45-2 館で行われたパーティの絡繰り
『それで、どうなったんですか?』表情を硬くして先を聞くジュリアス。
『パーティ開始時間前にシルビアたち調査員と合流して、館に向かったんだ。
フレンティーヌお嬢様とティス、僕の三名が先に通されて部屋に入ったんだけど、最初に入ったティスがすぐにお二方に気付いて、後ろにいる僕に手で合図を送ってきたんだ。
右手で左側の窓を見ろって。
だから僕も中に入って左側を見たらお二方がいて、驚いたけど顔に出さないようにしてたんだ。
その時点で罠の可能性が高くなったからね。
そうしたら、僕の後ろにいたお嬢様が「お父様!」と言って、お二方がいる窓際へ走っていくから、驚いてお嬢様を止めに行こうとしたら、グランチェスト氏も同じ部屋にいて、ホッフマイスター侯爵の隣に立っていたんだ』
『ジェシー君たちと一緒に入ってきた女性が、隣にいた紳士の娘さんだと私たちも知らなかったから、走り寄ってきたとき、これはまずい、と焦ったよ』
『案の定、僕たちよりも先にお嬢様が捕まってしまって、隣の部屋へ連れていかれそうになっていたので、一緒にチームを組んでいた者としてホッとくわけにいかなかったから、あとから隣の部屋に入ったら、先に入ったティスが僕を後ろへ突き飛ばしたんだ。
『逃げろ! あの鏡があるぞ!』目を押さえるティスの姿が変化していく。
その時、ジェシーたちの次に入る予定のシルビアと組織の調査員たちが部屋の外の廊下で待機していたため、ティスの声を聞いて部屋に飛び込んできた。
『ジェシー! ティス!』シルビアが叫びながら駆け寄ってくるので、『来るな!』叫ぶ変化したティスを助けるために、取り囲んでいる警備員たちと格闘している間、父親と一緒に部屋の外へ連れ出されたグランチェスト親子は、警備隊長から「こちらの要求を呑んでくれて助かったよ。君の役目は終わった。娘を連れて国に帰りたまえ」
「お父様、どういうことですの?」困惑するフレンティーヌに「今はなにも言うな。あとで説明する」
「でも、一緒にチームを組んだジェシーたちが捕まってるんですのよ?」
「彼らはもう、この館から出ることはできないだろう。さあ、母さんが心配してるから帰ろう」父親に促されて玄関ホールへ向かうが、フレンティーヌは側近の二名に、残ってジェシーたちを助けるよう指示をだし、一礼する側近二名は玄関ホールの手前で付いてきた警備員を近くの部屋へ連れこみ、気絶させると戻っていく。
その間、侯爵たちがいる部屋で警備員たちと対峙しているジェシーたちは、次々と部屋に入ってくる警備員の多さに対抗できず、鍵が掛かった窓際まで追い詰められていく。
もうダメだと思ったとき、シルビアと一緒にきた組織の調査員の一人が、上着の内ポケットから煙幕用のボールを取りだして目の前に迫ってくる警備員たちに投げつけ、続けて小型爆弾を後ろの窓に向かって投げると「早く窓から逃げてください!」
割れた窓ガラスの先にはバルコニーがあり、中庭へ降りることができる階段が見える。




