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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第三章 運命の輪が作るストーリー
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5 念願のご対面

 

 次の日は車で出掛けた。


 午後四時過ぎに最初のコンサートホールに着き、偏光フィルター付きの眼鏡を掛けて中に入ると、中二階にあるラウンジで、目的の鏡が壁に掛かっているのを見付けた。


 普通に見るとアンティーク調の豪華な鏡だが、例の眼鏡を掛けて見ると、細長い光の触手が無数に鏡から出ているのが見える。


「すげえ。あんなの見たことないぞ。気持ち悪い」と言いつつも、感激のご対面。

「ちょっと、なに感動してるのよ」

「なんだよ。やっと見付けた感動がないのか?」


「ないわ」キッパリと言い返し「はい。よろしく」小型の時限爆弾を渡すと「監視カメラが見てるから気を付けてよ」そっと部屋の右上を指さすと、観葉植物の大きな葉の陰からレンズが見える。


「仕方ないな。ここじゃ持って出られないから」ポケットから小さい箱を取り出すので「何それ」

「監視カメラの電源を壊す機器」

「何ですって?」


「手っ取り早く言えば、一時的に映像を止めてしまうものだよ」

「そんな事ができるの?」

「まあな」


 鏡の前には、髪の乱れや服装をチェックするために、入れ替わり立ち代り人が立つ。

 ショウは頃合を見てその流れに混じると鏡の前に立ち、髪形をチェックして戻ってくる。


「あの触手の中に飛び込むのは、勇気がいるもんだな」監視カメラの死角に入るとホッと息を吐くので「仕掛けてきたの?」

「当たり前だろう」

「本当? 全然そんなふうに見えなかったわ」


「わかるように付けたら何にもならないだろうが」

「それはそうだけど」

「さあ、帰るぞ」


「なんか、今回はくたびれもうけで終わったみたい」ホッとしたような物足りないような、拍子抜けしてしまうと「仕方ないだろう。これも任務だぞ」

「わかってますよ」

「ククッ」

「なによ!」


「まあまあ、そう目くじらを立てない」

「だって、あれだけライブハウスを回ったのに、一回も見れなかったのよ。今回だって、ここまで来たのにコンサート見れないし」


「それは俺だって同じだよ。でも、いつかどこかで見られるよ」

「いつになるかわからないじゃない」

「そう()ねるなって。美味しいものでも食べれば気分もなおる」

「美味しいもの?」顔付きが変わる。


「街外れの倉庫街近くにいい店があるらしい。この前行ったライブハウスで、前に並んでた奴が話してたんだ。行ってみるか?」

「どんなお店なの?」

「無国籍料理の店らしい。安くてうまいものを出すらしいよ」

「フウン」興味のある顔をするので(これは、機嫌をなおす手の一つとして使えそうだな)


 二人は外へ出ると、早速車に乗って倉庫街へ向かった。


「きれいな夕焼けね。これなら明日は晴れそうだわ」

 西の空が真っ赤になっている。


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