47-3 新たな戦略の模索
「結界から出てきたとき、白壁の隣にあったパン屋の焼きたてパンを買いたかったな」カツサンドを取るオルトが呟くので『それならあのとき言えばよかったのに』ジェシーが返すと「買えたのか!」
『お金なら持ってたよ』
「なら早く言えよ!」
『食べたいと言えばよかったじゃないか。でも、買いにいったスーパーでも売り場で焼いてたから、それも焼きたてだと思うよ』
「そうなのか?」と言ってかぶりつくと『このサンドイッチも、野菜が新鮮でおいしいじゃないか』オルトの隣にいるファルークが野菜サンドをおいしそうに食べる。
ファルークの隣のエミアも、見たことのない総菜パンに興味を持ち、どれを食べようか見比べている。
とりあえず拠点を確保できたので、腹ごしらえをした後、これからのことについて話をはじめる。
『まずは、領主の館に囚われてるティスとシルビアを助けに行かないといけない』ジェシーが話を進める。『館の内部はお二方がご存じだと思いますが』
『ああ、内部の構造は把握してる』「風の貴族」セカンドのホッフマイスター侯爵が答える。
『問題は、どうやって館に入り、ティスたちが監禁されてると思われる部屋に行って救出するか、になります』
『ティスたちが閉じ込められてる部屋は、きっと我々がいた部屋になるだろう』と言うタンデルチェスト子爵が『あの部屋は地下にあって、一階からの通路は二ヶ所しかない。階段とエレベーターだ』
『そうですか……難しい場所だとは思ってましたが、厳しいですね』深くため息を吐くジェシー。
その様子を見て、ホッフマイスター侯爵が『今日はゆっくり休んで、明日、改めて情報を確認して計画を立てたほうがいいだろう』
『しかし……』躊躇うジェシーに『ティスたちなら大丈夫だよ。まだ数日猶予がある』と言うタンデルチェスト子爵が『私たちが生き延びられたのがなによりの証拠だからね』
『ですが、ホッフマイスター侯爵は前の領主とお知り合いだったんですよね? それなら』
『まあ、それもあるが……』
『なにかほかに理由があるんですか?』
『それより、結界から出たら誰かに連絡するようなことを言ってたが、無事を知らせたのかな?』
タンデルチェスト子爵に聞かれ『そういえば、ショウに連絡してなかった。きっと心配してるでしょうから、電話しておきます』
席を立つジェシーが斜め掛けのバッグから携帯を取りだし、少し離れた場所へ行ってショウに電話を掛けようとすると『エエッ! ショウからすごい着信件数が入ってる!』
大声を出すので、サンドイッチを手に持つ全員がジェシーを見ると『留守電入ってるんじゃないですか?』とジュリアスに言われ、確認してみると数件入っているので順番に聞いていく。
一件目、「ジェシー。留守電聞いたら折り返し連絡をくれ」
二件目、「とりあえず、ホテルに戻らず、カフェにでも入ったら連絡くれ」
三件目、「とにかく、結界から出たら連絡をくれ!」
『なにかあったみたいだ』急いでショウに電話すると「ジェシ―! 連絡を待ってたよ!」ショウの大声が返ってくる。




