44-2 明かされていく森の謎
『それで、あのイベントで捕まってしまった仲間はいるんですか?』ジェシーが心配そうに聞くと『いや。我々が館の地下に閉じ込められたあとは、誰もいないはずだよ』答えるホッフマイスター侯爵。
『その前は?』
『その前は前領主が管理してたからね。この国での狩りは重罪という法律があったから、犠牲者はいないはずだよ』
『いませんよ』キッチンで料理しているオルトが代わりに答える。『幽閉しているフリをしてたけど、実際は逆のことをしてたんだ』
『逆のことですか?』ジェシーが聞き返すと『体力が戻るまで匿った後、向かいの大陸へ逃がしてたんだ』
『領主自ら?』
『代々、王国との出入り口の一つを管理してた国として、領主と側近のみ、その任務を受け継いできたんだ』
『君は領主の息子だろう? だから君も、その任務を受け継いだんだろう?』
『僕は腹違いの息子なんですよ。父が昔付き合っていた女性との間にできた子なんです』
『エッ!』この話には、全員驚いて大声を出した。
『君には兄弟がいると聞いてたけど。確か兄がいるんじゃないか?』
『それは逆です。僕が兄になるんです』
『だよね。君の父親が結婚する前にできた子になるんだろう? そのあと、正式に結婚して息子ができたとしたら、君に兄がいることにならないからね。ああ、それで、君の顔を知ってる者が少なくて、写真や記録などの身元を証明するものがないのか』
『子供の頃の写真とかは、母と一緒に住んでいた家にあります。あることがキッカケで館に行くことになりましたが、週の半分は母がいる元の家に帰ってましたから』
『どうして母親と一緒に屋敷に……正妻がいるからか』
『そうです。さすがに母を置いていくわけにいきませんでしたから』
『でも、君がここに居る理由は、侯爵方が匿ったからですよね?』
『ああ、そうだ。正妻の息子はまだ小さくて、領主の務めを担うことができないので、両隣の領主が代わりに統治すると言いはじめたが、なんの因果か、そのちょっと前に父親の領主が彼の母親と会う機会があって、その席に彼が現れたものだから、領主の地位を引き継がせようとしてたので、狙われてしまったんだよ』
『そんな裏事情があったんですか』ジュリアスともども、信じられないという顔で聞いている。
『侯爵方のお陰で逃げることはできたものの、前領主が自分の後継者としてオルトの名前を公開してたから、両隣の領主たちは代理を立てるしかなかったというわけですね? しかし、正妻が黙ってないんじゃないですか? 小さいながらも男の子がいるんですからね。しかも正当な後継者ですよね?』
『実は少し体が弱くて、よく熱を出して寝込んでしまうそうなんですよ』オルトが答えるので『そうなのか。それでは領主として忙しいスケジュールをこなすことは厳しいな』
『成長すればよくなるだろうと主治医から言われてるそうなので、俺はそんなに心配はしてないですけど、でも、まだ小さいのに、ベッドから出られないのはかわいそうだと思いますよ』




