落ち着いていられるのは、隣にエミアがいるからだろう。
『では、みんなの紹介が終わったので、領主の館に囚われてしまったティスとシルビアの救出について、作戦を立てていきたいと思います』
「いやいや、エミア様は紹介しなくていいのか?」立ち上がって話を止めるオルト。
「俺にはエミア様の姿は見えないけど、ファルークの隣にいるんだろう?」オルトには、誰も座っていないように見える椅子を指すと『ホテルにいたとき、エミア様が……ああ、そうか。オルトにはエミア様の声が聞こえないんだったね』ジェシーは思い出すと『ショウは、エミア様を知ってるんだよ』
「エッ、そうなの? じゃあ、改めて紹介する必要ないのか。でも、いることは教えたほうがいいんじゃないか?」
『姿も見えるんだよ』
「あれ、そういえば、いくつか条件をクリアしたら見えるようになるんだっけ。そうだ。あのさ、どんな条件をクリアしたんだ?」
「条件?」ショウが困った顔をすると『オルト、その話もあとでするから、今はティスたちのことが先だよ』再びジェシーが話を戻そうとすると「……わかったよ」ふてくされるので、隣のファルークが、またまあまあと宥める。
「俺も、どうしてエミアたちが見えて話ができるのか、そのことがずっと引っ掛かってたから、ぜひ、あとで話を聞きたいね」と言うショウが「後ろに座っているお二方なら、どうしてなのかご存じだと思うので」話を振ると『ああ、まあな』言葉を濁す「風の貴族」のホッフマイスター侯爵。
「あんたは、どうしてエミア様が見えるのか、わからないのか?」再びショウに聞くと『オルト。あんたじゃ失礼だよ』ジェシーが注意するので「あ、ああ、悪い。えっと、ショウだっけ?」
「俺も理由を知らないんだ」
「俺と逆か。同じ人間なのに、なんでなんだ?」




