48-3 次のステージに向けて
『それは、どういう意味だね?』困惑する「風の貴族」のホッフマイスター侯爵。
『彼には私たちが普通に見えて、声を聞くことができる。つまり、会話することができるのよ』
『では、彼は人間ではないのか?』
『いいえ。彼はオルトと同じ人間よ』
『いや、そんなことは普通、あり得ないよ』信じられないという顔をして、隣の「土の貴族」のタンデルチェスト子爵を見ると『そういえば以前、いくつかの条件が揃ったとき、人間が精霊と会話することができると聞いたことがありますね』
「あの、ずっげえ歯抜けの会話で意味がわからないんだけど、エミア様、何を言われたんですか?」肝心のところが抜けた会話に苛立つオルト。
『ということは、オルト君はその条件を満たしていないということだね?』
『そうですね』頷くタンデルチェスト子爵。
「その条件てどんなことなんですか? 俺も頑張ってクリアしますよ」
『いや、詳しくは私も知らないんだ。申し訳ない』
「マジですか?」ガッカリするので『これからそのショウという人物と話ができるんだ。聞いてみればいいじゃないか』隣に座っているファルークが助言すると「ああ、そうだよな」復活する。
『俺も、そのショウという人間と直接話をしてみたいね。俺があの森にいると予測したんだろう? なぜそう思ったのか、理由が聞きたい』サンドイッチを食べ終えて、ゆっくりお茶を飲むファルーク。
『では、早く指定場所へ行って、チャットできる体制を作りましょう』締めくくるジェシーが『変装用の小物と服をもう少し調達しましょうか』
再び部屋から出ると一階へ行き、ショップでさらに必要なアイテムを購入すると、チェックアウトの手続きを終えたジュリアスと一緒に部屋がある階へ戻り、それぞれ借りた部屋に入ると、変装して一階フロント前のロビーに集まる。
ホテルでタクシーを呼んでもらうと、万が一、捜しにきた配下たちに行き先がバレてしまう危険性があるため、ジェシーはホテルから出て少し離れた大通りで二台のタクシーを拾い、目的地へ向かった。
一台目には「水の貴族」トップのジェシーとサードのジュリアス。そして、「土の貴族」サードだったタンデルチェスト子爵が乗り、二台目には、「風の貴族」トップのファルークとセカンドのホッフマイスター侯爵、そして、ルナノヴァ国の現領主オルトが乗っている。
今回も、エミアは上空から二台のタクシーを追って飛びながら、近くにいるイータル ヴェンティたちを呼んで、ルナノヴァの領主の館を見てくるよう指示していた。
ジェシーたちは男ばかり六名で行動しているため、仕事の取引先の招待でフェスティバルを見にきたことにしているので、全員、スーツを着たビジネスマンに扮している。
タクシーの運転手からは、「上司と一緒では羽を伸ばせないんじゃないですか?」と言われ、年齢的に侯爵と子爵が上司役となり、部下役のジェシーが『頷けないことを聞かないでください』と返して大笑いされ、小さな湖の近くに建つ目的地の少し手前で降りる。




