46-4 結界からの脱出
結界の出口は、ファルークが閉じ込められていた土の檻の右側、オルトがファルークの世話をするために持ち込んだイスやテーブルを置いている壁にあった。
「あんなところにドアなんかあったかな?」悩むオルトがテーブルの上に置いてあるランプを点けると、真っ暗だった洞窟内が明るくなる。
「もしかして、イスとテーブルが出口を塞いでたんですか?」気まずそうにタンデルチェスト子爵に聞くと『君が持ち込んだものなのか?』
『子爵。僕の世話をするために持ち込んだものなんです。だから、彼を責めないでください』
「ファルーク」
『もちろん、責めたりしないよ。それより、出口を隠してくれてたのかと思って、どうしてこの場所を知ってたのか、聞こうと思ってたんだよ』
「それは偶然です。置き場所がそこしかなかっただけです。だから、ドアなんかなかったはずなんだけど……」再びドアがあったか悩む。
一方、『これが土の檻ですか』土でできた格子状の右端にあるドアが開いているので、中に入るジェシーが『ファルークはこの中に何年もいたのか。大変だったね』
『ずっと、檻の開け方を知ってる誰かが来てくれるのを待ってたよ』ファルークは檻の外で、エミアと一緒に檻の中に向かって立っている。
『まさか、君が閉じ込められていたとは思いもしなかったよ。これからは同じことが起きないように、感知センサーでも付けるべきだね』反省するタンデルチェスト子爵。
『このことは周知したほうがいいだろうね。全員知っておくべきだよ。新たにシークレット事項に追加するべきだと思うね』とホッフマイスター侯爵が言うので、『僕たちも気を付けるようにしよう』頷くジェシー。
その後、あとから入ってきたオルトとジュリアスと一緒に檻の中を見回すと、右奥に、ファルークが寝ていたと思われるうすい板と段ボールで作られたベッドのようなところに、タオルケットが畳んで置いてある。
『私が閉じ込められたら、平常心を保っていられないです』首を横に振るジュリアス。
『オルトが毎日来てくれたから、視力を失っても、ファルークは正気を保っていられたんだろうね』
「高校からの友達だったファルークが、まさかこんなところに閉じ込められてると思わなかったから、俺にできることは何でもやろうと思ったよ」
懐中電灯で左奥を照らすと、通路の先の天井が崩れて、原形を留めていない状態だった。
『完全に塞がれていますね』周りを照らすジュリアス。
『子爵。どうやってこの瓦礫をどかすんですか?』ジェシーが声を掛けると、ホッフマイスター侯爵と一緒に檻の中に入ってきて『簡単だよ。崩れたものを元の場所に戻すだけだからね』
『なるほど。でも、このままで大丈夫ですか?』
『外のことを片付けて、安全が確認できてから元に戻すほうがいいだろうね』
『それもそうですね。それにしても、どうして崩れたんでしょうか』
『そうだね。ちょっと調べてみようか』タンデルチェスト子爵が崩れた壁に右手を置き、目を閉じると、何かを見ているのか数回首を傾げる仕草をする。
「子爵はなにをしてるんだ?」オルトがジェシーに聞くと『壁に残された記憶を見てるんだよ』




