43-4 結界を張った森の秘密
今いる場所は結界が張ってあるが、日が昇れば太陽光が届くので、森の中は結界の外と変わりがない。
違うところは結界の中が隔離された空間で、自由に出入りできないという点である。
ジェシーたちは案内役の鳥たちと一緒に丸太小屋まで歩いていくと、前庭を挟んだ道に面した窓が開いていて、中から複数の男性の話し声が聞こえてくる。
『ずいぶんと賑やかなようだが、彼とジュリアスと、他に誰がいるんだね?』ホッフマイスター侯爵がエミアに聞くと『直接、お確かめになってください』笑顔で返して玄関のドアを開ける。
『エミア様! どこに行ってらしたんですか?』捜していたようで、ジュリアスが声を掛けると『ホッフマイスター侯爵!』あとから入ってくる侯爵に気付き『この中にいらしたんですか!』大声を出すと『本当か!』ジュリアスの隣にいる、久しぶりにシャワーを浴びたファルークが驚く。
『ファルークじゃないか!』ホッフマイスター侯爵も、まさか「風の貴族」トップの彼がいるとは思ってもいなかったので、駆け寄って『どうした……目が見えないのか?』彼の瞳に光の反射がないので、確認する。
『実は、例の通路の出入り口を何者かに爆破されてしまい、運悪く、土の檻が発動して中に閉じ込められてしまったんです』
『なんだって! それは本当なのかね?』
『はい。どうやって土の檻を解除するのか方法がわからなかったので、途方に暮れていたとき、洞窟の出入り口から土ぼこりが出ていることに彼が気付いてくれて、ずっと世話をしてくれたんです』小屋の裏戸から、ファルークが着ていた服を洗濯して、干してから入ってくるオルトのほうを向く。
『アアッ! 侯爵と子爵!』
『そうか。オルト君、ファルークを助けてくれてありがとう』
『いえ、彼を土の檻から出してくれたのはジュリアスですよ』
『そうなのか。ジュリアス、ありがとう』
『迷惑を掛けてしまったようだね。申し訳ない』「土の貴族」サードだったタンデルチェスト子爵が謝罪する。『あそこに土の檻を仕掛けたのは私なんだよ』
『やっぱりそうですか』頷くジュリアスに『それにしても、よく開けられたね。鍵がある場所を知ってたのか?』
『タンデルチェスト子爵。彼は「水の貴族」のサード。「水の貴族」は全貴族の能力を把握してるじゃないですか』ファルークが説明すると『ああ! そうだったね。「水の貴族」のシークレット事項か』と納得する。
『ジュリアス、無事でよかった』
『ジェシー。連絡できなくてすみません』
『ショウたちが心配してたよ』
『予測していた状況とかなり違ってたものですから、途中で戻る道を見失ってしまって……』
『そうだったのか。それでは仕方ないね。それより、彼と一緒だったとは思わなかったよ』そう言ってオルトを見ると『彼はルナノヴァの現領主だろう?』
『そうだよ、よく知ってるね』意外にもホッフマイスター侯爵が聞いてくる。『どうして彼がこの中にいることを知ってるんだね?』
『それは……』ジェシーはオルトを見ると『君は、この中で録画中のビデオカメラを拾っただろう?』
『エッ! どうしてそのことを知ってるんだ!』
『その時、録画されていた映像を見たからだよ』
『あれを見たのか!』




